あなたは何のために電子書籍を作るのか?
編集企画部の岡崎美葉です。
あなたは、何のために電子書籍を作りますか?
書籍は広告ツールです。
名刺の役割を担うこともできます。
あるいは、手がけている事業を紹介する
チラシの代わりにもなります。
あなたが本を作る目的は
何のためでしょうか。
本を作る目的を忘れていませんか?
禅語のの一つに、忘筌(ぼうせん)という言葉があります。
「忘筌(ぼうせん)=目的を果たした、その後」
筌とは罠のことで、
「魚を獲ったら罠のことは忘れなさい」
ということだそうです。
「獲れたかな~?」
と罠を覗き込んだスキに魚に逃げられますよ、
という警告でもあります。
道具に頼らないことも意味しますが、
「目的を果たしたら手放すことが大切だ」
と言っています。
作ることそのものに執着してしまったとき
「伝える」という目的を忘れがちです。
著者が電子書籍を作るというということは、
大切な何かを伝えるためだと思います。
著者が読者にむけてすべきこととは?
熱く語る、真摯に語る、
様々な著者さんがいらっしゃいます。
文章のスタイルはそれぞれですが
ただ、読者を説き伏せようとした時点で、
何かを失います。
失うのは「信用」かもしれません。
「これ、本当にいいから」
「これ、本当に大事だから」
という人を、あなたは信用するでしょうか?
著者は想いを放つだけ。
評価は読者に委ねる。
説き尽くす。それだけでいい。
思いを込めて、解き放つ。
その先の意味、評価を決めるのは読み手なのです。
良いものは、残すものではなく残っていくもの。
「ご利益=その後は、誰かの何かに役立つだけ」
利益とは究極、自分が何かを得ることではなく、
社会に役立つことなのだと思います。
伝統は、もともと「伝燈」と書きます。
比叡山延暦寺に脈々と受け継がれる灯火の油を
断(油断)たないこと。
つまり後世にバトンをつなぐことです。
灯火を絶やさないために、
自ら灯火の芯となって燃え尽き、
油となって灯火として消える。
たったそれだけのこと。
そうやって脈々と受け継がれるものが
残っていくものなのです。
売れる電子書籍とはどんな本なのか?
「売れる電子書籍とは?」
ということをいつも考えます。
答えの一つは、
「電子書籍を出版することで、集客に大きく役立てている」
著者がいるという事実。
そして二つ目は、書籍を世に出した動機が
「自分のためではなく、必要とする誰かのため」
であること。
お客さんを集めるのではなく、お客さんが集まる。
そんな引力のある書籍が売れる電子書籍です。
引力があるから、残っていく電子書籍だと言えます。
そして、引力だけではなく
デトックス(解毒)力も持ち合わせた書籍を
筆者とともに作っていくのが編集者だと思っています。