【雑記】Kurzgesagt ナレーター Steve Taylor 氏は加速し続けているのか
緒言(手短に)
・ナレーターが早口であるほど、字幕作成は大変
・テイラーさん最近どんどん早口になってない?字幕班の気持ち考えて
・思い込みかもしれないので調査してみた
調査方法
調査対象の動画:Kurzgesagtの初投稿動画および、毎年8月の動画とした。8月に複数の動画が投稿されている場合、ランダムに1つの動画を選択した。なお、2023年度は意図的に8/22の動画を選んだ。
測定方法:BGMだけの箇所が入らないよう。原則として動画の2:00~3:00を対象として語数を計測した。加えて、広告パートがある場合、その話初めから話終わりまでの秒数と語数を調べた。
ただし、2:00~3:00にBGMだけの箇所を発見した場合、計測開始地点を少しずらすなど、臨機応変な対応を行った。
語数を秒数で割ると秒間の語数、すなわち平均して一秒あたり何語を発話したかを見ることができる。以降、本記事ではこの値を「早口指数」と呼ぶ。
結果
結果①動画メインパートの早口指数
生データを含む集計結果を上の表に示す。
2013に初投稿された動画内の早口指数は2.0であり、以降と比べてもゆっくり話していたことが明らかとなった。そこからしばらく、早口指数は増加傾向を示し、2017年には初投稿時の1.5倍となる3.1に達した。
だが、2018年以降の早口指数は2.3~2.6秒程度で安定していた。これは偶然の一致ではなく、Kurzgesagt側が最適な早口指数を特定し、動画のスピードをコントロールするようになったことを示唆している。
2023年度の値が3.4と特異的に高いが、これは動画内容を受けての意図的な演出であると考えられる。この動画の内容は「限られた時間内に核報復を行うよう、大統領に語り掛けている」というシチュエーションとなっており、意図的に早口になる必然性が認められるためである。
結果②広告パートの早口指数
広告パートが存在する全ての動画について、本編よりも広告パートの方が高い早口指数を示した(表)。
KurzgesagtはYouTuberとして、動画の長さを10分程度に収める方針を持っている。そこで、本編と広告パートのどちらを短くするかを考え、広告パートの方を早口にしているものと推察された。
考察
最近、字幕作成がどんどん大変になっていると感じ、それはテイラーさんがどんどん早口になっているためだと仮説をたて、検証した。
結果として、2018年以降は早口指数が安定していたことが明らかとなり、私が感じている大変さには別の要因があることが示唆された。
ただし、最新の「How A Nuclear War Will Start - Minute by Minute」は調査対象の中で最大の早口指数を誇っていた。この動画に6文字/秒の字幕をつけることができたのは偉業と言えるだろう。
ただし、本調査は対象を年1本に限定していることから、厳密性に欠けている。自分以上のストーカー気質の人がいたら、全動画でやってみて欲しい。
参考:Kurzgesagtストーキングシリーズ