【読書日記⑦】ブランド力を高める「指名検索」マーケティング(著者:田部正樹/翔泳社)
<きっかけ>
著者である田部さんは、以前Newspicksで「シゴテツ」という連載記事で特集されており、当時から面白いなぁと思って読んでいました。
この時の記事の一つに「成功しても失敗しても、その理由を説明できるか」という表題があって、すごく共感したのを覚えています。
<これいいな、と思った観点>
マーケティングの大前提であり絶対的な条件は、「勝ち」を考えられること。その次は、顧客に選ばれる理由をしっかり把握できているか。マーケターは「顧客に選ばれる理由」を見つける人でもあるので、それを見出して伝わる価値に落とせることは大事な素養
指名検索は「認知×購買意向×今欲しいと思ってもらえるか」の強さの掛け合わせ。認知だけを広めても、検索行動は動かない。例えば誰にも知られていない状態で「ラクスル」とだけ何度も連呼しても駄目。視聴者は興味がないので、認知はしても、検索はしてくれない
マーケティング戦略とは4P(Product/Price/Place/Promotion)すべてを一気通貫で見ること。まずは、①商品・サービスの開発に戦略を持つこと、つまり選ばれる商品を作ること②その商品の価格、どの場所で売るのかを決める、③プロモーション戦略を決める。この順番がとても重要
「パーセプションを作る」は大量資金がないと不可能。QRコードで決済を行う「PayPay」とかは、膨大な資源があるから出来ること。もともと存在する潜在ニーズに訴求することが大事
人は嘘をつくが、検索行動は嘘をつかない。検索行動が見えたうえで、いかに分析して読み解くかが大事になってくる
大手企業のテレビCMは必然的にその内容を好感度で勝負している場合が多い。競合の大半がテレビCMをしており、商品では差別化しにくいため。だが、ほとんどの企業は大手企業の戦略を真似すると失敗する。自社商品の宣伝が目的である以上、「商品が主役か」を判断ポイントにする。「面白い」だけでは駄目
判断のポイントは常に「自分たちが一番伝えたいことが、このクリエイティブで伝わるのか」の一点だけで見極める。念仏のように「戦略のロジックが先にあって、それを翻訳するのがクリエイティブ」と唱え続ける。戦略とクリエイティブの掛け合わせはそれほど多くの人がつまずくポイント
<類書>
【誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性(セス・スティーヴンズ=ダヴィッドウィッツ/酒井 泰介 訳)(光文社未来ライブラリー)】
著者はもともとグーグルのデータサイエンティスト。田部さんは、「検索行動は嘘をつかない」と書いていましたが、この本はそこからさらに深堀して検索行動が暴く人の本性を見せてくれます
グーグルのデータの価値が非常に高いのは、規模が大きいからではなく、人々が真情を吐露しているから。例えばグーグル上では、結婚生活にまつわる最大の不満はセックスレスであり、「セックスレス 結婚」の検索回数は、「不幸 結婚」の3.5倍、そして「愛のない結婚」の8倍も多い
他にも「競走馬の戦績を図るために一番有効な指標は、血統ではなく左心房の大きさ」とか、気になる女性の言葉から聞きたい最高の言葉は「私」だとか(女性は気になる人に対しては自分語りをする傾向にあるため)面白いことがいっぱい書かれています
<一言感想>
Appleとかイケアとか、一般的に「良いCM」として評価されているのは大手企業の好感度狙いのCMであって、中小企業は絶対真似をしてはいけない、というのはよい学びでした。私も含め、クリエイティブだと思われたい、という欲はみんな強いんだなぁと。