いろんな形の運命 光のとこにいてね 著 一穂 ミチ
このお話は小瀧結珠と校倉果遠の3度の運命、
出会いによって描かれた物語だ。
幼少期、純粋な出会いから物語は始まる。
互いに複雑な家庭の事情を抱えながら、互いが大切な存在になっていく。
1週間に1回、会えることを楽しみにしながら二人は時間を共有していく。
複雑な家庭環境だからこそお互いが全く違う環境、存在だからこそ大切になった。
でも、ある日を境に二人の時間は終わりを迎えてしまう。
ママはいつもそうだった。
取り上げるんじゃなくて、私の手で捨てさせる。
これまでにない怒りを感じた。
ママじゃなく、言いなりの自分に。
そうして結珠と果遠は1度目の別れを経験する。
そして高校生、思春期に話は進む。
2度目の出会いは果遠が自らの力で結珠にたどり着く。
目が合う。
私が忘れていた―忘れたことにしていた記憶が、突然、栓を抜かれたように勢いよく噴き出し、めまいがする。
自分のいったいどこに、
こんなにも生々しく克明なまま保存されていたんだろう。
自分の感情にとまどいながらも互いが気になり、徐々に距離を縮める二人。
まっすぐに結珠を想う果遠。
それにとまどう結珠。
窮屈な世界に生きる結珠の心を動かしていく果遠。
私だって知りたい。
どうして果遠ちゃんはいちいち私の胸を苦しくさせるのか。
だが、ここでもまた大人の事情によって二人は
別れを選択しなければならなくなる。
お前は強くてやさしいから、弱い母ちゃんを捨てられない。
捨てるのはいっつも弱い方なんだ。
こうしてまたも二人は離れ離れになってしまう。
そして、大人になった二人はそれぞれが複雑な事情を抱えながら今度は結珠の夫によって出会うことになる。
夢でもいいから会いたかった。
それぞれが結婚し、夫がいる状況下で出会う。
大人の、不自由なふたり。
結珠の夫の藤野はいつだって結珠の欲しい言葉をくれる。
でも
果遠ちゃんの愚かな一途さはいつだって私の胸を深々と射抜き、
ほかの何でもうめられなくしてしまう。
大人な二人は気が付かずにはいられない。
一緒にさえいられれば、他には何も。
でもそのたったひとつが、いつだって私たちには難しかった。
大人になった二人が、自分とそしてお互いとどう向き合い、
答えを出すのか。
自分の心からどうしようもなく、あふれる感情。
光のとこにいてね。
純粋でもどかしいそんな二人の物語。
ぜひ読んでみてください。
Written by なおこ
アラフォー女