短歌お題「氷」
何気ない
会話で我を
凍らせる
母はひどい
ひどい、ひどい人
毎朝4時には目が覚める。けれども寝坊した時のために、6時にTVが点くように設定していて、チャンネルはEテレに合わせてあるので、すると毎週日曜日はヒコロヒーさんが司会の「NHK短歌」をなんとなく観ることになる。
子供の頃、家族でよく百人一首をして遊んだけれど「たしかあれが短歌というやつよね?」というほどにしか、和歌は知らない。なんだかわざわざ難しい言葉を使って、インテリ同士でお互いを称賛し合ってでもいるような、非常に「権威的」なものを感じて、長らく敬遠していた。(ちなみに俳句はまだ敬遠している。あれはなんだ)
けれども番組を観ていると、私が思っていたよりずっと分かりやすい言葉で、素直で、自由で、なかなか面白い。プロ(歌人というのか?)の言葉選びには思わずため息が出るし、アマチュアの作品にもどうしようもなく心がふるえたりする。しかもたったの31文字であれだけ表現できるなんて、もはや「お得」としか言いようがない。節約好きの主婦はぜひ短歌を始めてみてはどうだろう。言葉を選ぶとは、自分の心を意識的に選択することでもあり、いわば内面の整理整頓とも言える。捨てるべきか、大事にすべきか、変えるべきか、保留すべきか、育てるべきか、拒絶すべきか、認めるべきかーー。日頃の鬱憤を31文字に厳選し組み立てる作業は、自己セラピーにも似ている。初期投資ゼロ、課金なし、カウンセラーも必要ないとなれば、これ以上に経済的な趣味があろうか。
それでいうと私の、限られた31文字を「ひどい、ひどい、ひどい人」で使ってしまうのは、素人丸出しで、なんとも不経済なんだろうけれど。まぁ、いいさ。これが今日の私だ。