見出し画像

【映画噺】フラッグ・デイ 父を想う日 FLAG DAY 12月23日公開

2022年12月23日から公開の映画、「フラッグ・デイ 父を想う日」を試写でみました。ショーン・ペン監督・主演最新作として、第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品されています。

STORY

1992年6月 、アメリカ最大級の贋札事件の犯人であるジョン・ヴォーゲル(ショーン・ペン)が 、裁判を前にして逃亡した。2200万ドルもの贋札を印刷し、最長で 75 年の懲役という彼の罪を初めて知った娘のジェニファー(ディラン・ペン)は、それでも
「私は父が大好き」とつぶやく。
ジェニファーが子供の頃、父は家族の前に現れては、また消えるという生活を繰り返していた。あれは1975年の夏だった。突然
会いに来た父は農場を購入し、母のパティ(キャサリン・ウィニック)と弟のニックの3 人 暮らしで荒れ果てていた家を修復した。母に
笑顔が戻り、平凡だった日々が見違えるほど驚きの瞬間に変わり、幸せな家族のような暮らしが続いた。
だが、それも束の間だった。返せない借金で買った農場の資材が次々と届くにつれて、明るかった父の心は暗闇へと沈み、また姿を消す日が訪れた。借金を押し付けられた母は酒に逃げ、家事も子供たちの世話もできなくなり、伯父のベック( ジョシュ・ブローリン)が、ジェニファーとニックを父のもとへと連れて行く。
父の新しい恋人も巻き込んで、またお祭り騒ぎのような毎日が始 まった。ジェニファーの心は浮きたったが、何度くり返してもやはり父との人生はうたかた、泡のごとく消えていくのが運命だった。再び
借金から逃げるために、父の手で母の元へと送り帰されたジェニファーとニックは、「国旗制定日(フラッグ・デイ)に生まれた男はクソだ」と自分の息子をなじる祖母の言葉に胸を痛める。
1981年、高校生になったジェニファーは 、母親の再婚相手とうまくいかず、弟を置いて家を出る決意をする。行く当ては父のところしかなかった。またしても借金を抱えていた父だったが、自分を頼ってくれた娘のため
に 、普通のセールスの仕事を見つけ真面目に働き始めたかのように見えた。そして
今年もフラッグ・デイがやって来た。ジェニファーは「私たちは似た者同士。どんな道に進もうと、 私は永遠に支え続ける」というメッセージを添えて、父に二人の大切な“想い出”をプレゼントする。 父は感激のあまり涙を流し、「世界が爆発しようとも、お前の側にいる」と娘を抱きしめるのだった。
だが、「何もかも順調よ。パパは変わりつつある」と 、ジェニファーがニックに喜びの手紙を書いたその日、父はあまりにも衝撃的な行動に走る─。

プレスより抜粋追記


感想

冒頭のシーンで、主人公のお父さんが作った偽札を警察で見せられて、「さわっていい?」ってふれるんですよ。そしてふと「美しいわ。」って言うんです。おそらく警察とのやりとりの中なので、シチュエーション的には正直奇妙な発言なんですが、ジェニファー目線の回想をメインに綴っていく物語を見ると、腑に落ちるとても自然な言葉になるから不思議。”It's beautiful.”だったかな、このシーンのインパクトがあまりにも強烈でした。

もっと贋札事件をメインに描いた作品かと思って見始めましたが、原作になっているのが「Flim-Flam Man:  The true story of my father's counterfeit life」というジャーナリスト、ジェニファー・ヴォーゲルの回顧録で、flim-flamには「ペテン」という意味があります。日本語訳のタイトルまでは調べられなかったんですが、直訳すると「ペテン師:父の偽造人生の真実」みたいな感じでしょうか。

苦労をしながらもジャーナリストになりたいという夢を叶えた原作者でもあるジェニファーが、ペンで真実をえぐるというジャーナリズムにおいて、犯罪者となった父のことを書かないわけにはいかなかったのかもしれません。世の中的には2200万ドルもの偽札を作って、逃走する様子が中継までされた一見犯罪者も、娘から見たら大好きなお父さんだったという、美化という人もいるかもしれませんが、年に一度、FLAG DAYになると思い出す、酷いけれどかけがえのない愛しい家族のこと、という作品としてまとまっているんだろうなとも思いました。

主演・監督はショーン・ペン。そして実の娘ディラン・ペンがジェニファー役を演じるということですが、七光りのキャスティングと一蹴してしまってはもったいない。
彼女の存在感が非常に良かった。反抗期全開のパンクっぽいファッションやヘアメイクもハマっていたし、笑顔とも悲しみともつかない表情で察するような演技はすごい俳優さんだなと。

ショーン・ペンもその才能を高く評価しているそう。
実は弟役も実の弟、ホッパー・ジャック・ペンなのです。

映像もきれいだなぁと思っていたら、ARRIのカメラ、ヴィンテージのレンズ、16ミリのコダックフィルムが使われたそう。

共感をして、大きく感情を揺さぶられる…というよりは、主人公に寄り添って、その人生を垣間見る。人によっては自分や大事な人とのことを考えたりもするかも…そんな作品だったかと思います。合間合間に流れる音楽のセレクションもしぶくて良かった。


作品情報

フラッグ・デイ 父を想う日
2022年12月23日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
© 2021 VOCO Products, LLC

公式サイト

予告編

原語ですがちょっと長めの予告編でもうちょっと映画の雰囲気をどうぞ。



この記事が参加している募集

サポート、ありがとうございます!