アラザルVOL.15と東葛スポーツ特集(全3回)のお知らせ
突然ですがDJ_やめましたa.k.a山下望、ポッドキャストデビューしました。
昨年の2023年11月11日(土)に文学フリマ東京で出した『批評誌アラザルvol.15』に載っている「これまでに観た東葛スポーツその他の演劇にまつわる回想録・約9年分」という長いタイトルの文章をきっかけにして小林雅明さんのポッドキャスト番組『続Rap Bandit-R』に呼んでいただき、「東葛スポーツのステージに、笑わされながら、リアル・ヒップホップを、いや、ヒップホップのリアルを見た、そして、考えた」(前編&後編)と題されたエピソードが配信中です。
そして2024年10月6日に北千住の1010シアターで観た東葛スポーツの新作公演『ドリームハウス』のリアルタイム感想回も配信されております。
合わせて計120分近くある長尺ポッドキャスト番組になってしまいましたが、聞き役兼解説役の私の声が小さすぎてたいへん聴き取りにくい音声となっております。若干音量を上げてご視聴ください。
例によってここからは補足と脱線です。
全3回に渡って配信されました東葛スポーツ特集ですが、
常連の出演者である劇団ロロ所属の俳優兼ラッパー・板橋駿谷さんの名前の読み方を間違って覚えており、「いたばししゅんごく」さんではなく正しくは「しゅんや」さんでした。慎んで訂正いたします。
あと言い忘れたのは今回の劇中に字幕で登場した「2026年3月をもって野田秀樹が東京芸術劇場の芸術監督を退任、後任として岡田利規が芸術監督に就任」という演劇界のニュースがおそらく次回作以降の布石になっているのでは?(日韓の野球の歴史をモチーフにした2015年のチェルフィッチュの作品『God Bless Baseball』には金山寿甲がドラマトゥルクとして参加)と予想できます。
ついでに商業音楽としてのヒップホップ史の起源にある「シュガーヒル・ギャングがギャングじゃなかった問題」を切り口にして語っている前編の中での発言を註釈すると、
“ヒップホップ史の起源に関わる紛い物性みたいなものが、「ラッパーズ・ディライト」にはあると思うんです。
僕は結構普通の日本語ラップと、芸能のシステムから生まれているアイドルのラップとかも好きなんですけど、アイドルのラップを聴いていても、こっちの方がむしろオールドスクールのラップに近いんじゃないかと思う瞬間があるんですけど、…”と言い淀んで名前を言いそびれたのはつまり現在も活動が続いているlyrical schoolのことです。
何もやることがない何者だかよくわからない人々が混じってくる空間こそがヒップホップ。
そもそもアメリカの大都市でなぜギャングが生まれて治安が悪化したのかという根本に遡ると、スラムとは再開発政策の失敗から生まれた空白地帯であり、ラッパーがギャングスタのイメージを演じるのは何もやることがない無職の若者の履歴書が空白になったその後なんですよね。
だから東葛スポーツは“社会的に中途半端で宙ぶらりんな状態に置かれた”都市部の小劇場俳優たちが抱える楽屋裏の愚痴や不満をリリックに変換することでヒップホップが誕生する瞬間とヒップホップの演劇性をシミュレートしているのだと思います。
そもそものきっかけになった原稿ですが2014年の『クラッシュ』から2020年の『A-② 活動の継続・再開のための公演』までの演劇10作品を観た日記+2023年に第67回岸田國士戯曲賞を受賞した金山寿甲『パチンコ(上)についての25000字、
『祝・(観られなかった)『パチンコ(上)』岸田國士戯曲賞受賞記念
これまでに観た東葛スポーツその他の演劇にまつわる回想録・約9年分』が掲載されている批評誌アラザルvol.15は2024年現在、吉祥寺の古書防破堤かもしくはアラザルオンラインショップにて入手可能です。