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『あかり。』第二部 S#80 相米慎二監督の思い出譚・映画的なもの
気がつけば12月になってしまった。本当に月日の経つのは早い。
先日、ネットのニュースに出ていたが『お引越し』『夏の庭』が上映されるらしい。時間の合う方はぜひスクリーンで見ていただきたい。
『東京上空いらっしゃいませ』も35mm上映されるとのこと。
新しい映画もいいが、古くて新しい映画もぜひ見ていただきたい。
僕はこの中だと『お引越し』がとても好きな映画だ。
ホームドラマなのに、スケール感がある。それに映像が美しい。俳優陣も素晴らしい。
家族を持たなかった監督が、家族の映画を撮ったのも不思議だ。
この映画が撮られた頃は90年代も中盤に差し掛かったあたりで、映画の作られ方も大きく変化していった。
テレビ局や広告代理店が主導する(金銭面)形というか。
相米監督がそういう映画の作り方にチャレンジしていた時期でもあったわけだが、いわゆる映画人に免疫のない人々にとって、相米慎二監督という70年代の気分を残していながら80年代に活躍した監督はどう映っていたのだろうか。
監督にとっても、今まで付き合っていなかったタイプの人々──。
そういう中で、映画的であろうとした映画である。
世の中には映画的ではない映画と映画的な映画の二種類があると思っている。
これはその作品が面白いかどうかの話ではなくて、なんていうか……監督の種類の話だ。
面白いのに映画的でない作品もある。
観客が映画に求めるものが、何かにもよるのかなあ。
ましてや最近はすぐに配信になるし、機材もテレビと変わらない。
だから余計に監督が映画的な人かどうかが、そのまま作品にスライドする。
中華料理のシェフがイタリアンを作っても、やはり中華料理になってしまうのと似ているかもしれない。
映画館でやっているものが、映画とは限らないから。
見る人には気をつけて見極めてほしい。
映画らしい映画が見たい人は、『お引越し』『夏の庭』をぜひ見ていただくと、なんとなくわかっていただけるのではないだろうか。