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『盲目的な恋と友情』を読んだ。他人へのどうしようもない依存。

わたしは、人への依存度が高い方だと思う。
常に友人や家族とのLINEは続いているし、
恋人からの連絡をつい待ってしまう。
 
構われるとすごく安心するし、
優しくされるとその人のことが大好きになる。
 
自分を自立させたいと思いながらも、
つい他人のあれこれに振り回されてしまう気持ちを変えることが中々できない。


辻村深月著の『盲目的な恋と友情』を読んだ。
辻村さんは複数の登場人物を動かくのがとても巧いと思う。
全て明確に書かれていないにしろ、
サブのキャラクターの心情までもが文章から滲み出ている。

『盲目的な恋と友情』は<恋>を題材にした彼氏に振り回される蘭花目線の章と、
<友情>を題材にした蘭花の友人留利絵目線の章の前後編に分かれる。
 
恋愛と友情、恋人と友人、似て非なるものではあるが、
その似ている部分に深く切り込んだ作品になっていると思う。


恋人に依存してしまうことでその人に対してなんでもしてあげたい。
周りの言葉が聞こえなくなる。
ダメだとわかってはいるのに、その人と一緒にいたい。
 
友人に純粋な優しさで接したいと思っているのに、見返りを求めてしまう。
自分についてどこまでも受け入れてもらいたいと願ってしまう。
 
そんな”傲慢”を持ってわたしたちは人と接し人を愛してしまうのだ。
 
まあ生きていてある程度の理性は身に着けているので、
ある程度の我慢や自制心を普段は持っているわけなのだが、
この小説ではその抑えつけているものたちが怖いほど露わにされる。
 
だから、読んでいて苦しい。
 
でも、人間ってこうだよなって。
こういう部分って誰にでもあるよなって。
辻村さんの作品ってすごいえぐってくるけど改めて気付かされるなっていつも思う。
(『傲慢と善良』も読んでいてそんな気持ちになった)


人間関係って本当に難しいしめんどくさい。
それでもやっぱり誰かに愛されたいし愛したい。
自分の気持ちをどれだけ俯瞰し、
相手の気持ちをどれだけ考えられるかが、
上手くやっていく第一歩なのではないかと思う。
 
小説を読むことは、そういう“俯瞰”の部分を鍛えられる。

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