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犬と雪〜イヌたちは新しい方法で世界とかかわろうとする

☻ 暑いので涼しげな画像の数々をどうぞお楽しみ下さい。

ぶる、ぶる、ぶるるっ。
キラキラに輝いた雪の結晶をまとった被毛を震わせている。

犬たちが室内で暖をとりながら一夜を過ごしている間に
降雪は一気にやってきた。

50cmを超える新雪の中にブルトーザーのように突入していく。

犬たちはラッセルを始めた。


向かって左はゴールデンレトリーバー。右はフラットコーテッドレトリーバー。 2頭とも若い雄だ


レトリーバーはボール遊びが大好きだ。
投げられたボールが新雪にすぽっと落ちた。
間髪入れずに、バフッ。
後を追ってダイブだ。

雪上のモッテコイごっこは、 ふだんにも増してスリリングになっていく。

さあ、次はこれだ。
思いっきり腕をふった私は、雪玉を投げる。
「あれ、どこに行ったの?」 と一瞬、犬たちは戸惑うが
「 あ、これは新しいゲームなんだな」と喜び、 雪玉を追いかけるふり、、 をする。

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犬たちはなぜ、 雪遊びに魅了されるのか?

雪が降るたびに、犬たちは活性化していくようでした。
この毛むくじゃらの4本足の生き物は、どうしてこんなにも雪遊びに「ハマって」いくのでしょうか。

諸説あります。

新奇なオモチャ

犬にとって雪は「真新しいオモチャのようなもの」という意見があります。
そうかもしれませんね。 しかも、そのオモチャは無尽蔵のように見えるじゃありませんか。雪という非日常的な新しいものに好奇心を抱いているということは、間違いなく言えるでしょう。

ちなみに、犬たちは馴染みのあるものより新奇なものを圧倒的に好むことを示唆する研究もあります。

ゴールデンレトリーバーのロンド。筆者が育てていた5ヶ月齢の雄

嗅覚の活性化

犬にとって雪は独特の匂いがする のかもしれません。雪が降る前、 降っている最中、降った後では、それぞれ異なる匂いがすることでしょう。 雪は匂いを隠したり、強めたりする可能性もあります。

少し科学的な説明をしておくと、雪は単に凍った水で、無臭のはずです。しかし、空気中の匂い分子が雪に付着し、雪の匂いに影響を与えます。 つまり周囲の環境によって 雪の匂いが決まってくるというわけです。特定の場所では雪は特定の匂いを放つことになるのです。 

たとえば、植物や土壌などの自然の香りがたっぷり含まれる雪なら、その香りに犬の鼻が惹かれるのは納得ですね。

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感覚的な刺激

犬たちが雪に魅了されるのは、雪そのものの感触、 雪の中で戯れる感覚が心地良いのかもしれません。 雪上で戯れる喜びにあふれた犬たちの姿を見ていると、このシンプルな答えが1番の理由のようにも思えます。

2ヶ月齢のゴールデンレトリーバーの子犬

雪上の犬たちは、笑顔を超えた表情を垣間見せてくれます。
(キミたちは本当に雪が好きなんだなぁ)

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犬の目線の先にあるのは?

ここで皆さんに質問です。
犬にとって、楽しさあふれる雪上をさらに魅力的にするものは何でしょうか?

犬の目線を見てください。皆さんも気づいてますよね。
狂喜乱舞するかのごとく遊んでいても、必ず飼い主のことを注視しています。

筆者が寝食を共にしたゴールデンレトリーバーたち。 


答えは言うまでもありません。
飼い主が犬といっしょに遊ぶことです。

ボクたちと同じように雪の上ではしゃいでくれたら、最高でーす。

もしも犬たちが、人間の言葉を話せたら、そんなことを言いそうですね。


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雪が大好物なのは、厚い被毛の大型犬


シベリアン ハスキー、 セントバーナード、バーニーズマウンテンドッグ、ニューファンドランド、グレートピレニーズなど寒冷地で作出された犬種は、ダブルコートの厚い被毛のおかげで、寒い天候に耐えるだけでなく、それを楽しんでいます。


1歳に満たない雌のセントバーナード。スイスのアルプス原産の歴代のセントバーナードは、厳しい冬の捜索救助を担ってきた。 厚いダブルコートに覆われたこの大型犬は、極端な低温にも耐えることができる。


スコットランド生まれのゴールデンレトリーバー の場合、(筆者が観察した限り)雪の中だと、ふだんよりテンションが上がります。おやつ、オモチャ、散歩、飼い主…。 これらはすべて好物かもしれませんが、大好物は雪遊びなのです。
もちろん個体差があるので、 ゴールデンレトリーバーでも雪遊びにそれほど興味を示さない犬がいることも事実です。

あ、忘れてはいけません。秋田犬や柴犬、甲斐犬などの日本犬もダブルコートでしたね。寒冷地や四季がはっきりした地域で作出されたかれらも、厳しい寒さに耐えられます。

注意:寒すぎる兆候を見逃さないように


「雪やこんこ あられ やこんこ」の歌い出しでなじみのある童謡のフレーズに「犬は喜び庭かけまわり、猫はこたつで丸くなる」というのがありますが、 あの歌の影響で勘違いをする人がいるようです。

すべての犬が雪と寒冷さを好んでいるわけではありません。アンダーコートのない犬種、 特に短毛種は、極寒の気温にさらされると震え、 寒さに耐えられなくなることがあります。外に出て遊ぶ前に、犬のセーターやジャケットが必要になる場合もあります。

犬のボディランゲージから、犬が寒がっているかどうかがわかります
震えていたり、足を高く上げたり、じっと立って動こうとしない。 もしもそんな様子を見せたら、最もふわふわの コートに覆われた犬種にとっても寒すぎる兆候です。

☑️雪遊びに際しては、いくつか注意点もあります。 獣医学的な話になるので、 その分野の専門知識を持ち合わせていない筆者が、ここでひとつひとつ列記することは控えますが、気になる人は「 犬との雪遊びの注意点」 でググってみてください。 数多のサイトで説明されています。 ご自身で情報ピックアップしてみて下さい。


雪が野性を呼び覚ます?

雪が降るたびに、犬たちは活性化していくようでした。
雪は犬たちを探検家にしました。

筆者の単なる思い入れでしょうか。
 目を輝かせながら喜々として雪の中を動きまわる犬たちは、 原始の野性(のようなもの)を呼び覚まされたかのようです。

いつの間にか、筆者は、遠い昔、 太古の時代に寒冷地で繁栄したであろうオオカミの祖先に思いを馳せていました。

見慣れた風景が一夜にして一変し銀世界となった。
この5ヶ月齢のレトリーバーはどんな気持ちだったんだろうか。
写真を眺めながら改めてそう思う。

💁🏼おまけ

撮影秘話 『もっとデジイチLIFE 』 デアゴスティーニ・ジャパンより


🆙 一読をお薦めしたい記事(英文)

米国ケンタッキー州の州内で唯一稼働しているという救急動物医療センターのサイトの記事。 簡潔で読みやすいです。寒いときでも、犬には運動と精神的な刺激が必要だと強調し、外に出るのをためらう犬には、ジャケットが役立つと述べています。ジャケットを必要とする犬種名をその理由とともにあげています。


✳︎ 参考文献

『RETRIEVER』 2007年1月号所収「 絶対レトと雪遊び」

Why Dogs Love the Cold and Playing in the Snow | Mary Jo DiLonardo, 2019

Neophilia in domestic dogs (Canis familiaris) and its implication for studies of dog cognition| Patricia Kaulfuß & Daniel S. Mills ,2008 Animal Cognition

Why Do Dogs Love Snow? Because It's a Interesting New Thing To Explore | 2022,Daily Paws

The Fascinating Scent of Snow: What Does It Smell Like? | Spoken Flames

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2本足の犬
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