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『きりこについて』を読んだ。猫のように生きてみたいものだ。

わたしは自分の見た目に関してコンプレックスが酷い。
肉付きのいい顔に小さい目、鼻筋は通っているのに正面から見ると小さい鼻。
唇はぼってりと厚く、綺麗な歯並びも笑った時に品がよく見えない。
 
そんな自分に対するルッキズムに30年間悩まされてきた。
大人になってから考え方を変えようと、人それぞれだとか、メイクを頑張ってみるだとか色々やったけれど、
鏡を見て思うことは真っ直ぐに「自分はなんてブスなんだろう」。


西加奈子著の『きりこについて』を読んだ。
主人公きりこはぶすであるとのっけからだいぶぐっさりと刺される。
でも本人は客観的に自分がぶすであることが理解できない。

そしてきりこが拾った猫ラムセス2世のキャラがすごくいい。
頭がよくなんでもわかっている猫。
猫の世界からしたら人間の美醜なんてその考えこそが醜い。


自分がぶすであることを突き付けられたきりこは、
やがて自分の精神世界へと入り込み眠り続ける日々を過し予知夢を見るようになる。
予知夢から得た人々の悲しみを救おうと、
自分自身を見つめなおそうと新しい一歩を踏み出す。
そして辿り着く「わたしはわたし」であるということ。
 
西さん節炸裂のユーモアある文章が、
するすると人の心を解いていくような小説だと思った。
どれだけ人間は容姿に振り回されているのだろう。
どれだけ社会は人を見た目で判断しているのだろう。
見た目が美しいことはとても素敵なことだと思うけれど、わたし達はなんでこんなにも見た目に苦しめられなきゃいけないんだろう。


わたしは人から可愛いと言われた経験が少ない。
だからこそ折角の好きな人からの可愛いを信用できない。
 
でもそんなのってすごく悲しいことだと思う。
素直に受け入れられたらどれだけいいことか。
 
30年間積み上げてしまった自分に対するコンプレックスは中々払拭できないけれど、
早くわたしも自分を解放してあげたい。
中身も、外見も、歴史も含めて全部自分。
 
そしてわたしもその全てで誰かを愛したい。
最近できた好きな人、中身でとても惹かれている。
『きりこについて』を読んで尚更この恋を大事にしたいと思った。

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