【お仕事DJの記録】6curry 恵比寿店
2021年9月から6curry 恵比寿店に音源3本と音響デザインで関わらせていただきました。SNSで報告をしても流れてしまうので、この記事は自分のためも兼ねたお仕事の記録です。
・はじまり
大分県の豊後大野にあるゲストハウス「あたらよ」で行われた地域おこしのイベントにお呼ばれしてdjをしていたら6curryのもりゆかさんに出会い、6curryの内装やコンセプトのリニューアルに伴い音楽を良くしたいとお話をいただいたのがことの始まりでした。大自然の中での思わぬ出会い。
・6curryとは
あくまでも僕の視点からの説明になってしまいますが、恵比寿と渋谷にある会員制のカレー屋さんです。
会員制というと「お高いのでは?」と思われそうですが、スパイスたっぷりのおいしいカレーやビリヤニが1日1杯無料で食べられて月々3980円です(定休日:日月)。詳しくは⬇︎のリンクをどうぞ。
恵比寿、渋谷周辺で働いている人には最高なのでは。
・6curryの1番の価値
「美味しいカレーが毎日食べられる」以上の価値が6curryにはあって、それがコミュニティです。会員同士で部活動が頻繁に行われており、ちょっと見ただけでもサウナ部、登山部、タンゴ部、漫画部、ボードゲーム部、カレー作りの部など、何かを始めたくなった時にも、6curryに行けば友達も先生も見つけられます。一日店長もやれちゃう。会員さんが主役。
6curryに関わる中でわかってきたことは「カレーを食べる」はあくまでも口実で、会員さん同士の出会いや発見にこそ価値があるということです。実際お店でカレーを食べて打ち合わせをしている最中にも色んな人と知り合えてドキドキしました。
・6curryの新たな取り組み「一夜限りの晩餐会」
6curryという店名通り、カレーには主に6種類のスパイスが使われています。晩餐会ではそれぞれのスパイスを軸にした6品のコース料理を召し上がっていただきながらお店のメインコンセプトでもある[experience the mix.]MIX体験をしていきます。
それはシェフもスタッフもお客さんも、場を共有する全員で自己紹介と質問、席替え、スパイスクイズをしていく参加型のコミュニケーション体験です。毎晩変わるメンバー、その時にしか生まれないやりとり。すべての回がまさしく「一夜限りの晩餐会」。
コースは料理のコースとスイーツのコースで2つあり、料理ごとにペアリングされるドリンクも見事。それぞれのゲストシェフによる美味しい料理は参加者同士をつなぐ最高の共有体験です。
・今回制作した音源は3つ+音響デザイン
1、夜の通常営業時のBGM(2時間)
お話をいただいた当時はコロナの自粛期間ということもあり18時ー20時の2時間、アルコール提供無しという状況を想定して制作しました。
序盤は穏やかにlo-fi HIPHOPやアコースティックのサウンドから徐々に盛り上げていき、ガムランやシタールを使ったカレー屋さんらしいオリエンタルな曲を中盤に。後半はフェスシーズンを感じさせる明るい歌物ハウスやテクノを、終盤はクラブジャズやバラードを使って閉店時間にむけて着地。
自粛下において晩ご飯を外で食べるということは特別なことで、お客様にワクワクや夏の終わりと秋の訪れを感じてもらえるような展開づくりにしました。
2、一夜限りの晩餐会スパイスフルコース 料理コース(2時間半)
コースはすべてのゲストが揃ってからの一斉スタートとなるので待ち合いの曲から始まります。期待感を持たせつつ、乾杯と共に始まる1皿目からはドラムンベースで賑やかに、2皿目はアンビエント、3皿目は土っぽさが漂うワールドミュージック。4皿目になると自己紹介終盤。席替えがはじまるので大人しめのバンドサウンドやブレイクビーツで喋りやすく。5皿目は料理も力強くなっていくので音楽は主張を減らして優しく下支え。デザートとなる6皿目ではバラードを交えながらゆったりとお茶とお喋り、コース全体を振り返るような甘い時間。最後にシェフからの挨拶、なかなか終わらないお喋りを見送るようなoutroの最後の曲。
僕の中にあった当初の構想は「非日常感」のある賑やかなパーティでした。それはそれで良い感じに鳴る日もあったのですが、6curryが育んできたものはパーティ感ではなくホーム感。お互いが顔見知りで安心する家、家族のような空間でした。なのでグイグイと盛り上げていくのではなく、穏やかでのんびりとした家庭の食卓のような「日常感」。
どうしてもDJは非日常を彩ることが多かったので、今回6curryさんとご一緒させていただく事で僕としても新たな引き出しに出会うことができました。
3、一夜限りの晩餐会スパイスフルコース スイーツコース(2時間半)
料理のコースと同じく期待感を煽る待ち合いからWolf AliceのYour Love's Whoreで幕を開けます。王道ロックの力強さと繊細な女性ボーカルが綺麗に配置された曲で、スイーツコースを象徴するような曲。
2、3皿目とオーガニックで優しい音をつないでいき、繊細なスイーツとドリンクの味わいの中で安心感を持ってもらう構成。4、5皿目は徐々にダイナミックにリズミカルに。会話が弾む賑やかで華やかな食卓の空気感。
6皿目、スイーツコースの最後のデザート。外に意識が向いている中で、改めて季節感や自分のマインドに立ち返ってもらえるような印象的なシーンにしたかったのでPorter Robinsonと水曜日のカンパネラのコラボ曲「fullmoon lullaby」を。
途中でスパイスカレーがはさまるものの、甘いものが続くスイーツのコースと最初に聞いた時は衝撃で、音楽側でどう変化や印象づけをしたものかと悩みました。準備をした上で初日に立ち会ってみるとみんなでアフタヌーンティーを楽しむような感覚というか、カラフルで平和な景色がひろがっていました。そこに6curryの「日常感」を軸にしながらキーとなる景色を置いていくようなかんじで音楽が並びました。
音響デザイン
内装のリニューアルに伴いスピーカーの設置場所のアドバイス、最適な音量のイメージ、またbluetoothレシーバーを導入してDJが居なくても料理提供と曲チェンジをスタッフが同時に行えるようにしました。
限られた予算の中で音の聞こえを良くすること、曲順含め扱いがわかりづらい音響機器をシンプルな構成にして納品を終えることを心がけています。
・最後に
お仕事として音楽を作らせていただくと、自己表現として作品を作るときにはないアイデアやメッセージに出会わせてもらいます。コロナ以前はDJが居るようなクラブイベントもライブハウスも、またレストランでのコース料理も非日常のものでした。だけど6curryが育んできた価値、届けたい想いを共有させてもらった時に生まれたのは肩の力が抜けるようなホッとする音楽でした。外で食べるスパイシーなインドカレーじゃなく、それぞれの家のカレー。
DJというのは1人でブースに立ちお客さんと対峙するものだからこそ、こうしてお互いのビジョンを伝え合いながら作品を作っていくというのがとても楽しいです。100%の自己表現でもなく、100%の頼まれ仕事でもなく、アーティストとしてみんなで作る場に作品を置いてくること。今回も無事にその役目が果たせたなあと、先週は料理のコースをお客さんの立場で堪能しながら感慨にふけっていました。
⭐️ご案内
そんなリニューアルを遂げた6curry恵比寿の「一夜限りの晩餐会」はこちらのリンクからご予約をいただけます。6curry会員でなくても大丈夫だし、1人で参加でも大丈夫です。スタッフさんやシェフが間に入ってくれて周りのお客さんと楽しくお喋りが弾んで、気付いたときには晩餐会です。
また通常営業からでも是非お越しください。幅広い世代、色々な働き方をしている人が集まっていますので、誰にとっても場違いとか無いです。
↓ 6curry 公式HP ↓
今後もこんなかんじで、お仕事報告をしていければと思っています。
音楽のお仕事、DJのお仕事って何をどうやっているのかよくわからないだろうし、音楽を良くしたいけど誰にどう頼んだらいいかわからない、って人も多い気がしています。
エステの60分コースに合わせる60分の音楽、
カフェのオープンからクローズまでの音楽、
コース料理一皿ごとに合わせる音楽、
座禅やヨガといった瞑想に合わせる音楽、
ビジネスイベントでの音楽による演出などなど
お気軽にご相談いただけるような報告記事を作っていきますね。スキやシェアがもらえると嬉しいので是非よろしくお願いします!
最後はコース料理のoutroでも使っている曲、diploのOne By One (feat. Elderbrook & Andhim)。ひとつひとつ。
DJ Masaomi Tomomitsu
⬇︎My redommend mix⬇︎