1.プーチンのリスト~強まる国家資本主義~ 2009年3月1日(日)
2.失われし人々の祈り~膨張するロシア正教~ 2009年3月2日(月)
3.離反か 従属か~グルジアの苦悩~ 2009年3月22日(日)
4.プーチンの子どもたち~復活する“軍事大国”~ 2009年3月23日(月)
(岸田首相)襲撃事件は新興宗教等とは関係がなさそうですし、旧統一教会との関りが統一地方選挙に立候補した候補者の当落に大きく影響した事例も報道されないので、この週末はロシアやプーチン大統領に関する記事や映像を閲覧していました。
中でも(昨年5月にまとめて再放送された)NHKスペシャル『揺れる大国 プーチンのロシア』(全4回、2009年3月放送)は、その後、クリミア半島の併合を経て現在に至るプーチン大統領と彼を取り巻く官僚や軍人や新興財閥(オリガルヒ)の言動を素人なりに解釈する上で役に立ちそうです。
4本まとめて再視聴するのに3時間以上かかりましたが、ロシア国内で学校に通っている子供たちの多くは軍国少年少女ではないかと推測される一方、プーチン氏が初めて大統領に就任した当時に幼児や青少年であった若者たちも既に20代から30代に達しており、ソヴィエト連邦時代を懐古する高齢層も含め、今後も大勢の老若男女が特別軍事作戦(ウクライナへの侵攻)を支持し続けるのではないでしょうか。
お時間があれば、ソヴィエト連邦の崩壊後、ロシアの市民が歩んできた道程を理解する一助として、是非ご覧ください。
特別軍事作戦(ウクライナへの侵攻)が始まる1週間前の新聞記事
(2022年2月17日 日本経済新聞 朝刊)
2015年 ミンスク合意 - ロシアの論拠 親ロ派地域に自治権
1994年 ブダペスト覚書 - 米欧「ロシアが違反」
2022年2月17日
ウクライナ情勢を巡り、多国間による2つの「合意」が焦点となっている。ロシアはウクライナ東部紛争の和平への道筋を示した「ミンスク合意」の履行を迫る。一方の米欧はロシアこそが過去に結んだウクライナの安全を保証する「ブダペスト覚書」に違反していると批判する。緊張緩和に向けた外交交渉は難航が予想される。
国連安全保障理事会は17日の会合でミンスク合意の履行状況を議論する。議長国のロシアが呼びかけた。同国はウクライナが合意を履行していないと批判しており、その主張に国際社会の賛同を促す狙いがある。
ミンスク合意はロシアとウクライナ、独仏首脳が2015年にまとめた。ウクライナ東部で14年から続く同国軍と親ロシア派武装勢力との紛争について、停戦と和平への道筋を示した内容だ。独ロ首脳も15日の会談で、同合意の枠組みが重要との認識で一致した。
履行に向けた最大の争点が親ロ派が占領する東部地域に広範な自治権を持たせる「特別な地位」の付与だ。ウクライナは事実上の連邦制とロシアによる実効支配につながると警戒する。同地域での地方選の実施についても、親ロ派を支援する名目で侵攻してきたロシア軍の撤収や、ウクライナによる国境管理が条件だと主張してきた。
ウクライナには合意がそもそもロシアに有利な内容で結ばれたとの不満がある。ロシアはウクライナが訴える項目の修正を拒否してきた。ウクライナが合意を守らず、武力解決を試みているとの立場を取り、同国への圧力を強めた。
ロシアには緊張をあおり、米欧が合意の履行を促すように仕向けたい思惑もある。プーチン大統領は15日の記者会見で、どこまで緊張緩和を進めるかは「状況次第」と言い放った。部隊撤収を国防省が発表し「良い兆候だ」(ショルツ独首相)と期待する見方が出た矢先だった。
ロシアによる揺さぶりは続く。下院は15日、親ロ派武装勢力が実効支配するウクライナ東部2地域を独立国家と認めるようにプーチン氏に求める決議案を採択した。
ブリンケン米国務長官は16日の声明で、国家承認すればミンスク合意に違反すると明言した。「米国が同盟国やパートナー国と完全に連携し、迅速かつ断固とした対抗措置を講じる必要が出てくる」と警告した。
ロシアは同国こそが国際合意に違反しているとの批判は受け入れてこなかった。特にウクライナを巡り、1994年に同国とロシア、米英が署名した「ブダペスト覚書」に違反した行為を続けているとの指摘がある。
覚書はウクライナがソ連崩壊時に国内にあった核兵器を放棄する代わりに、同国の主権を尊重し、武力行使や威嚇をしないと定めた。ロシアが14年にクリミア半島の併合を一方的に宣言したのに続き、今回の国境近くでの軍備増強もこの覚書に違反すると米国は批判する。
プーチン氏がこの覚書に言及することはミンスク合意に比べて圧倒的に少ない。ロシアに有利な合意は利用し、不都合な覚書は黙殺する。同氏の姿勢はそんな「ご都合主義」にも映る。国際的な合意を軽視する強権国にどう対抗できるか。軍事圧力によってロシアとの交渉を強いられた米欧は難しい対応を迫られる。