
会社のアセットで考えるプロダクトの全体最適と部分最適
こんにちは。小島です。
最近はGrokを使ってトレンドを掴む遊びをしています。
— YUTA KOJIMA | DMM.com PdM (@YutaKojima) January 27, 2025
仕事の方では、チーム内のワークで「全体最適と部分最適ってなんだろう」って話をする機会があったりします。僕たちのチームではよく使う言葉なんですが、その言葉について深く考えたり、定義することがなかったので可視化に取り組んでいる最中です。
この記事では、そんな「全体」と「部分」についてお話ししたいです。
全体と部分の最適って何?
年末はProduct Zineの方でこういうの書かせていただきまして。この記事を読んでいただければ、深く理解できるかと思います。
事業ごとの個別の目標と、会社全体の方向性が噛み合わない状況を、「部分最適と全体最適のバランスが取れていない」と表現することができます。
アルファ室は、いわばこの「部分」と「全体」のバランスを保ちながら、プロジェクトの計画や実行をスムーズに推進する、組織横断型の統括部門です。私たちアルファ室の使命は、この「部分最適と全体最適のバランス」を調整することにあり、これを実現することこそが、会社を次のステージへと導く方法だと考えています。
簡単にいえば、事業個別と会社全体のwinwinを取りたいということです。これって、他事業で経営をしている会社ではどこでも課題が発生しうる領域だと思っています。
例えばどんなこと?
DMMの身近な例でいくと、そもそも業態が違うものがあったりします。
デジタルコンテンツを販売している一方で、通販をしている。そもそもコマース系ではなく、DMMクリニックのようにヘルスケア事業もあります。
通販では物品を扱うので、システム上のステータスや業務フローが特殊です。ヘルスケア事業では、法令・規制遵守の観点で特殊な対応が必要だったりします。
こうした個別の事情の違いがあるので、例えば全社として1つの対応を包括的に行なっていく場合に、事業個別の論点が発生してくるのです。
これら部分と全体の話は、プロジェクトを行なっているとよく出てくる話なんですが、意思決定打にかけることが結構あります。
それは多くの場合、「会社全体からしたら本当にその部分対応っていいのかな?」という問いへのベストアンサーを言い当てるのが結構難しいからなんですね。
会社のアセットで考える
僕たちは、そうした「全体最適ってなんだろうね」というのを、会社のアセットごとに考えて整理しはじめてみています。
1.無形アセット
プロダクトデザインと密接に紐づく観点。会社全体で包括的に収集・コントロールすると効果が高い領域。
- ブランド価値:顧客の信頼や認知度を高める力
- 知的財産権:特許、商標、著作権、ノウハウ
- 人材とスキル:高度な知識やスキル、リーダーシップ
- 顧客関係:顧客ロイヤルティ、リピーターの存在
- データと分析力:顧客データ、ビッグデータの活用能力
- イノベーション能力:新しい製品・サービスを創出する力
2.有形アセット
効果的に活用することを検討ができる領域。ボリュームディスカウントが受けられることも視野に入れられる。一方で、製品やサービスの特性によって要求が異なってくる場合が多く、個別の観点が必要。
- 設備とインフラ:製造設備、ITインフラ、オフィスビルなど
- 製品ラインとサービス:競争力のある商品・サービス
- 流通ネットワーク:効率的なサプライチェーン
- 不動産資産:土地や建物の保有
3.金融アセット
経営視点と密接に関連する領域。事業個別でいい状況に見えなかったとしても、グループ会社からの出資や支援が受けられる可能性を模索しながら検討が可能。
- 資本構成:自己資本、負債比率の健全性
- 投資ポートフォリオ:保有する株式、証券、投資資産
- 現金流動性:資金繰りの安定性
4.社会的アセット
個別と全体を使い分けなければならないシーンが多い。特に、社会的に相反する事業を展開していたりする場合、どの事業からどんな発信をするかは慎重に判断されるべき。
- レピュテーション(評判):社会的信用、CSR活動
- ネットワークとパートナーシップ:業界内外の関係性
- 地域貢献:地域社会への信頼や影響力
5.技術アセット
プロダクトデザインと密接に紐づく観点。会社全体で包括的に収集・コントロールすると効果が高い領域。
- プロセスと技術:生産効率を高めるプロセスや技術
- 技術アセット R&D施設:研究開発の基盤や施設
- 技術アセット デジタルトランスフォーメーション(DX):デジタル化推進能力
6.法的及び規制アセット
部分の要件がないか、綿密に確認したほうがいい領域。会社全体としてはそれをチェックするレギュレーションを用意するなど、監視体制に力を入れるべき。
- ライセンスと許認可:法的に必要な資格や許可
- 法的および規制アセット コンプライアンス体制:規制遵守のためのシステムやプロセス
こうしてアセットごとに見ると、意外とMECEに全体vs個別の最適化論点を炙り出すことができたように思います。あとは、各プロダクト設計時やプロジェクトの進行時に常にこの視点で議論をすることができていれば、最適化できている状態だと言えるでしょう。
仕組み化しなければいけない
難しいのは、仕組みとしてどう実行しようかという点ですよね。
みんなが経営視点を持っているわけではありませんし、情報量にも差があります。特に我々のような人数の多い組織では、仕組みや教育にある程度落とす必要があります。
もちろん、一部では、それに近い仕組みがすでにあったりします。例えば、ヘッダーやフッターの導入ルールが整備されていますし(無形アセットの観点)、レピュテーションリスクに対応するためあらゆる発信において確認フローが確立・集約されています(社会的アセットの観点)。
私たちは、全体にこうしたルール整備を行うことで、最適化された状態を作っていくことをミッションを掲げています。
これからやること
各アセットごとの全体の観点と実行のプランを立てるのを、これからやっていきたいと思っています。
ただ、単純にプロジェクト時のルールに追加するだけかもしれませんし、意思決定に大きく関わるものは会議や承認フローを整備する必要があるかもしれません。
会社全体をどのように成長させるべきか、スケールも大きいですし、視座高く持つ必要がある、難易度の高いミッションに挑戦している感じがして、ワクワクしますね。
さいごに
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