【映画噺】フラッグ・デイ 父を想う日 FLAG DAY 12月23日公開
2022年12月23日から公開の映画、「フラッグ・デイ 父を想う日」を試写でみました。ショーン・ペン監督・主演最新作として、第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品されています。
STORY
感想
冒頭のシーンで、主人公のお父さんが作った偽札を警察で見せられて、「さわっていい?」ってふれるんですよ。そしてふと「美しいわ。」って言うんです。おそらく警察とのやりとりの中なので、シチュエーション的には正直奇妙な発言なんですが、ジェニファー目線の回想をメインに綴っていく物語を見ると、腑に落ちるとても自然な言葉になるから不思議。”It's beautiful.”だったかな、このシーンのインパクトがあまりにも強烈でした。
もっと贋札事件をメインに描いた作品かと思って見始めましたが、原作になっているのが「Flim-Flam Man: The true story of my father's counterfeit life」というジャーナリスト、ジェニファー・ヴォーゲルの回顧録で、flim-flamには「ペテン」という意味があります。日本語訳のタイトルまでは調べられなかったんですが、直訳すると「ペテン師:父の偽造人生の真実」みたいな感じでしょうか。
苦労をしながらもジャーナリストになりたいという夢を叶えた原作者でもあるジェニファーが、ペンで真実をえぐるというジャーナリズムにおいて、犯罪者となった父のことを書かないわけにはいかなかったのかもしれません。世の中的には2200万ドルもの偽札を作って、逃走する様子が中継までされた一見犯罪者も、娘から見たら大好きなお父さんだったという、美化という人もいるかもしれませんが、年に一度、FLAG DAYになると思い出す、酷いけれどかけがえのない愛しい家族のこと、という作品としてまとまっているんだろうなとも思いました。
主演・監督はショーン・ペン。そして実の娘ディラン・ペンがジェニファー役を演じるということですが、七光りのキャスティングと一蹴してしまってはもったいない。
彼女の存在感が非常に良かった。反抗期全開のパンクっぽいファッションやヘアメイクもハマっていたし、笑顔とも悲しみともつかない表情で察するような演技はすごい俳優さんだなと。
ショーン・ペンもその才能を高く評価しているそう。
実は弟役も実の弟、ホッパー・ジャック・ペンなのです。
映像もきれいだなぁと思っていたら、ARRIのカメラ、ヴィンテージのレンズ、16ミリのコダックフィルムが使われたそう。
共感をして、大きく感情を揺さぶられる…というよりは、主人公に寄り添って、その人生を垣間見る。人によっては自分や大事な人とのことを考えたりもするかも…そんな作品だったかと思います。合間合間に流れる音楽のセレクションもしぶくて良かった。
作品情報
フラッグ・デイ 父を想う日
2022年12月23日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
© 2021 VOCO Products, LLC
公式サイト
予告編
原語ですがちょっと長めの予告編でもうちょっと映画の雰囲気をどうぞ。
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