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「DIE WITH ZERO -人生が豊かになりすぎる究極のルール-」を読んで

前提

私は20代後半である。これからする話の中で誤解がないように前もってお伝えしておく。

この本を知ったきっかけ

生命保険の営業を受けているときに、自分自身の人生に対する考え方について話していたところ、本書で全く同じことが書かれているから読んだほうがいいと言われ、知った。
しかしそのときは「すでに俺の中でたどり着いている考え方なんだから読んでも読まなくても俺の人生は変わらなくね?」と思っていたのですぐには読まなかった。

ではなぜこの本を読んだのか?

今現在、自分がやりがいを感じることができる仕事をできていて、ある程度自分の時間も確保できていて、お金も余裕があって、なのになぜか感情の浮き沈みがあることがあった。人生このままでいいんかな、と思ってしまうことがあり、色々な本を読んでいた。その中で『7つの習慣』という本に出会い、第1の習慣はなんとなくできているなと感じたが、第2の習慣ができていないと感じた。第2の習慣では、自分自身の価値観を理解し、行動や判断の基準となる自分の理念・信条を明文化しましょう、ということが書かれている。早速私は実践に移した。自分の価値観は何かを考える過程で、様々な過去の経験などを振り返っていたところ、保険の営業中におすすめされた本書の内容が自分を理解する上でキーになっているような気がして、読んでみることにした。

自分が養老保険を買った理由

先程の生命保険の営業の話に戻るが、死亡保障がある保険には3種類あり、①定期保険②終身保険③養老保険に分かれる。ざっくり言うと、定期保険は掛け捨ての保険で、一定期間内に死んだら指定した受取人が保険金を受け取れるというもの。終身保険は保障が一生涯続くもの(何歳で死んでも遺族に保険金が支払われる)。養老保険は一定期間(一般には65歳まで)に死んだら保険金が遺族に支払われ、その期間を過ぎれば満期保険金として返ってくるというものである。満期保険金の受取方式として、一括で受け取る方法と、年金形式で受け取る方法の2通りがある。私はこの年金形式で受け取ることができるというところに魅力を感じ、養老保険を買った。つまり公的年金にプラスして退職後の生活資金を安定させるため、貯蓄として購入した形である。

「なぜ資産を運用したり切り崩したりする頭があるのに、わざわざ保険会社に利益が出るように計算された商品を購入するのか?」

養老保険の話をすると多くの友人に同じことを聞かれる。この質問の答えは、一言で言うと「今を全力で生きたいから」になる。私は太く短く生きたいと考えている。つまり長生きはリスクなのである。富の最大化など全く興味がない。この人生をどれだけ豊かなものにできるか、それしか考えていないのだ。年金形式ということは死ぬまでずっと固定額を保険金として受け取ることができる。私が契約した商品は、いま保険料として支払っている月額の約2.75倍の「固定額」が65歳を過ぎたら毎月「死ぬまでずっと」受け取れるというものである。自分で資産を運用してこれを実現することは、100%の確度では不可能である。資産を切り崩すときには、何歳まで生きるか仮定して切り崩す必要がある。その年齢を超えたらお金がなくなることになる。株価下落リスクもある。その不安があっては現在に集中できない。いつかお金が尽きるかもしれないという見えない不安があっては、「今を全力で生きる」ことができず、なんとなく銀行口座の預金額を増やすという最も無意味なことをしてしまう可能性がある。
※養老保険は保険会社が運用し、増やした分を年金形式で受け取れる商品のため、若い内に入るほど払込保険料の合計に対する保険金のリターン(倍率)が大きくなります。

リタイアメントプラン

老後資金は一般に、①退職金 ②公的年金 ③貯蓄 の3つを中心に組み立てる。
①退職金は今の自分の働き方から考えると0円になる可能性が非常に高い。
②公的年金は制度改正のリスクに怯える必要があるし、そもそも現行制度のままだとしても生活費が足りない。すると・・・
③貯蓄に頼るしかない。どうやって貯蓄を作るか?

「今を全力で生きる」ための貯蓄方法

細かく言えば他の方法もないことはないが、最適化すると次の2つになる。
①退職時に(退職前の生活費1年分)*26.6の資金を確保する
②養老保険を購入する

①について

(退職前の生活費1年分)*26.6というのは、
1. どんなに長生きしても世界最高齢(116歳)を超えるまでは生きないだろうと仮定する。
2. 安全性の高い金融商品で運用するとして、年利3%と仮定しても、退職時の資産を50年運用(65歳で退職して115歳で死ぬことを仮定)する場合、生活費約26.6年分を退職時に準備すれば良い計算になる。
3. 一般的に、退職後は体力低下などの理由で退職前より基本的な生活費は少なくなると言われている。
上記3つを考慮したときの資産が決して不足することがないラインである。
ちなみに退職後25年で死ぬ仮定だと生活費約17.8年分を準備すれば良い計算になる。

※計算方法がわからない人は https://www.try-it.jp/chapters-5324/sections-5437/lessons-5446/ を見て数学Bの復習しよう。

②について

養老保険の強みはなんといっても、契約した時点で65歳以降毎月受け取れる額が確定していることである。しかも死ぬまで受け取ることができる。これは平均寿命から計算された期待値から考えると保険会社が儲かるように計算されているとしても、個人単位では余りあるメリットである。

インフレーション・デフレーション

ここでややこしくなってくるのが、1円の価値が変動することである。
インフレが起こると円の価値が下がり、物価や株価が上昇する。デフレだと逆のことが起こる。
先程挙げた①の戦略ではインフレには対応できるがデフレに対応できない。②の戦略ではデフレには対応できるがインフレに対応できない。

どうするべきか?

答えはシンプルである。両方の戦略を組み合わせるべきだ。
これが私がこの商品を買った理由である。
そもそも①派の人は退職時までに確保する資産を運用して組み立てることが多いため、さらにデフレに弱いことに注意したい。

結局何が言いたいの?

養老保険の購入理由を長く語りすぎたが、過去を振り返ったり本書を読む中で、私が大切にしている考え方は「人生を豊かなものにしよう、そのために今現在を充実させることに集中しよう」であることに気付いた。
後期研修に進まなかったのもそのためだし、自分が人生で一番幸福を感じるのは友達同士の会話で心の底から大爆笑しているときである。
本書の筆者も同様の価値観である。「DIE WITH ZERO」つまり「ゼロで死ね」は、死ぬ時にお金を残すなという意味だが、それは目的ではない。この筆者がこの本で伝えたいのは「人生を最大限充実させろ」ということだ。「ゼロで死ね」は、その目的を果たすための手段なのである。実際に、「人生は経験の合計である」と何度も述べられている。
本書のあとがきにこの価値観のすべてがまとめられているので、引用する。

「挑戦しよう。人生を最大限に充実させ、たった一度の人生を価値あるものにしよう。本書のメッセージが、あなたが「良い仕事に就き、膨大な時間を捧げて働き、 60代から 70代に引退して、そのあとで人生の黄金期を過ごす」という従来の価値観に従った生き方を考え直すきっかけになることを願っている。体力や気力が落ち始めるまで、人生を充実させる経験をするのを待つ理由などないはずだ。死ぬまでに使い切ることのない金を貯めることばかりに労力を注ぐのではなく、今すぐ人生を最大限に楽しもう。一生の思い出になるようなことをしよう。子どもたちにとって最適なタイミングで資産を分け与えよう。私はそれが、正しい生き方だと考えている。覚えておいてほしい。人生で一番大切なのは、思い出をつくることだ。さあ、今すぐに始めよう。先延ばしする理由などないのだから。」

『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』ビル・パーキンス著
https://a.co/btGfnBD

私が尊敬している本田圭佑が行った近畿大学卒業生宛てのスピーチでも、私が大切にしている価値観、そして私が本田圭佑を尊敬する所以が強く反映されているので、ぜひ一度ご覧いただきたい。


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