見出し画像

【続】投下後79年余を経ても地中に潜む戦争の亡霊 - 紛争地(ウクライナ、ガザ、他)に埋設された地雷や投下された不発弾の行く末は?

宮崎空港の誘導路の路肩部分(ショルダー)で太平洋戦争末期に投下された不発弾が爆発してから2週間余りが経ちましたが

滑走路等の概念図

一昨日の夜に小型の磁気探査装置で不発弾の緊急調査が始まったようです。

不発弾爆発の宮崎空港 ほかに埋まっていないか緊急調査を開始

2024年10月17日

10月2日に不発弾が爆発した宮崎空港で16日夜から、ほかにも不発弾が埋まっていないかを調べる緊急の調査が始まりました。

宮崎空港では10月2日、滑走路につながる誘導路で戦時中にアメリカ軍が投下したとみられる不発弾が突然、爆発しました。

このため、ほかにも不発弾が埋まっていないかを調べる緊急の調査が始まり、航空機の運航が終わったあとの16日夜11時前からは不発弾が爆発した誘導路の端の「ショルダー」と呼ばれる場所付近で行われました。

今回の調査では磁気の異常を把握することで地中に金属類があるかどうかを調べる「水平磁気探査」という手法が用いられ、特殊な機材を手にした検査員が3人1組で地面に引いた直線の上を歩いて調べていました。

この手法では深さ2メートルまでを調査でき、得られたデータを分析して不発弾の疑いのあるものが埋まっていないかを調べるということです。

今後、滑走路やほかの誘導路など空港の敷地全体に調査の範囲を広げていくということです。

国土交通省宮崎空港事務所の加藤浩介空港長は「ほかの場所でも可能なかぎり同様の調査を行い、安心して空港を利用してもらえるようにしていきたい」と話していました。

国土交通省は、宮崎空港と同じく旧日本軍の施設だった場所にあり、これまでに不発弾がみつかっている仙台・松山・福岡・那覇の4つの空港でも今後、調査を行うことにしています。

戦時中 空襲を目撃した人「不発弾はほかにも絶対あると思う」

現在、宮崎空港がある場所には戦時中、海軍の宮崎航空基地があり、沖縄周辺のアメリカ艦隊に航空機で体当たり攻撃する特攻隊の基地として使われていました。

アメリカ軍の空襲にもたびたび見舞われ、宮崎市の川崎好さん(94)は、15歳だった当時、基地の南側にある小高い丘からその様子を見ていました。

川崎さんは「B29爆撃機はいったん近づいたあと旋回して戻ってきて、滑走路を狙ってたくさんの爆弾をバラバラバラと落としていった」と空襲の様子を説明しました。

敵の機体が見えなくなると旧日本軍の部隊がすぐに出動し、爆撃で開いた穴を埋めていきましたが、その後も空襲を受けるたびにまた埋め戻してということが繰り返されたということです。

今回、宮崎空港で爆発した不発弾について、川崎さんは「やっぱり、まだ残っているんだなと思いました。空襲の様子からして不発弾はほかにも絶対にあると思う」と話しています。

基地を狙った爆撃機は周辺の集落にも爆弾を落としていきました。

川崎さんは今も宮崎空港の近くで暮らしていて、住宅街が広がる空港の敷地の外でも同じようなことが起きるのではないかと心配しています。

“不発弾の破片 数十から数百メートルに飛散” 

防衛省によりますと、10月2日に宮崎空港で爆発した不発弾の破片は、数十メートルから数百メートルにわたって飛散していたということです。

不発弾の破片は4つにわかれた本体部分と底の部分の合わせて5つ、みつかったということです。

底の部分は埋まっていたところからおよそ200メートル離れた場所で見つかりました。

底の部分には起爆装置の信管がついたままになっていました。

また、本体部分は4つの破片にわかれ、それぞれ、およそ30メートルの場所でみつかりました。

破片が大きく裂け、バナナの皮をむいたような形になったものもあったということです。

自衛隊が撮影した2枚の写真には本体部分の2つの破片が写っていて、いずれも最も長い部分がおよそ1メートルだったということです。

(後略)

宮崎空港の不発弾調査、月末に範囲拡大 深さ2メートル超は否定的

2024/10/18

宮崎空港(宮崎市)で戦時中の不発弾が爆発した問題を受け、国土交通省は周辺に他の不発弾が埋まっていないかを調べる磁気探査を16日夜から17日未明にかけて行った。今月末から、空港内で範囲を広げて調査する方針という。

センサーを地表近くでかざす「水平探査」で行われ、同省によると今後の調査も同じ手法を想定している。

水平探査は、鉄類を探知できる深さは地表から2メートルが「限界値」という。ボーリングをして2メートルを超える深さを調べる手法もあるが、同省宮崎空港事務所の加藤浩介空港長は16日、「いつ終わるかめどがつかず、空港の運用確保も難しい」と否定的な考えを示した。

今回の調査は、2日に不発弾が爆発した箇所の周辺1750平方メートルが対象。誘導路の「ショルダー」と呼ばれる路肩部分と、隣接する緑地帯を、専門の業者が調べた。数日かけてデータを解析し、異状があれば試掘して確認する。

同省は滑走路と誘導路、駐機場のそれぞれのショルダー部分や緑地帯での調査に、今月末に着手する方針という。(奥村智司)

宮崎空港の不発弾爆発、磁気探査で1か所に異物が埋まっている可能性…誘導路を閉鎖し深夜に掘削へ

2024/10/18

宮崎空港の誘導路で不発弾が爆発した問題で、国土交通省は18日、付近の磁気探査の結果、何らかの異物が埋まっている可能性がある地点が1か所確認されたと発表した。空港の滑走路は19日も通常通り運用するが、爆発があった「S6誘導路」は閉鎖し、19日深夜から現場を掘って確認する。

国交省によると、反応があったのは、2日朝の爆発で舗装がめくれ上がった状態になっている場所付近の深さ1・6メートル地点。爆発を受け、国交省は16日深夜から17日早朝、周辺約1750平方メートルの磁気探査を実施していた。誘導路には航空灯火や配管などが埋設され、磁気はそうした設備にも反応したが、反応している物が判別できない地点が1か所あったという。

宮崎空港で行われた不発弾の緊急調査で、誘導路の地中から金属の反応が見つかったため、路面を掘り起こして調べたところ、大量の砂鉄が埋まっていたことが分かりました。

宮崎空港と同様に、終戦まで航空基地として使用されていた(跡地に建設された)仙台空港・福岡空港・松山空港・那覇空港でも近日中に調査が行われるそうです。

終戦から79年を経た日本国内では不発弾処理の件数は年間1,000件~2,000件余りですが、1975年まで戦争が続いたベトナムでは地雷と不発弾の処理が延々と続いています。

また、ウクライナやガザをはじめとする紛争地(戦場)には膨大な数の地雷が埋設され、大量に投下される爆弾が一定の割合で不発弾になっていると推測されますが、争いが終息しない限り本格的な処理に取りかかることはできません。

紛争地の政治家と軍人の皆さんには、世代を超えて戦争が生み出す憎しみの連鎖と共に

この先、100年の単位で地中に眠り続ける地雷や不発弾にも思いをはせていただきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?