太陽熱で二酸化炭素を削減…戸建て住宅の屋根の上(太陽熱温水器)でお湯を沸かして温暖化・沸騰化緩和に寄与…設置費用の補助制度はありませんが…
酷暑の毎日が続いていますが、いくら暑くても、毎日水風呂を浴びている方は少ないと思います。真夏でも、浴室だけでなく台所や洗面所で、シングルレバーの混合水栓からお湯を出す(出してしまう)機会は多そうです。
一般家庭で生産可能な再生可能エネルギーといえば太陽光発電ですが、蓄電池なしの設備一式でもかなり費用がかかります。太陽光で発電した電気の固定買取価格は大幅に下がりましたが、手厚い補助制度もあるので、リースや屋根貸しの形態をとれば、初期費用0円で導入することも可能です。
屋根の上に所狭しとソーラーパネルを並べる太陽光発電とは異なり、太陽熱温水器の貯湯量が200リットル程度であれば、屋根に設置する集熱パネルの大きさは凡そ2メートル×2メートルです。
従来の(今でも主流の)太陽熱温水器は集熱パネルと容量200リットル程度の貯湯タンクが一体となっていますが、大きな地震が相次ぐ昨今、耐震性能の低い住宅の屋根の上に常時200kgの水(湯)を載せておくことは望ましくありません。
一方、20年ほど前から販売されている分離型の太陽熱温水器であれば、屋根に設置するのは集熱パネルのみです。(但し、2メートル×2メートルのパネルで重量は40〜50kgあります。)貯湯タンクは地上((電気・ガス・灯油)給湯器の隣)に置けばよいので、建物への負担は小さくなります。集熱パネルと貯湯タンクを結ぶ配管(往き・還り)を流れる溶媒(不凍液)が屋根の上から貯湯タンクへ(太陽の)熱を運びます。但し、一体型の太陽熱温水器と比べ、設置コストは2~3倍かかります。
高価な上に補助金も出ないので、メーカーのカタログ上でも肩身が狭くなる(ラインアップが減る)一方ですが、一般家庭に導入すれば、特に夏季にはガスや灯油の使用量が大幅に減ります。給湯器をリフォームされる際には、ご検討ください。(※ 多数のメーカーの製品の中から、取り急ぎ、ノーリツと長府製作所の製品のみ引用しましたが、後日、他のメーカーの製品も追記したいと思います。)
ノーリツの製品(一例、複数の製品がラインアップされています。)
長府製作所の製品
上記のような太陽熱温水器を(リモコンで出湯温度を設定(設定温度になるよう、貯湯タンク内の温水と水道水を自動的に混合)しながら)単体で使用する際には、一昔前であれば、浴室の壁に穴を開けて浴槽の脇に(太陽熱温水器)専用の水栓を新設していましたが、上記製品は各々のメーカーの最近の(電気・ガス・灯油)給湯器に接続して連動させることができます。
太陽熱温水器から給湯器に供給される温水が給湯器の設定温度より低い場合は給湯器で加熱する必要がありますが、夏季には貯湯タンクに蓄えられた水の温度が70℃を超え、給湯器の燃料消費量は激減します。冬季には貯湯タンクに蓄えられた水の温度は50℃代までしか上がりませんが、それでも、給湯器の燃料消費量を大幅に節減することができます。
異なるメーカーの給湯器や旧式の給湯器と連動させることは難しい(推奨されない)ので、既存の給湯配管の川上に電動三方弁を取り付けて、三方弁を屋内のスイッチで適宜切り替えながら、貯湯タンクに温水があれば太陽熱温水器から、温水がなくなれば給湯器から給湯している事例も少なくないようです。
(※ 以前は取り付けが容易な(太陽熱温水器向け)DC駆動の電動三方弁
と専用切替スイッチが販売されていましたが、既に製造が終了し、在庫も売り切れたそうです。)
尚、太陽熱温水器と給湯器が一体化された製品も販売されています。
ノーリツの製品
長府製作所の製品
追記
溶媒(不凍液)を介して水道水を温める太陽熱温水器の貯湯タンクを単独で使用しても、給湯器に接続しても、蛇口から出るお湯は貯湯式の給湯器から出るお湯と同様に扱われます。
メーカーによって表現は異なりますが、鍋に注いで料理に使用しても通常は問題ありません。大量に飲用する場合は、一旦沸騰させてから使用すると安心です。
また、他の貯湯式の給湯器と同様に、たいてい貯湯タンクの最下部から給水し最上部から出湯する構造が採用されており、給水された温度の低い(密度が大きい)水は温度の高い(密度が小さい)湯とゆっくり混ざります。その結果、貯湯タンクから出湯される湯の温度もゆっくりと下がりますが、途中から急激に下がるので、ご注意ください。
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