“これからの広告クリエイティブ”で大事になりそうなポイントについて考えてみた
記事を読んでいただきありがとうございます!
株式会社リチカでクリエイティブディレクターをしている兵藤と申します。
リチカでは、テクノロジーの力でクリエイティブの価値を最大化する「クリエイティブテック」という新しい領域に取り組んでいます。
弊社は絶賛採用活動中で、普段どんなことを考えて仕事をしているのか、とにかくオープンにしていくために、この記事を書いています。
広告クリエイティブの分野で日々試行錯誤を繰り返す中で、「これからの”広告クリエイティブ”とそのクリエイターは何を指針にすれいいのだろう?」という思いが頭によぎることがあります。
日々取り組む中で、少しずつ仮説が見えてきたので、今回はそれについて深堀りできればと思います。
広告クリエイティブに携わっているけど、未来が見えていない人。日々の業務に追われているけど、もっとうまいやり方があるんじゃないか?と思っている人の手助けになれば幸いです。
そもそも「広告クリエイティブ」ってなんだっけ?
広告を出す人、広告を作る人、広告を見る人。
登場人物を整理して、それぞれの関係性に着目すると、広告クリエイティブにとって大事なことが見えてくるのでは?と思い、歴史を調べてみました。
広告は、広くメッセージを伝えたい「広告主」がお金を出し、そのお金を元手に「メディア」がより安価に、より広く情報を「ユーザー」に伝える、いわば「知を安価にする仕組み」として世に受け入れられてきたそうです。(参考にした記事はこちら。勉強になりました。)
ここで登場する「広告主」×「メディア」×「ユーザー」のそれぞれの立ち位置の中で、「クリエイティブ」はどこに位置するでしょうか。
簡単に言うと、「広告主」のメッセージを、ユーザーに伝わる形に成型、装飾されたものが「クリエイティブ」になるかと考えます。
つまり、「広告クリエイティブ」=「メッセージ」と大きくは捉えることができます。
かつて「四マス」と呼ばれた、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌のマスメディアが中心だった時代において、上記の図式における「メディア」は、テレビなら「15秒で流しましょう」とか、新聞であれば「15段で作りましょう」といった大きなルールがある程度決められていました。
また、メディアの向こう側にいるユーザーも、時間帯や地域で区切ったりすることでどんな人であるかがある程度想像しやすかったため、広告クリエイターは広告主の「メッセージの磨き込み」を引き受け、それに集中できる環境がありました。
しかし、このnoteを読んでいるみなさんも例にもれず、現在はインターネットが主要な情報インフラとなり、メディアが多岐にわたる時代を迎えています。
人々に受け入れられ始めてから20年の間、ネットを基盤に次から次へ新しいメディアが登場し、情報への触れ方がどんどん更新される中で、ユーザーがメッセージに触れる機会そのものを制御することに、多くの労力が割かれる状況になっています。
個人的には表層の個別最適な手法を「マーケティング」と呼び、メッセージの部分が疎かになってしまっている状況をみかけると、とても残念な思いがあります。
また、若手の広告クリエイターも、先輩たちと同じやり方のとおりにメッセージを洗練してみても、なかなか手応えが得られなくなっている状況ではないかと感じています。
変化し続けるメディア環境に対応するための3つのポイントを考えてみた
弊社リチカでは、常に変化するメディアとユーザーの関係性を捉え、その上で有効なクリエイティブ手法のことを「デリバリー」領域と定義し、各メディアに最適化されたクリエイティブが誰でも使用でき、メッセージが正しい人へ、より伝わりやすくなる世界を目指して日々研究を重ねています。
その中で新概念「運用型クリエイティブ」なども開発し、このカオスな状況における解決策を少しずつ編み出すことができ始めています。
率先してカオスに飛び込んできた中で、個人的にクリエイターとして得られた経験や、マス広告でも戦ってきた先輩クリエイターとの協業を通じて、下記の3つのポイントが、変化し続ける状況を乗りこなすに当たり、より重要な指針となるのではないかと考えています。
それでは見ていきましょう。
1. 他の誰よりも「ユーザー」になる
「ユーザー」にはいろいろな対象が含まれます。
今回お伝えしたいのは、「あらゆる“プラットフォームの”ユーザーになる」という点です。
多くのメディア、プラットフォームが勃興する中、Google、Facebook/Instagramといった、主要なものに共通する特徴があります。
それは、「ユーザーの体験に価値をおいている」ということです。
ユーザーと接する頻度が高いほど自身の価値が高まっていくため、ユーザーにそのプラットフォームでしかできない体験を提供することで、そのポジションを確固たるものにしています。
裏を返せば、自分を含めたプラットフォームにいるユーザーが期待する体験に寄り添うことが、そこに出稿される広告クリエイティブ制作においても求められると考えられます。
また、プラットフォームを始めとする情報環境は日々アップデートされています。それゆえ、検索して出てくるような、誰かが編集した情報は、実はすでに古いものである可能性が高いです。
実際に自分たちのクリエイティブが掲載されるようなプラットフォームについて、日頃から友人よりも少し多めに触っておくことが、有効なクリエイティブ制作のヒントを与えてくれ、変化に対応できるようになる一歩目だと考えています。
2. 「高い専門性」と「試行回数」を両立する
ここでいう「専門性」は、主に制作にまつわる知識や経験からなるセンスとも言えるもので、クリエイターとそのアウトプットを唯一無二のものにしてくれます。
しかしながら、日々更新されるプラットフォームの体験において、その積み重ねてきたものが、次の日に100%活用できるとは言えない状況になっています。
そこで、そのセンスに固執することなく、あえて別の選択肢を選び取れる勇気が必要になるときがあります。
そこで大事になるのが、仮説に基づいた検証思考と、検証回数を短い時間で重ねることだと考えています。
とくにプラットフォームが提供するWEB広告の功罪として、「成果がすぐに見える」点があります。
新卒時代に、同じく広告に携わる友人から、「自分のクリエイティブに点数をつけられているみたい」と、WEB広告に対する嫌悪感を率直に伝えてもらったことがあります。
私個人として、この嫌悪感自体には共感します。「制作物の良し悪し」の観点に立つと、そう見えてしまうし、自分が積み上げてきたものが否定されてしまう気分になるのもわかります。
その一方で、「成果が見える」ことが示すのは「制作物そのものの良し悪し」ではなく「仮説の当たり外れ」である、という視点に立つことが重要であると考えています。
そのメッセージを受け取った人が、正しい人だったかどうか?広告主のメッセージが、そのクリエイティブで正しく伝わっているかどうか?などの答えが確認できる指標として捉える。
すると、センスをもってクオリティ高く作り、仮説を立ててたくさん試し、結果を見てセンスを積み上げていく検証ループは、クリエイターをより速く、唯一無二の存在にしてくれる新しい環境になる気がします。
3. 「二度手間」をなくしてスピードUp
「たくさん試し積み上げる」ために、次に必要になるのは「スピード」になります。
仮説を検証するためには、「変えないこと(=定数)」と「変えること(=変数)」を決め、変数に対して手数を増やしていく必要があります。
その際に、「すでにやったこと」をもう一度ゼロから立ち上げるのは、余計な時間を食ってしまい、試行回数を確保できなくなります。
そこで、複製可能なデータやコンピューターを活用して「二度手間」を徹底的になくすことが、一つのキーになるのではないでしょうか。
私の大好きな本に「宇宙船地球号操縦マニュアル」があります。
50年も前に書かれた本なのですが、コンピューターの活用に関して、かなり先進的な内容が書かれています。
ざっくりいうと、「数えること」や「繰り返すこと」が得意なコンピューターを活かし、より人間的な「気づくこと」や「決めること」に焦点を当てましょう。それによって得られた知性や秩序といった「物質に依存しない富」を無限に増やしていきましょう、といった内容です。
広告クリエイティブに限らず、あらゆる仕事が専門分化した現代において再読されるべき名著です。ぜひ読んでみてください。
まさに、仮説立てて何を作るかを「決め」、それの成果を元に新たな仮説に「気づく」ループにおいて、コンピュータを有効に活用することは大きなアドバンテージになります。
APIで成果データをすぐに確認できるよう連携する、クラウドを活用してクリエイティブの素材データを連携し、変数部分の差し替えを簡単にするなどなど、コンピューターの収穫加速的な進歩によって、手法自体がどんどん安価に、簡単になっていきます。
作業工程にコンピュータやデジタルデータを使用しているのであれば、連携はできないか?二度手間を減らせないか?としつこく考えてみることが、今後より一層大事になっていくと考えております。
まとめ:これからはほんとうの意味で多様なクリエイターが活躍する時代になりそう。
①他の誰よりも「ユーザー」になる
②「高い専門性」と「試行回数」を両立する
③「二度手間」をなくしてスピードUp
これら3つのポイントは、あくまでリチカを通した私の広告クリエイティブ制作業務から得られた仮説です。
しかし、多くのメディアが次から次へと現れる中で、新しいメディアの中で活躍するような人々にも、試行回数やスピードなど、共通するポイントが多くあります。
人が何かを伝えたいという気持ちは、時代がどんなに変わっても絶対になくならない想いです。メディアがどんどん増えていく中で楽しく働くために、クリエイター自身が、様々なメディアに対して意識的に試行回数を増やしていくことは、クリエイティブの環境がより豊かになっていくことに繋がっていきます。
そんな世界の最前線にリチカで携わっていきたいと考えています。
そして、それを一緒に叶えてくれるメンバーを探しています。
もしこの文章をここまで読んでくれて、少しでも「いいね」と思ってくれたら、ぜひ感想を聞かせてください。
あわよくば、一緒に実現してくれると嬉しいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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