【字幕投稿報告】Kurzgesagt: Vaping Is Too Good To Be True

Kurzgesagtの「電子タバコは信じられないぐらい良い」という動画について、字幕を投稿した。さっさと反映したまえ。

雑感

前作にあたる「喫煙サイコー!」の動画は鮮烈だった。一方で、その動画のリアクションとして、「だったら電子タバコのリスクはどうなのだ?」という質問は、youtubeのコメント欄でも、Redditでも言われていた。

今回の動画はその明確な回答となる。

面白いのは紙巻タバコに火をつけるよりもよっぽど吸いやすく、低リスクになっているというのに、快適に吸えるがゆえに吸いすぎにもつながるということだ。

翻訳の苦労

”Elephant in the room”という慣用表現にはけっこう苦労した。
直訳すると「部屋のなかのゾウ」だが、その意味するところは結構おもしろい。部屋のなかにゾウがいれば、誰でも気づく。でも、誰もそのゾウに言及しない。そんな状態を指している。

つまり、「みんなわかっているけど触れようとしない問題」みたいなニュアンスなのだ。「管理職の髪の毛、カツラっぽいよね」というような状態がElephant in the roomなのかもしれない。

今回の動画では、「電子タバコなんて、まだ十分な疫学的調査もないのに(見て見ぬふりで)みんな吸ってるよね」というニュアンスで登場した。

これを短く訳すのは難しかった…

引退詐欺?

前回の記事で、忙しいから半引退状態に入ると宣言したのだが、早速字幕を投稿してしまった。

理由は3つだ。第一に、Kurzgesagtの動画投稿頻度がヤバイ。例年、10月ぐらいから頻度が高くなるのだが、今年はどうやらかなり活性が高いようで、ほとんど週1に近い。こうなると、えんどうさん一人に負担がかかりすぎる。

第二に、以前に自分が字幕をつけた”Smoking is Awesome”の続編とも言える内容であり、前回の経験や語彙を活かしながら訳せるということ。

第三に、ChatGPTを用いた字幕作成プロセスの効率化を試したいという想いが強くなったことが挙げられる。というかこれが6割ぐらいを占めていたかもしれない。

生成AIが騒がれだし、反笑いで遊んだことは何度もあった。
でも、自分の生活を本格的に改善するかもしれない、という使いどころを思いついたのは初めてだった。

そのプロンプトの試行錯誤をやってみたいという好奇心が芽生えていた。

ChatGPTさん…

ということで、ワクワクしながら挑戦を始めた。まず、英文のSRTファイルを作る。これは手作業でやるしかなく、発話に合わせて字幕を区切り、英文をコピペしていく。これだけで70分ぐらいはかかった。

さて、できた英文SRTファイルをChatGPTにぶっこみ、命令をくだす。
だがこれが、うまくいかないの何の。

・秒間6文字以内での翻訳案をお願いすると、秒間4文字ぐらいの意味を削りすぎた候補を返してくる。
・SRTのタイムスタンプを歪めて訳してくる
・英語SRTを英語に翻訳し始める。
・100セクションの翻訳をお願いすると、20セクションやったあとで中断し、「続きをやりますか?」と聞いてくる
・続きを頼むと、80~100セクションの訳を出してくる。省略するな。

ちょっと笑ってしまうぐらいイライラする。このポンコツ社員め。

だが繰り返すうちに、少しコツがわかってきた。

・一回一回、同じ要望でもハッキリと定義を繰り返さないと、いつ暴走するかわからない
・タイムスタンプをいじらない旨は毎回明記する
・長文の翻訳はストップがかかるので、小刻みに要望を出す。

…どうにかこうにか、正確さ重視の訳でのSRTを作らせることには成功した。もう一度挑戦することがあれば、秒間6文字の翻訳と正確さ重視の翻訳の両方を書き出させたSRTを作らせることもできるかもしれない。

効率化は成功したか?

さて、今回は正確さ重視の訳による和文SRTを作らせ、それを字幕に適した文に修正していく、という形をとってみた。

とはいえ、単なる機械翻訳であれば以前から利用している。だからこれはささやかな変化に見えるかもしれない。

だが、自分にはかなりの効率化となった。というのも、使っている字幕作成ソフトに翻訳モードというものがあり、英文SRTと和文SRTの両方があるところから始めると、作業のインターフェイスをほぼ一本化できるからだ。

これまでは、
・字幕ツール
・全文入れたwordファイル
・機械翻訳を行うブラウザ

をそれぞれ開き、行ったり来たりする必要があった。しかもブラウザがあると、TwitterやYoutubeをチラチラみてしまう。それがかなり集中力とモチベーションを削っていたように思う。

とはいえ、また挑戦することがあったら、今回と同じ手法に妥協せず、今度こそもっとChatGPTを使いこなしたいものだ。