レット・バトラーはテーピングを巻いていたか?2024・9・1
施術の補助としてテーピングを貼付することがあります。患部を粘着性の包帯で固定するというのはかなり昔から行われていて、アメリカの南北戦争の際に梱包用のテープを使ってケガをした患部を固定したのが始まりと言われています。包帯固定は動くとだんだん緩んだりズレたりしますから、粘着性のあるテープで固定するという発想になったのだと思います。
発展していったのもアメリカで、19世紀末にはアメリカ陸軍で足関節の捻挫の固定に使われていたといいます。その後アメリカンフットボールなどのスポーツにも使われるようになり、現在ではスポーツの現場で広くテーピングが使われるようになりました。
かなり熟練を要する技術で、患部をしっかり固定するのが目的ですけれどあんまり締め付けすぎると血行が妨げられてしまいます。トレーナー経験のある先生に教わったこともあるのですが、上達しないまま終わってしまいました。
1980年代になって画期的なテーピング法が開発されました。人間の筋肉と同じ伸縮性のあるテープを筋肉の走行に沿って貼付します。
従来のテーピングは患部を動かないように固定することが目的でした。足を捻挫すればテーピングで足関節を動かないようにして、ケガの患部を保護しながら競技や運動ができるための治療法だった、ということです。
ところが新しく開発されたテーピング法は損傷した筋肉を保護しながら患部を動かすことを目的としています。固定ではなく言ってみれば「軟定」ですね。この画期的なテーピングの術式はキネシオテーピングと呼ばれています。キネシオは「キネシオロジー」、運動学の意味です。大相撲で力士が肌色のテープを膝に巻いていますがあれがキネシオテーピングです。うちの治療院でも時々必要に応じて使っています。患者さんに説明するときも「大相撲で力士が貼ってるテープ」と説明すると話が早くて助かります。
患部の保護という概念から離れて経穴(鍼灸などのツボ)や筋肉上の特定のポイントに郵便切手くらいの大きさのテープを貼る治療法もあります。こちらは箱根駅伝とか24時間テレビのマラソンとかでランナーが貼っています。ただテレビではそれこそ何十枚もペタペタ張るので数枚しか貼らない私のことを「ケチなやつやな」と思ってらっしゃる方はおられるかもしれません。