視点の自由研究No.70「視点_映像の未来予想2023」
昨年末の未来予想のコラムで業界が溶ける未来を予想してみました。その予想を振り返り今年一年の答え合わせをしてみようと思います。
さらに、そこから来年の未来予想に繋げてみようと思います。
「今年の振り返り」
まずは今年の振り返り。コロナが日常化していきながらアフターコロナを見据えた動きになるのでは?という予想から、仕事への発展の希望をもっていた心持ちだった2022年初め。結果を言えばコロナよりもウクライナ情勢からの円安の方が深刻な状況を招いた年となりました。
この円安、コロナ以上に深いダメージを招いたと言わざるを得ません。夏から秋にかけての三ヶ月がまさに地獄の期間でした。
「DXの波」
そんな環境下で昨年大きく躍進したたライブ配信は形を変えてきています。
コロナの中で一堂に介してのイベントなどは規制が入った昨年とは違い、ある程度は人が集まるイベントが復活した今年。しかし、このコロナを経た環境で人々の意識も変わりました。ライブ配信で、リアルタイムで、さらにデジタル上で会うということからも進み、時間も自由に選べるという選択へと変わったのです。具体的に言うとそれはオンデマンド配信でした。必要な情報は映像としてまとめて適宜、自分の都合に合わせて見ていくというスタイルへと移り変わったのです。
デジタルという空間上の制約がない状況の中、人々の欲求は時間の拘束からの自由へとさらに深化したのだと言えます。こうした技術の発展は今後も人々の欲求にどう応えていくかで大きく進路を変えていくのは間違いないなと感じた一年でした。
「業界が溶けるという予想の答え合わせ」
さて、昨年のコラムで映像業界が溶けていくという予想をしてみました。
その答え合わせをしていきましょう。ここまで書かせて頂いた通り、この一年は円安での経済打撃が大きかった年でした。そうなってくると映像業界自体への人員流入は減った感覚があります。
企業も自分達の生存戦略に重きを置くことで広告出稿自体が減ったこと。そのため広告映像への予算がなくなっていったことは、映像業界への人の流入を減速させ、幅広い業界からの参入は少なかったのだと考えています。
もちろん、静岡というローカルでの環境の感覚値でしかありません。しかし愛知など他県のスタッフと話をしていても円安という経済打撃が全国的な影響を及ぼしていた感覚は確かにありました。
業界は溶けるというよりも、限られた経済の力で何をしていくかの模索がされたのです。
「2023年の未来予想」
そんな環境下ですので、業界が溶けるという予想は一旦停滞というところ。しかし、その状況からクライアント自らが映像を作っていくという形が模索されてきていると感じています。
SNSの普及により継続したコンテンツ制作が必要な世の中で、映像を外部に委託していては企業の体力を考えてみてももたない。かと言って、広告自体をやめてしまっても営業戦略としての展開が見込めない。とすれば自らで映像を作り発信する企業が増えている感覚がより強くなっています。
そうすると、我々のようなプロが映像のコンサルティングやレクチャーを行う未来が見えてきています。すでに今年一度、映像制作のワークショップをさせて頂き、自分達の技術を噛み砕いてコーチングさせて頂く機会を頂きました。
「技術のシェアと深化」
そうした機会から映像制作のノウハウは今後シェアされる未来が来ると予想しています。そしてここからが来年の未来予想。
撮影機材がより幅広い方に広まった近年。その使い方を知る段階になったのが今年より顕著になってきたと感じています。そうした環境がさらに一般になった世界では映像は、その作りをより深化させていくと考えています。
ちょうど螺旋階段が一回りして次のフロアに行くように、かつて広告にアイデアや面白さが求められた時代の企画の作り方、演出が再び求められいくようになっていくのでは?と考えています。
業界にいる人間ですので希望的観測は否めないのですが、それでもかつて乱立したYouTuberもその映像が劇的にクオリティが上がっていると感じています。単純な語りのみの映像ではなくテロップや編集など見せ方がしっかりしてきている。こうなってくると今後企業として発信していく広告の作り方が改めて見直されながら、新たな作り方へと深化していくのは自然の流れではないか?という予想です。
願わくばそれがイノベーションのジレンマでないことを祈りつつ、映像は技術発展ではなくクオリティの深化へと向かっていると感じている2022年の年末です。
さてさて来年はどうなるのか?
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