宇宙人について東スポの真似をした結果、エイリアン2を観た話
私「そこの地球人よ!専門筋によると、そろそろ国を挙げて宇宙生命体との交渉が始まるのだという…!既にNASAには交渉材料としてエイリアンの死体が保管されているのだ…(ゴゴゴ) さあどうする!どうする!地球人!!」
夫「え……なにそれ……」(※「またか」の顔)
私「そろそろ世界レベルで宇宙生命体と付き合うことになるから、2020年の今年アメリカは宇宙軍を作ったんだよ。これは本当」
夫「え……なにそれ……本当?」
私「ハハッ うそに決まってんじゃん」
はい、今回は天下の東スポの真似がしてみたかっただけです。
この世の全ては入れ子構造。つまり私は家庭内東スポです。どこのコミュニティにも…どの会社にも、あなたの側にも、1人はかならず東スポが以下略
まあそれは冗談なので良いのですが、この話をしてから、なぜか
夫「エイリアン2を観よう」
夫「ねえ、エイリアン2観よ? 」
夫「日曜は何して遊ぶ? エイリアン2? それともエイリアン2?」
夫「映画を観よう! エイリアン2とか」
夫がエイリアン2の回し者になってしまいました。
私の愛するレベルEのバカ王子は「映画のエイリアンってもう続編作るべきじゃないよね」という至言を残しておられましたので、ドグラ星第一王子の支持者として観なくてもいいと思っていたのですが、おろかな地球人として今回も夫に根負けしエイリアン2を観たので、今回はその感想です。
しかし、なぜ彼は2から観たかったんだ…?
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感想① エイリアンの怖さは物理攻撃にある
私は不届き者なので、意識の高い方が「アブダクション」等と仰られているのを見ると「牛とかがUFOにさらわれるやつだ」などと思ってしまうくらいふざけたタイプのヒューマンなのですが、
こんな私でも、宇宙人モノの怖さって「わけわからなさ」にあると思ってたんですよ。さらわれる!不思議!わけわからない!コワイ!みたいな。
人間、5分後に自分が何考えているかもわからないのに「よくわからなくて怖い」なんておこがましい限りですけども(※ハサン中田先生の名言より)
しかし、映画のエイリアンは違う。
不思議パワーコワーイ!なんてそんなチャチなもんじゃねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わえます。そう、エイリアンの怖さは 200% 物理です。全てが物理攻撃。レベルを上げて物理で殴れ。
何が怖いかって、カニと昆虫を足して2で割ったようなやつに卵を産み付けられると、体の中で成長して、胸を突き破って出てきちゃうの。コワイ!
外科医はどこだ!
※こんな感じ。キモいといえばキモい。
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しかも2なんでね、主人公リプリーはオープニングですでに自分の宇宙船で宇宙ガニ虫大発生パニック→仲間全滅! から、自分だけ助かってコールドスリープ中でした。1を観ないとと詳細はわからないけど何とかなる。
ボロボロの宇宙船で冷凍保存され宇宙を漂流中、拾い上げられ、基地(会社)に戻れるところから映画がスタートします。
帰ったのが家じゃなくて会社ってところがブラック広告代理店勤務みたいで切ないところですが、とりあえず、よかったね!(1観てないけど)散々な思いをしただろうから、帰れてよかったね、リプリー!
しかし戻ったら浦島太郎。もう57年経っていました。
知っている人誰もいない!全員、57年後の人たち!知り合いがギリギリ生きてるかどうか微妙なラインを攻めてくる。経年数が半端すぎる!
これだけでも気の毒なんですが、57年前の行方不明者が生還したということでエライ人会議が開かれます。エライ人の会議にヒラが呼ばれるときは、怒られ会と相場は決まっています。
案の定「何で宇宙船ぶっ壊した(※エイリアンとの戦いで)!?」「エイリアンなんかいるわけないのに!あの宇宙船スッゲー高かったんだぞ!」とすっごく怒られて責められまくります。お前らの血は何色だ。奇跡の生還を果たして怒られるとはこれはいかに。かわいそう。
しかし、うーん…??
宇宙船高かったんだぞって言っても、それ、保険おりてない?というのが正直な感想です。え、だって行方不明で57年経ってるんでしょ?
団信とか、宇宙船への保険とか…その辺り、もう支払われてるよね? あと失った宇宙船代もすでに損額として処理されてるような気がするんですけど、どうなんでしょうか? 教えて会計Freee!
固定資産、減価償却や税金など詳しいことは私にはわからないのですが、経理や税務署や監査法人の気持ちを考えると「今更、船が戻ってきてもめんどくさいから爆破してなかったことにしましょう」って地蔵顔になるだろう、ということくらいはわかります。
誰か全集中保険の呼吸(損保/団信/生命)を使える営業剣士が出てきてリプリーを弁護してくれないかなと思わざるを得ないシーンです。
しかし、リプリー当人にとってはエライ人によるパワハラミーティングはそこまで大したことでもないらしく、気にする様子もありません。タフネス。
そんなことよりまだエイリアンに怯えていて、完全にトラウマになっており、連日「エイリアンが胸突き破って出てくる!」って悪夢を見てうなされております。かわいそう(2回目)。
そうだよね。アニサキスもギョウ虫もつらいって言うもんね。違うか。
そうしてしばらく悪夢を見つつ暮らしていたリプリーですが、社内政治により、なぜかまたエイリアンの出る海域に行く羽目になってしまいます。
同僚には、「トラウマを克服するため、立ち直るために行くんだ!」みたいな、純度の高い余計なお世話を限界まで煮詰めて成分だけにしたようなことまで言われております。転職したほうがいいと思う。
しかし新たなトラウマ製造企画では、軍と一緒に行くから安全なんだそうです。もうこの時点でフラグがビンビンに立っています。
『エイリアンがいるとされる海域の基地と、連絡つかなくなっちゃったので軍とリプリー案内人で見に行くんだ』とのこと。
私なら即退職ですが、そこは主人公、「危ないことは軍がやるから大丈夫!絶対に大丈夫!」という様式美みたいなセリフに乗っかって旅立ちます!
押すなよ! 絶対に押すなよ!
そうして軍の方々と一緒に船に乗ったわけですが、軍人のみなさま揃って差別発言ばかり。Twitterには向かない軍団と見ました。
詳しくは載せませんが、まあ失礼全開無礼千万。田舎のヤンキー以上、北斗の拳のヒャッハー勢未満というレベルです。
サメもゾンビも、襲われ系の世界線には「世の中や他人を舐めている失礼パーソンから死ぬ法則」があるので、死相全開と言ってもいいでしょう。
リプリーもリプリーでトラウマからヒスを起こし、人造人間(※何の罪もない)に当たり散らします。1で他の人造人間がひどいことしたらしい。
船内、エイリアン出る前からギッスギス!!!!
どうなるリプリー!この空気をどうするリプリー!!
感想② 危ないことは軍がやるって言ったのに
さて問題の現地到着。 意気揚々と降り立ちましたが、早速不穏です。
不穏というか、現地の基地がすでに派手に酸で溶けかけているので、パッと見でもう『あーもうこりゃダメだね』の雰囲気です。
あからさまに危ないのに、なぜか軍と一緒にサッサと現地に降りてしまうリプリー。なんで母船で待ってないの!? リプリーがやるのは海域の案内で、危ないことは軍がやるって言ってたじゃん!
そうして視聴者を混乱させつつ、エイリアン液と戦闘痕でドロドロの基地をズカズカ進み、可愛らしい人間の少女を保護します。
この子は、基地の大人たちがエイリアンにやられたあと、頑張ってゴミ捨て部屋に隠れてサバイブしていたらしい。かわいい。天使みたい。
ちなみに、エンジェルは「軍が助けてくれるからね」と安心させようとするリプリーに「どうせ全員やられる」というようなありがたい託宣をくれてやっておりました。
さて、そんな感じで上陸したみなさまですが、軍隊の作戦なので、①先に進む班 ②後方の安全な場所から無線指示を飛ばす班 という2つに分かれております。リプリーは一般人なので後方班。
先に進む班は、「誰がどう見ても絶対に行かないほうがいいドロドロの道」をドン引きしつつも銃片手にずんずん進みます。仕事とはいえ大変ですね。絶対に行ってはいけないドロドロ道24時。
すると、危なそうなエイリアン爆心地にキッチリ入りきったタイミングで、軍の上長が「やっぱ銃使っちゃダメ」とめちゃくちゃなことを言い出します。発砲すると基地ごと爆発するからダメだとかなんとか。
そういうのは、事前に調べておいてくれ!!!!!
そんなガバガバのアメリカ宇宙軍ですが、用意だけはよく火炎放射器も持ってきたのでそれで対応せよとのこと。えええーこの組織で働きたくない。現場かわいそう!
案の定、先に進む班はエイリアンに襲われるわ銃は使えないわで当然大ピンチに陥りますが、特に援軍出す気ははない軍長。お電話だけして見捨てそう。こりゃあかんと判断したリプリー(※一般女性)は、待機命令を華麗に丸無視し、車でガッシリと基地の奥に突っ込みます!
リプリーが奥地に着く頃には何人かサクッとやられておりましたが、リプリーの活躍で助けられる人だけ助けて、安全そうなところ(基地内)まで戻って来られました。
残った人でこれからどうするかについて(※どうしようもないけど)話し合うわけですが、神経ガスを使ってさっきの仲間を助けにいこうとか、逃げて核爆しようとか、まぁいろんな意見が出ます。
貴重な生き物だから持って帰ろう、お金になるぞと頭が湧いたようなことを言う人もいました。この人ここにおいて帰りましょう。
ついでにリプリーさんから、「軍の作戦なんだから、上長(中尉が死んだから伍長)が決めるべきだわ」という、さっきまで命令ガン無視していた自分を神速で棚にあげた提案も飛び出してました。あなた、さっき上長(中尉)を完全にシカトして車爆走させてませんでしたっけ…?
そんなポジショントークばかりの話し合いの結果、しょうもないから逃げて核爆することに決定しましたが、母船からのお迎え飛行機がエイリアンにやられて大破。決定から数分で帰れなくなります。
あまりの高速フラグ回収に、強いはずの軍人男性はメンタル崩壊。エイリアン星の中心で絶望を叫びます。修羅場でマイナスなことばっかり叫んで八つ当たりする人ってどこにでもいますが、今回は情状酌量の余地あり。
対して、現地で保護された少女は理解も早く、静かに「出れなくなったのね?」と聞くのみです。ごめんねと謝る主人公に「あなたのせいじゃない」。最高です。この子天使かなって思っていたんですが、天使なんかじゃない。武将の器だ。
感想③ なぜ、人類は嘘をつくのでしょうか
脱出用の飛行機が大破して帰れなくなったので、仕方なくドロドロ基地に戻って安全そうな部屋(仮)に戻ります。
何かもう色々しょうがないし、夜だしとりあえず眠るか…となったのですが、少女が「怖い夢を見るから眠りたくない」とのこと。そりゃそうだ。
リプリーは彼女のお人形(※名前はケーシー)を拾い上げて、「ケーシーは怖い夢なんか見ないって言ってるわ!だから大丈夫よ!」とハイパー子どもだまし全開の慰めを展開しますが、
(出典:エイリアン2より)
さすが武将の器。手厳しいコメントです。流石大将!俺たちに聞けないことを平然と聞いてのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!
私「え、ちなみに何で子どもにはウソつくの?」
夫「何とかしてよォォーー!って騒ぐからじゃん」
私「大人だって騒ぐじゃん。さっきの大人絶叫してたよ」
夫「だから、大人にもウソつくんだよ」
私「お前は日本政府か」
そんなこんなで夜が明けますが、ここでエイリアン持ち帰ろうマンが騒ぎ出します。こんな状態なのにまだ強固にエイリアンのテイクアウトを主張し、当然大ゲンカ。
こういう命のかかった非常時でもお金と権力のことを気にして大乱闘スマッシュブラザーズを展開できるとは、なかなか見上げた根性と言えます。
持ち帰りたいマンは「普通に持って帰ったら検疫で引っかかる」という妙に現実的な問題点に気がついたらしく、「リプリーか少女に寄生させて持ち込もう」と邪悪なことを考えつき、エイリアン1匹に2人を襲わせます。
麻薬の密輸ならぬエイリアンの密輸。押し入れで育てるつもりだろうか。
リプリーは主人公パワーで、何とか密輸用エイリアンを撃退。
脱出についても、「あ!仲間の人造人間が、リモートで予備の脱出艇を母船から呼べば帰れるよね!!」と相成りました。よかったよかった。
と、まあ、そこでエイリアンの大群に襲われます。
安全(仮)部屋ですからね。いずれ変なことになるんだろうなあと誰もが薄々わかっていたわけです。日本の年金と同じです。
リプリー達は逃げようとしても囲まれていたり、持ち帰りたいマン改めタコ野郎に売られたり、散々な思いをします。
そこで(視聴者的には)肝心の大将、もとい少女がエイリアンにさらわれて奥地に連れて行かれてしまいます!!このままでは天使が宇宙カニ虫の苗床にされてしまう!
しかし人造人間のリモート作業によって、脱出艇が届くまであとわずか!
どうするどうする!!!
感想④ 目には目を エイリアンには重機を
脱出艇が届くまであと数分!!
脱出艇が届いたらここの基地は核爆される!!!
奥に入って少女を探しに行くなんて!あと数分なのに!どうする!?
しかし、リプリーにとっては一択「助けに行く」です。
この正義漢、本当に非戦闘員? 一般女性の皮をかぶった猛将じゃないのか。ハリーポッター等といった平成ヒーローより、遙かにメンタル強靭。
ベルセルクで生き残れそう。
今更ですが、「いつもこの人じゃない??危ないことは軍がやるって言ってなかったっけ?軍が守るとは一体…?」 と思わなくもありません。
ちなみに軍の人は腕をケガしたということで、安全なところで寝てました。
リプリーは奥まで少女を探しに行って、無事に救出!!
しかし帰る道すがら、なぜかうっかりラスボス部屋に入ってしまい、バッタリとラスボス(女王)に会ってしまいます。
気まずい沈黙。
女王と言っても、やはりカニと昆虫を足したあとに人間の骨格標本を足して3で割り、巨大化させた感じのおなじみビジュアルです。
叫ぶこともなく、無言で見つめ合う彼ら。じりじりと無言で後ずさりし、リプリーは無言のまま火炎放射器スイッチオン!!汚物は消毒だー!
このシーンはなかなか笑えるので是非ご覧いただきたい。
さらに笑えるのが、逃げ出したリプリーたちを、巨大な宇宙カニ虫、もといラスボスが普通にエレベーターに乗って追いかけてくるところです。知的!
何だかんだ2人は脱出艇に乗れて燃え盛る基地を後にし、母船に着きましたとさ……いやはや、霊験あらたかなお話でしたね!
では終わりませんでした。
知的な宇宙カニ虫生命体は脱出艇にもチョコンと乗っており、何と母船までついて来ちゃっていました。相当シュール。
シュールはシュールなんですが、惨事は惨事です。
自分たちの母船の中で、仲間の人造人間も襲われてまっぷたつ。リプリーはどこかに吹っ飛ばされて走り去り、少女も襲われ絶体絶命の大ピンチ!!
と思ったら
(出典:エイリアン2より)
ジャーン!
俺達のリプリーさんが重機に乗って戻ってきた!!!
重機…?
え、これ、重機…????
大爆笑しながら戸惑う視聴者を置き去りに、重機に乗ったリプリーさんはエイリアン女王と殴り合いを始めます。シンプルに殴り合いです。
いや、確かにリプリーさんは序盤に「重機の運転免許、二級持ってるの」って言ってましたけど、それがラストバトル伏線だったなんて…。
リプリーさん、かなり強かったので、この世界の重機操作二級って結構難しい資格なのかもしれません。
資格要件:高度な操作により、エイリアンと自由に殴り合える
ある程度殴ったところで、宇宙船の排出口を開け、内外気圧差を利用し、外側にギュンギュン吸い出される圧でエイリアンを船から追い出します。
当然リプリーさんもギュンギュン吸い出されそうになってたんですが、ハシゴに左腕を絡めただけで耐えていました。どんな腕力してんだ。
リプリー(一般女性)腕力>気圧差による吸い込み>エイリアン。
いやあ、筋肉は裏切らない。
有事にはやはり筋肉です。
現場からは以上です。
総括
これ、もう34年前の映画なんですね。
とはいえフラグにつぐフラグ、様式美につぐ様式美で大変面白かったです。
もしかしたら、様式美を作ってきた作品なのかもしれない。感情曲線を考えると、ハリウッド映画の教科書みたいな作品だなあと思いました。
結論:地球人は、体を鍛えよう