【字幕投稿報告】Kurzgesagt: Why We Should NOT Look For Aliens - The Dark Forest
Kurzgesagtの「エイリアンを探してはいけない理由」という動画について、字幕を投稿した。暗黒森林理論という考え方を紹介したもので、『三体』というSFの話題作でも登場した理論らしい。
雑感
宇宙の話は、他のトピックほど興味を持っていないのだが、『三体』については気になっていたし、好都合と思って字幕作成に取り組んだ。
エイリアンとの遭遇を考えるとき、どうしても地球人としての主観的な目線からその場面を想像してしまう。しかし、考えてみるとエイリアンの側にとっても地球人は未知の存在だ。
そして、未知の存在であるがゆえに「自分たちの文明を壊滅させようとする可能性」を否定できない。エイリアンからみても、地球人はそのような脅威である可能性があるわけだ。
「自分の文明を滅ぼしうる相手に対して、どのような対応をとるべきか。宇宙人はこう考えるだろうし、だからこそ地球人はこうすべきだ。」
相手側にその場面がどう見えているかを想像し、最善手を探る。その流れはよくできたギャンブル漫画のようでもあり、なかなかに楽しめた。
それに、森林の中の狩人をたとえ話として描いている点も、スリリングで魅力的な描写だった。
字幕作成上の苦労
「英語としての意味は取れるのだが、少ない文字数の日本語に落とし込みづらい」という表現が多く、今回は辛かった。
Kurzgesagtの動画は、いくつかの節にわかれていて、それぞれに小タイトルがついていることが多い。
1つ目の”The Way Of Life”は辞書的には「生きざま」だし、2つめの”The Implication”は「含意」だ。
しかし、動画内文脈でいうと、”The Way Of Life”は「文明を築くような生物が持っている暴力的な本能」、”The Implication”は「異星人の発見が意味する事」というニュアンスになる。これをわずかな文字数で表現しないといけない。
さんざん悩み、”The Way Of Life”は「生物としての習性」、”The Implication”「邂逅が意味すること」とした。
終盤、狩人が”clearing”にたどり着く。検索で出てくる訳は「空き地」とか「拓けた場所」だ。映像や動画のニュアンスからすれば、真っ暗な森林から抜けた、光の差す場所という意味になる。
拓けた場所、は一見すると良い訳なのだが、「拓けた」という語彙を使うと、その土地を拓いた何者かが存在するようなニュアンスが生じてしまう。他者がいるのかいないのか、という疑心暗鬼の不安感がテーマの動画なのだから、訳としてふさわしくないと判断した。
そこで、文字数は多くなってしまうが、「光の差す場所」と訳してしまうことにした。
エンディングでの呼びかけ作戦
Kurzgesagtの動画では、最後にお決まりのBGMを無言で流すところがある。勝手ながら、そこで字幕の協力を募る文章を入れてしまった。
やはり、自分ひとりでは長期間は続けられない。せめて、やや苦手で関心も薄めの分野である、宇宙物理系は誰かに分担してもらいたい。
どちらかというと、宇宙物理系の方が再生数も多く、人気なのだ。
YouTubeの字幕作成機能が無くなる前は、いろいろな人がボランティアで字幕を付けていたと思う。そういう人たちが、現状を認識して復帰してくれればなぁと思うのだ。
もちろん、しばらく様子を見た後、最後の呼びかけが入力されていない字幕ファイルへと差し替えをお願いする予定である。
2022/1/28 追記
数名、呼びかけに応じてくださる方が現れたので、予定通り募集のない字幕ファイルへの差し替えをお願いしておいた。おそらく、反映してくれるだろう。
TEDの字幕って?
他の教養系動画で、安定して字幕がついているコンテンツとしてはTEDがある。そちらはどうやってコンスタントに字幕がつく状態を維持しているのだろう。
調べてみると、Facebookに字幕作成者が集うコミュニティがあり、動画ごとに字幕製作者と校閲者が立候補して取り組むような形で続いているようだ。
自分のような個人が独断で字幕をつけ、誰からも訂正されないような状態よりも知的に誠実だなぁと思う気持ちが半分、そういうコミュニティだと自分は息苦しく感じてしまうかもなぁという気持ちが半分という感じだった。
追記
動画を投稿後の自動返信がこちら。赤字で書かれている部分に注目。「Kurzgesagtは12/24~1/10までは祝日につき休業です」とのこと。
・・・ホワイト企業だぁ
ということで、字幕が反映されるのは早くとも1/10になりそうだ。