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執着の魔術 - 『黄色い家』読了


はじめに

川上未映子さんの『黄色い家』を読みました。最近知らずに闇バイトをして捕まってしまった方がいましたよね。この作品に登場する少女たちも犯罪に手を染めていくというお話を聞いて、気になるなあと思っていました。

微ネタバレで紹介していきますので気になった方は是非読んでみてください。

黄色い家とは

10台の女の子3人が偽造カードを用いた詐欺や金券の現金化などの「アタック」と呼ばれる犯罪行為に手を染めるお話。
メインはここなんだけど、個人的には貧困家庭で育った主人公"花"が「金運上昇の黄色」に執着していくお話なのかなと思います。

あらすじからわかるように、決して明るい話ではないですがすごく惹きつけられ600Pを2日で読み切ってしまいました!

黄美子への執着

主人公"花"を貧困の家から連れ出した"黄美子"という人物も重要です。序盤は花目線で黄美子の印象が決まるのですが、それはもう大人のおねえさんという感じです。花が恐れていたヤンキーと気軽に話せて、なんなら自然に仲間になるように立ち振る舞っていた、

それはそれは黄美子さんかっこいー!となります。そんな人が花を連れ出してくれるんだから、花は黄美子さんをヒーローぐらい大げさに思っててもおかしくない。

連れ出されてから花は前とは比べられないくらい充実した毎日を過ごすんです。違和感はありつつも。
だからずっと黄美子さんと一緒にいたいって思ってしまったんだよね。

私はどんなにヒーローと一緒にいたいからって、犯罪を犯すことはしないけど、花はしてしまったんですよ。

好きなシーン(ネタバレあり)

花以外の少女2人は、一緒にいることを望んでやっていたわけじゃない、花に言われたから従っていただけだ、とわかるシーンが凄く好きでした。
それまでは花に感情移入して読んでいたけど、一気に花のやばさが浮き彫りになるんですよね。

それまではやばいことをしているけど一生懸命だな花!とか思ってました。でもそれは花だけが望んでいた、花のための理想郷を実現するためだったんですね。感情移入させてから突き放された感じが川上先生のすごさを感じました。

是非読んでみてください!


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