FinOpsのグローバル最前線と日本の現在地
SaaS同様、或いはそれ以上にIaaS(Infrastructure as a Service)が日本国内で拡がっています。IaaSの普及により、Time to Marketが劇的に短縮され、イノベーションが加速しました。しかし、その一方で、IaaSのコスト管理が難しくなるという課題も浮上しています。オンプレミスの時代には固定費として管理されていたコストが、IaaSの導入により従量課金制となり、変動費として扱われるようになりました。さらに、エンジニアが財務や購買プロセスを通さず、いつでもサーバーをワンクリックで立ち上げられるようになったことで、コスト管理が一層複雑化しています。
特に、現場のエンジニアがコスト意識をあまり持たないままIaaSを利用することで、予算管理の責任を持つ財務部門が知らないところでコストが発生するリスクが高まっています。これにより、「コストの最適化」や「投資対効果の最適化」といった新たな課題が生じ、企業全体としてのコスト管理がますます重要になっています。
米国をはじめとした海外各国では、この「最適化」の実践的アプローチとして、ファイナンス(財務)とDevOpsを合わせた造語である「FinOps(クラウド FinOps)」への注目が高まっており、多くのスタートアップの進出や大手プラットフォーマーの関与等、その盛況ぶりは目を見張ります。一方、日本において、FinOpsの概念の浸透は、まだまだこれからと思われます。
グローバルと日本の差異、日本でどのようなことから取り組めば良いのか。今回の記事ではFinOpsをテーマとするDNX VenturesのPrincipal中野智裕による考察を、FinOps領域における日本の第一人者であるアルファス株式会社の代表取締役CEO廣瀬肇氏が語る最先端の動向を交え、お届けします。
FinOpsとは――FinOpsが生まれた背景と注目される理由
はじめに、FinOpsとは何か、The FinOps Foundationによって定義されています。
日本においてはクラウドのコスト管理を目的としたツール、及びその領域といった狭義で理解されていることが多いため、運用フレームワークや文化的実践とはとっつきにくいかもしれません。この点は、次章で詳しく触れます。
FinOpsの概念が生まれた背景には、IaaSのコストが従量課金であることが影響しています。FinOpsを深く理解する前提として、“コスト” は次のように分解、表現されます。
コスト最適化のためには、まずコストを把握し、RateまたはUsage、できればその両方を削減することが必要です。ここで言う「コスト」とは、各担当者の責任範囲内のコストを可視化することを指します。たとえば、プロジェクトAを管理している人に会社全体のコストを見せたとしても、プロジェクトAが全体の10%以下しか占めていない場合、その人に全体のコスト責任を負わせるのは適切ではありません。プロジェクトAの責任者にはプロジェクトAのコストを、プロジェクトBの責任者にはプロジェクトBの日々のコストを可視化することで、担当者にコスト意識を持たせることが重要です。そのうえで、各プロジェクトの範囲内で料金を下げる、または利用量を抑える方法を考えてもらう必要があります。
もちろん、コストをかけることが必ずしも悪いわけではありません。コストが生み出す価値を明確にすることで、本当の価値を理解することができます。たとえば、プロジェクトAのコストが増加していても、その結果として売上が増加し、料金や利用量が最適化されているのであれば、コストの増加は問題になりません。
ソフトウェアの話に戻しますと、これまで日本企業の多くが構築してきたオンプレミス環境は、購入時にスペック、QCD(Quality, Cost, Delivery)が定められていました。
一方、IaaSの世界では、CTO組織下にいるインフラエンジニアが、購買や予算管理のプロセスを経ることなく、クリックによってその都度スペックを増強することができます。それに伴って従量課金が発生するため、CFOが気付かないままにコストが増えていて、QCDのバランスが変化した、或いは崩れていた、などということが起こりえます。
こうして、オンプレミスからIaaSへと移行が進むことで、企業はIaaSの動的なコスト管理という新たな課題に直面することになりました。その課題を想像する助けとして、AWSを例に挙げます。
AWSには2024年7月時点で200以上のサービス、多くの料金体系、 さらにEDP(Enterprise Discount Program)などの割引プランがあります。これほど膨大な数のサービスを組み合わせ、コストや投資対効果を最適化するのは簡単ではなく、さらにAWS、Microsoft Azure(Azure)、Google Cloud Platform(GCP)といった複数のクラウドプラットフォームをマネージする上でいかに複雑性が大きな課題となるか想像できることでしょう。
IaaSのコスト管理の難しさをより細かに紐解くと、いくつか要因があります。1つめは、「複雑な価格設定とサービス」です。企業は増え続けるサービスやオプションから自社に必要なものを選びますが、この組み合わせが増えれば増えるほど、理解が困難になります。2つめは、「請求書の難解さ」です。サービスやオプションの内訳が列挙される請求書は、ときに10ページを超える長さになります。何が効果的で何が無駄なのか、受益部門はどこなのか、誰の目にも分かり易いとは限らず、実態の把握を阻みます。3つめは、「プロビジョニングの容易さ」です。IaaSを管理するエンジニアが新たな機能を次々と実装する事が可能なため、コストの規律が無いまま過剰な機能利用を可能にしています。
このような複合的な要因が重なる中で、最もROIの高いアーキテクチャを実装していくには、エンジニアリングとファイナンスの双方のリテラシーが求められます。実際に、利用状況に応じて提案出来るコスト削減(RateやUsageを合理的に削減する)の選択肢も多く、数十もの施策に及びます。加えて、日本では中間ベンダーが商流に入ってくるケースも多く、企業はIaaSのコストと得られる価値を一層把握しづらくなります。
FinOpsは、まさにこの課題群を解決し得るフレームワーク、及び実践の在り方として、米国を中心に注目度が高まっています。
海外におけるFinOpsの動向と日本の遅れ
あらためて、FinOpsの定義を振り返りましょう。FinOpsとは、クラウドのビジネス価値を最大化するための概念で、プロセス、プラットフォーム、フレームワークなどを包摂する文化的実践です。2014年頃、Linuxのエンジニア勉強会でIaaSの従量課金に対する課題感が提起されたことから、「FinOps運動」が米国で始まりました。
重要なのはビジネス価値の“最大化”を目指していることで、たとえコストが増えても、バリューが伴っていれば問題ありません。日本はコスト削減に注目するあまり、FinOpsをこぢんまりとした局所的な解釈にとどめてしまうことが多いようです。現場で小規模なコスト改善を繰り返すのは決して無駄ではありませんが、部門横断的にグループ全体の契約を見直して料金を最適化するなどしなければ、真のコスト削減やリターンは実現しません。
FinOps普及の中心的存在は、FinOps運動を推進してきた非営利団体FinOps Foundationです。FinOps Foundationは全世界に1万人以上の会員を擁しており、その中にはMicrosoftやAmazon、大手コンサルティングファームなど名だたる企業が参画しています。同団体はFinOpsに関するテストやサーティフィケーションを運用し、FinOpsの実践に必要な考え方や組織体制づくりの啓発、FinOpsにまつわるソリューションやツールの要件定義などを行っています。
日本人でこの資格を取得している数少ないメンバーであり、国内ではいちはやくFinOps領域のソリューション提供に取り組んでいるのが、Alphaus(アルファス)の代表取締役CEOである廣瀬氏です。廣瀬氏はFinOpsの浸透について、日本と米国を比較して次のように話します。
「日本におけるFinOpsの浸透度は、まだまだ組織の末端のエンジニアが触れる程度である一方、米国ではすでにFinOpsに特化した部署や職業が社内に確立されており、求人広告も多く掲載されています。FinOpsを学んでいることは人材市場におけるビジネスパーソンの優位性につながりますし、企業側もFinOpsに取り組むことで新たなビジネスを生み出せるという環境があるのです。
これほど日本と米国の間でFinOpsの浸透に差が生じている背景には、日本におけるIaaS普及の遅れがあると考えられます。ガートナーによると、IaaSの普及において日本は、米国より7年程度遅れを取っていると言われており、その市場規模はおよそ20分の1です。ことクラウドネイティブ化においてはその傾向が顕著で、仮にクラウドに移行するとしてもバーチャルマシーンに移行するケースがほとんどです。私が米国、マレーシア、東南アジアを行き来して現地を見てきた感覚としても、日本の遅れが少なくとも3~4年はあると感じました。」
IaaS普及の遅れに補足するポイントとして、日本は他国と比べてマルチクラウド化が進んでいません。AzureやAWSをシングルクラウドとして用いる傾向があるため、コスト最適化ツールも各プラットフォーマーのネイティブツールを利用するのが一般的です。また、ITコスト全体に占めるクラウドの比率も他国と比べて大きくはありません。そのため日本企業は、現状FinOpsにリソースを配分する余裕の前に、バーニングニーズに至っていないと考えられます。
こうした現状を踏まえ、DNX VenturesはFinOpsを扱うソリューションの国内進出は「やや時期尚早」である可能性を捉えています。グローバルベンダーが日本の事情を勘案したローカライゼーションを優先するとは考えにくいですし、複数部門の業務展開についてもFinOpsに関与する部門が限られているなかでは、それほど大きな広がりが期待できません。日本の市場においては、「なぜ“今”FinOpsを取り入れるべきか?(Why now?)」に対する説得力が弱いのです。
一方で、現状の見方を変えれば、日本にはFinOpsが普及していく “伸びしろ”が大いにあるとも捉えられます。現状日本企業の80%がオンプレミス、20%がクラウドを採用していると言われている中、大きな方向性としてクラウド移行が進むという前提をおくと、クラウドに合わせたコストや投資対効果の管理や評価の仕組みの必要性が徐々に高まってくると考えられます。
FinOpsへの一歩となる「可視化」と米国FinOpsの最前線
では、日本におけるFinOpsの拡がりに向けては、どのような段階が考えられるでしょうか。FinOpsのフレームワークにおいて、「情報提供」と「可視化」のサイクルを回していくことが重視されています。この「可視化」の取り組みが、FinOpsの実践において必要不可欠、かつ日本企業が最初に取り組むべきステップと思われます。
FinOpsベンダーも、クラウドにかかるコストの可視化を目的としたソリューション、ツールの提供に積極的に取り組んでいます。一例として、Apptioは、クラウドプラットフォームのコストをプロジェクトやサービス等のカテゴリー毎に可視化するツールを提供しています。同ツールは、コスト最適化のアプローチについて、サイズや料金プランなど複数の選択肢を、リスクの明示とともに提案する機能を備えています。
廣瀬氏は、この可視化の文脈で、「Focus™」について紹介してくださいました。「『Focus™』とは、様々なクラウドベンダーが一貫したコストと使用状況のデータセットを生成するためのオープンソースの仕様です。Azure、AWS、GCPなど各クラウドベンダーのコストを、横断して可視化することが容易になれば、FinOpsの概念も一気に広まる可能性が期待できます」と言います。さらに、FinOpsの一歩を「エンジニアが可視化されたデータを見て、コストについて当事者意識をもって考えること」と廣瀬氏は強調しますが、これは日本企業が抱える組織上、あるいは慣習上の問題にも接する部分でもあり、「そこまでたどりつくのは容易ではない」という厳しい現状についても指摘しました。
日本ではなかなかFinOpsに関心が注がれていない一方、米国ではFinOpsにおける新たな時代が到来しています。その最前線が垣間見えるエピソードとして、廣瀬氏は近年の「FinOps Expo」での変化について次のように話します。
「2023年にサンディエゴで開催されたFinOps Expoに参加して驚いたのは、すでにFinOpsがレッドオーシャン化していたことです。というのも、10~20年前に登場し、これまでFinOps御三家と謳われてきたCloudability 、CloudHealth、CloudCheckr は、いずれも数年前に大手企業から買収されました。すでにFinOps黎明期と区分できる一時代が終わったと言えるでしょう。そしてここ1~2年は、“FinOps第二世代”と呼ばれるスタートアップが次々登場し、市場が盛況になりつつあります。米国を代表するVCであるAndreessen Horowitzは、クラウドのコスト管理ソリューションを提供するVantageというスタートアップへの投資を発表しました。コスト管理は今後大きく伸長する領域であると見込んでいるのです。」
「2024年のFinOps Expoでは、グローバルなFinOpsのフェーズの変化が見られました。これまでは、FinOpsを“どう始めるか”、“エンジニアが行動を起こせるようにそのような支援が必要か”が議論の中心であったのに対して、2024年は“どう改善するか、どう変化を生み出すか”というより実務的な論点へと移行しています。イベントに先掛けて24年2月に発表された“State of FinOps ‘24”では、FinOps担当者の重要な優先事項のトップが“無駄や未活用リソースの削減”でした。イベントのアジェンダは、まさに FinOps担当者の実務的な関心事を裏付け、グローバルなPracticeの進化を示すものでした。」
FinOpsを軸に考える、日米の組織構造の違い
米国におけるFinOpsの盛況ぶりと、対する日本の現状。この違いの背景には、日本企業に根強く残る組織の課題があります。日本市場においてこれまでSIerの影響力と実務的な貢献が強く、SIerを含むITベンダーに頼る体質が残っています。社内のIT部門の多くはSIerをはじめとしたITベンダーをマネジメントする業務の比重が高く、伝統的なオンプレミスのパッケージソフトとそのカスタマイズや運用がIT予算の大部分を占めており、既存のIT資産のメンテナンスをはじめ、やるべき事が山積している状況です。他方、企業内部にクラウドベースのIT資産を社内でマネージ出来るCorporate IT人材が多くない傾向があり、クラウドのコスト最適化の優先順位は下がってしまっています。また、ITベンダー目線では顧客のクラウド費用を削減すると(一時的には)売上が下がるという構造的な利害の対立も考えられます。
こうした経緯もあってSIer依存度の高い日本企業は、SaaSに対しても個社カスタマイズの要望を打ち出す傾向があります。個社特有の要件を満たすための機能改善などの要望は、米国や東南アジアの企業からはほとんど出てくることがありません。海外のSaaS企業は、個別ユーザーのカスタマイズ要望を受けないため、ユーザーが自社オペレーションをSaaSに寄せる習慣があります。SaaSの拡がりでSIerの仕事が減っていくという予想がなされた時代も過去にありましたが、むしろ広がり続けています。
クラウドの拡がりという大きな方向性は、グローバルも日本も共通しているにも関わらず、SaaSやIaaS等を基点とした思い切った標準化が進まない理由について、廣瀬氏は組織構造上の問題を次のように話します。
「米国においてはCFOが強い権限を持っており、その配下にも各部門を支援するコントローラーがおり、戦略的に動ける組織体制が敷かれているので、攻めのファイナンスを意識しながら動きやすい特徴があります。FinOpsチームは米国においても当初はCTO配下にあることが多かったですが、最近ではCFO配下に組成する例が増えてきました。一方、日本は財務担当、つまり過去実績を会計処理する機能はあっても、将来を見据えて攻めのファイナンスを推進する部署や機能の力が足りていません。経営企画部門はそれに近しい存在ですが、大企業の慣習においては予算配分の正当性を厳しく求める傾向が強く、経営企画部門に対してバケツリレーのように情報を渡していく構造が戦略的な動きを阻んでいます。
こうした組織の違いから生じる負として、CIOの立場の弱さが挙げられます。現場が強い日本企業の企業文化と、事業部門に対して情報部門の発言力が劣る傾向が見られます。そのため、CIOが中長期的かつ全体最適な視点でIT投資をしようとしても、今まさに目の前でオペレーションをしている現場をコントロールしきれず、結局はSIerの言いなりになってしまうケースも珍しくありません。
今まで日本経済を支えてきた自動車産業をはじめとする基幹産業は、DXや攻めのファイナンスよりも、既存事業をいかに効率よく回すかが成功に直結する分野でした。そのオペレーションに適した組織を長年にわたり構築、維持してきたことが、今は非連続な打ち手の障害になっています。
そのため、まず日本企業が取り組むべきは、事業部門と情報部門が信頼関係を築き、情報部門を取り巻く構造を変えていくことだと考えられます。グローバルな企業環境でIT投資の効果を経験してきたプロフェッショナルをCIOとして採用することは、このような環境を改革するための一手となることでしょう」
クラウドのビジネス価値の最大化に向けて
日本の現在地は、グローバルでFinOpsの問題意識が高まった時期のさらに数歩手前の段階にいるように考えられます。大企業では社内でクラウド運用を任せられるCorporate IT人材が不足していて、社外のコンサルタントに依存するケースも珍しくありません。コストの低減に終始して、本来のFinOpsの主眼目的である「クラウド投資に対するビジネス価値を最大化する」という観点が不足している事も課題です。
では、今後、どのような変革の道のりを歩んでいく必要があるのでしょうか。廣瀬氏はFinOps Foundationが提供する経営コンサルタントのトレーニングに基づき、次のように話します。
「具体的なシナリオに基づき、FinOpsの新設部署をつくるにあたってどのような組織体制を組むべきか、意思決定がしやすい組織をつくっていくかというトレーニングがあります。組織デザインの最適解は企業やフェーズによって異なりますが、前述の通り米国ではこれまでCEOのもとでCTOがこの権限を持つことが多かったですが、今ではCFOが管掌する流れが起きています。一方、日本ではFinOps組織が無いものの情報システム部門のトップとしてのCIOがその役割の一部を担うことが多いと考えられます。
また、日本の現状の組織構造に照らし合わせて考えるならば、インフラを担うチームがその役割を果たすことになるでしょう。ファイナンスチームとインフラチームがクラウドコストに関するデータ開示プロセスを自動化し、ファイナンスチームがインフラチームの力を借りずともレポートを出力できるようになると、どこに予算を割き、どうコストを最適化するかという将来的な攻めのファイナンスをつくる体制が整うでしょう」
クラウドのコストデータは、多様な部門が一丸となって取り組まなければ、集約することができません。FinOps Foundationのフレームワークでも、ファイナンス、エンジニア、購買、リーダーシップなど、さまざまな役割に就く人々がコラボレーションする姿と文化こそがFinOpsの要諦であると強調されています。そのためFinOps Foundationでは、先に挙げたような実践的なオンライン・レッスンを設け、チームに分かれて議論する時間を設けています。
クラウドのビジネス価値の最大化に向けて、廣瀬氏は次のような展望を語ります。
「大企業の情報部門の方にヒアリングをすると、IT領域に関する支出が具体的に何に使われているのか、正しく把握できていないケースが多くあります。まずはコストの受益部門への配賦とそのビジネスバリューがどのように紐づいているのか可視化することで、CIOが各事業部門とコミュニケーションできる基盤を作ることが、ビジネス価値の最大化に向けた一歩となるでしょう。
また、日本は米国に追随する傾向があるので、今後はアメリカのトレンドを再解釈しつつ、国内にもFinOpsの波が広がっていくと考えています。アルファスは国内向けに地道な啓発活動を進めつつ、海外での実績も積んでいきたいです。FinOpsの概念が日本国内に広まったとき、ApptioやCloudHealthと肩を並べ、検討の土台に乗れるような企業となることが直近の目標です。FinOpsのリードカンパニーでありながら、日本の商習慣にあった、日本に拠点を置くサービス・企業としてお客様に選んでもらえる存在になれれば幸いです」
▼ アルファスの提供するパブリッククラウド費用の管理プラットフォーム
まとめ
FinOpsの概念、日本とグローバルとの比較、将来の拡がりに向けたポイントを見てきました。グローバル企業の募集要項では、“FinOps Manager”、“FinOps Cloud Engineer”などのJob Descriptionで採用活動がなされるなど、職種レベルでの期待値の一般化が進んでいます。日本企業でそのような募集要項はなかなか見つかりません、それが本稿タイトルにある日本の現在地を示していると思います。
昨今の円安は、日本企業のクラウドプラットフォームの利用料を円ベースで押し上げるため、コストに対する経営者の関心が高まる一つの契機になっています。今後、FinOpsへの関心が増して、日本なりの実装が進む未来に期待しています。
(文・中野 智裕)
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