尊重なきダークパターン系副業制度が引き寄せる内部不正と事故
2018年の働き方改革政策以降、副業制度を原則容認に変更する企業は増え続けています。
一方、いまだ副業禁止(社内規則上は副業可能だが事実上制限されている状態も含む)をつらぬく企業も多く、世の変化に対応しきれない企業は多いです。
そうした企業では副業に関する様々なジレンマを抱えだしています。
ルールメイカー有利な副業制度は形骸化する
副業問題の1つに不完全な副業制度が伏業者(会社に伏せて行う副業)を生み出している事実があります。
下記の調査の通り会社に届出をせずに副業をする従業員は決して少なくありません。
理由として、リスクヘッジ主眼で厳格にルール化された使いづらい許可型制度やアナウンスの不徹底など、従業員は自分の申請が認められるか否か疑心暗鬼となり、申請を躊躇する傾向があります。
そもそも、副業とは被雇用者が本業外で収入を持つ事。
就業時間外は従業員の自由であるというのは確立した考え方であり、就業時間外の活動である副業・兼業が禁止できるのはごく例外的・限定的な場合だけです。
これでは、本来副業・兼業を把握するための制度が返ってブラックボックス化と形骸を促す事になります。
実際、下記のような副業事故のリスクが各社に潜在しています。
使われない副業制度は割れたまま放置された窓
企業、従業員間のブラックボックスが放置されつづけている状態の危険性を理解しやすい「割れ窓理論」という理論があります。
割れ窓理論とは米国の犯罪学者ジョージ・ケリングが提唱した治安悪化がたどる経過についての理論です。
副業制度の形骸化が進行すると「会社に副業を届けずにみんなやってます」と公言する社員のように、正当化など誤った伝染をうみだします。
コンプライアンス意識が高く事故を起こさない従業員ばかりの小規模な会社で無い限り、割れ窓を誰も修理せず、放置している状態はモラル低下の前兆ではないでしょうか。
社会変化に対応できるフレキシブルな制度運用が理想
現在、世の中は副業による意図しない事故が起きやすい状況に変化し続けています。上記の図は「不正のトライアングル」というアメリカの組織犯罪研究者であるドナルド・R・クレッシー(Donald Ray Cressey)が提唱したもので、不正は「動機」「機会」「正当化」という3つの要因がそろった時に発生するとした理論です。
現在Youtuberやスポットコンサルなど様々なマネタイズ機会が増える中、会社に所属しながら誰でも副業を始められる外部環境が揃っています。
もしリスクを回避しようと会社制度で一律禁止にした場合でも、個人のプライベート時間での副業を禁止する事はできないため事故の防止策としては効果がありません。
社会変化が加速する中で、◯◯はOK、◯◯はNGなど厳密なルール化で縛る事は返って形骸化を生みます。
理想は社会情勢や社会人の道徳変化、従業員へのプライバシー配慮など柔軟に対応できるプリンシプルベース(原則、準則)での運用でないと対応ができなくなっていきます。
※ルール化されすぎた制度の1例に本業にシナジーがあるもののみ、研究発表しか認めないなどの副業制度があげられます。
制度設計はクラウド型へ
弊社ではプリンシプルベース(原則・準則)での運用をより強固にする損害補償付きのクラウド型制度構築という環境変化を前提とした制度設計を副業・兼業領域で提供しています。
企業の副業制度に纏わる一連の領域には幅広い専門性が必要なため学習コストが高く、変化が激しい領域です。
事故事例を知ると、企業の1担当者だけででなんとかできる状況ではないことがわかります。
我々は最初に書いたニュースのような、ルールを維持するために、真面目な従業員が犠牲になる無駄なジレンマを企業から無くし、ミッションである「企業と従業員が安心安全にダブルワークを認め合える日常を作る」を実現するため、日本で1番副業による事故領域を専門的にハックし続けていきます。
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