本を読みすぎて太ったよ、ブックブクにね!たはぁ!(汚い笑顔)
「○○について勉強してるんです」「○○の本を読んでるんです」などの話をすると、たまにこの一言を言ってくる人間が居る。
「それって何の役に立つの?」
本当に興味本位で聞いてくれているのであればまだ良いのだが、意外にそんな人は少ない。
嫌味だったり、マウントのために言ってくる人間が多く、自分の周りではビジネスマン気取りな人にその傾向が強かった。
「無駄なく金になる事に時間を使ったほうが良い」と、スマートなつもりになっている人だ。
経験上、こういった人とは距離を置いたほうが良いと思っている。
単純に、他人に対して悪辣な言葉を投げかける事に抵抗が無かったり、自分の頭で考える力を欠いているからだ。
その割に臆面もなく「もっと学べ、もっと勉強しろ」などと言ってきたりするので、厄介だ。
奇しくもそういう風に言ってきた人達は、他人を思いやることを欠いていたからか、はたまた気持ちの余裕がないからか、理由は不明だが仕事やプライベートで行き詰まっている。
人それぞれのスマートさを否定するつもりはないが、少なくともコケている人間の様式を真似る必要はないだろうなと思ってしまう。
他方、客観的に見て「よく勉強されているんだなぁ」という人は、他人に「何の役にたつの?」だとか「もっと勉強しろ」などとは言わない。
自分と他人が違う人間であることをしっかり認識しているし、そもそも”勉強している”などと意識していない可能性が高い。
「いやぁ、何もしてないですよ」という人の方が、日常の行為として研鑽に努めていたりする。
個人的に好きな言葉がある。
本を10冊くらい読めば誰でも専門家になれる
原典は誰か不明だが、少なくとも西村博之が言っているのを聞いた覚えがある。
正直、西村博之は好きなタイプではないし、本当に根っからこの言葉を信じているわけではない。
揚げ足をとれば「車の本10冊読んでも免許持ってなきゃ運転できねーじゃねーか」などとも言える。
それでも「これ1冊読んでも意味なんかないだろうなぁ」と諦めてしまうよりは、10冊目指して「まずはこの本を読んでみよう!」とやる気になれるのなら、本当に素敵な言葉だと思う。
10冊どころか、1冊読むのだってスタートできない人の方が多いのだから。
本を読む意味、というのは人それぞれで、それこそ年齢によっても環境によっても変わってくる。
なので押し付けるつもりもあまりないが、最近は生活の中で「本を読んでてよかったな」と実感することが増えた。
2月に、和嶋慎治さんの”屈折くん”という自伝を読んだ。
和嶋さんは人間椅子というバンドのギタリストだが、人間椅子は「三宅裕司のいかすバンド天国」のブームが去った以降はかなり苦労を重ねていたようだった。
最近はセールスが好調になり報われ、人間椅子は30週年を迎えたが、まぁ30年続けるのも尋常ならざることだろうなと思う。
特に40代は苦労のドン底だったようで、アルコール依存で手が震えるようになったり、生きる意味そのものを見失ったりするような状態だったようだ。
和嶋さんは元々本を読む方だったようで、じっくりと自分の人生と向き合うために哲学書を読むようになったそうだ。
その中で、生きることについて「美しく生きていこう」と思い至り、周囲すべてへの感謝とともに苦境を脱することができたとのことだった。
後年になり、和嶋さんは「製本工場で働いていた日々は本当に泥に塗れた日々だったけれど、今にして思えば宝石のようにキラキラと輝いたかけがえのない日々だった」と語っている。
”屈折くん”自体は和嶋さんに興味を持って読んでみた1冊だったけれど、偶然にも読み終えた次の週から職場が激動した。
(前の記事に書いたように、部署内から2名の退職者が出るなどしました)
今もその余波は続いているが、”屈折くん”を読んだことで「ただ辛いだけの日々も意味を持つことがある」と知ることができ、なんとか持ちこたえる支えとなった。
また、影響されて哲学書も読むようになり、過去に興味を持っていたとき以上に熱意を持って本を読むようになったし、哲学者の遺した言葉と生活がリンクするように感じるようにもなった。
例えば“永劫回帰”を知らず、噛み締めなかったら、周囲に対して怒りをぶつけたり、やもすれば無責任に仕事を放り出して辞めてしまっていたかも知れない。
本を読むことは、結局のところ時期によっては意味を持たなかったりするし、本を読む行為そのもの(プロセス自体)に意味があったりすることもあると思う。
だが少なくとも本の代金以上に損することはほとんど無く、無駄になることはない。
むしろ、自分より明らかに頭の良い人間が考えたことやまとめた知見を得られる。
(“永劫回帰”を唱えたニーチェは24歳で大学で講師をするほどに優秀だった)
自分一人で車輪の再発明をするより得られるものが多かったりする。
ある意味では、この方がよっぽどスマートなんじゃなかろうか?
人生に無駄なことなどなにもない、自信をもってページをめくろう。