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ずっと変わらないまちにて
東京を離れ、妻女らと合流してさびれた温泉宿に来ました。
宿も、まち全体も、昭和感がすごいです。
完全に昭和で時が止まっています。
海ぞいの急な坂の上に「〇〇荘」と名のついた宿が何軒か点在しています。
温泉宿のほかには何もないまち。
レストランも、スーパーも、コンビニすらもありません。
私たちが宿泊するところも、昭和感満載のレトロな宿です。
外観、玄関、フロント、ロビー、売店、廊下、階段、すべてが昭和仕様。
当時から何も変えていないようです。頑固ですねぇ。
お部屋は畳の上におふとんを敷くタイプ。
Wi-Fi が非常に不安定で、ほぼ使えないも同然です。
「ワイハイてなんですの?」と仲居さんに訊き返されなかっただけマシでしょうか。
お部屋の冷蔵庫がこれまた年代ものでした。
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こんなのいなかのラブホテルでしか見たことないです。
海の見える窓際にソファ。ローテーブルの上には陶器の巨大な灰皿。
へぇ~昭和時代の夫婦喧嘩はこんな物騒なものを投げてたのかぁ。
てゆーか、当然のように全室喫煙仕様なんですね。さすがは昭和です。
それどころか、廊下にはこんな注意書きが。
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あのころは、ふつうに煙草を吸いながら館内を歩いてたんでしょうね。
さらに・・・
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こんなの富士山頂でしか見たことないよ。
なるほど、コンビニがないわけだ。
しかも、10歳の長女が飲みたいものは一つもない。
ときに、いまここに宿泊しているのは私たちだけのようです。
やはり昭和感がお気に召さないのだろうか。
こんな懐かしげなゲームコーナーもあるのに。
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合コンならぬ、合ハイとか言っていた、ふぞろいの林檎たち世代ですか。
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うわお。吉田と伊調姉妹がここに来たのか・・・。
「御夕食会場はこちら ➡」と書かれたところへ来ました。体育館か? と思えるようなだだっ広い “会場” です。そのむかしここは宴会場だったのかな。このまちも最盛期には箱根や熱海と並んで、社員旅行やハネムーンのメッカだったんだろうなぁ。
それがいまでは見る影もなし。
この温泉まちは、何も変わらないからさびれていったのか。
それとも、さびれてしまったから何も変わらないのか。
都会と比べていなかが垢抜けないと感じるのは、この「変わらない」という一点に尽きるのだな、と思いました。
都会もむかしはこんな感じだったのです。でもそれは、昭和時代でこそ垢抜けた保養地であっても、平成令和の時代には過去の遺物になってしまいます。
私は変わらないことに価値を見いだす人間ですが、変わらないことの弊害というのもあるんですね。
新しいものを採り入れない。
つながらない Wi-Fi を改善しない。
山頂価格の自販機に疑問をもたない。
この宿 1軒が変わっても、このまちに観光客が戻ってくることはないのでしょう。
おそらく、まち全体として、他県の温泉まちと競うのをやめたときに、このまちの方向性が決まったのだと思われます。
誰もいない大宴会場でポツンと食事をし、誰もいない露天の湯にゆっくりと浸かり、誰もいないゲームコーナーで娘らとスマートボールで盛り上がっています。
日本への長旅も終わりが近づいています。