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警告:マイクル・コナリー:ようこそ、コナリー沼に

「警告」(39,40/2022年)

今回は記者のジャック・マカヴォイが主人公です。諸事情あって、今は消費者問題を扱うニュース・サイトで働いている彼。諸事情、もちろん読んでますけど、もう10年位前の話なので忘れしまいましたが、本作を楽しむ分には問題ありません。逆に、本作が気に入ったらならば「ザ・ポエット」「スケアクロウ」に進んでください。

自分が殺人事件の容疑者扱いされるところから物語はスタート。1年位前に、バーで偶然会って、一晩だけセックスした女性が殺された。その事件を調べ始めると、どうも、これは、連続殺人事件らしいことが分かってきた。

DNA検査を生業とする企業を核に物語は回っていきます。そこに絡んでいく差別問題。DNA検査が悪いのではなく、それを利用する差別主義者たちが悪の源なのです。ネット犯罪はインターネットが悪なのではなく、それで犯罪する人が悪いのと同じこと。犯罪は、犯罪を試みようとする心は、残念ながら不滅であり、時代と共にパートナーを変えていってるだけなのです。

その犯罪に記者という立場で向かっていくマカヴォイの警察との駆け引きというか「闘い」は見ものです。更に、彼が仲間に引き入れた、あのレイチェルの「暴走」っぷりも素敵。ここを味わうためにはシリーズを全て読んでおくべきなんだけど、まあ、本作でレイチェルのこと気に入ったら、是非、振り返ってください。

マイクル・コナリーの大いなるサーガは1992年から始まっているので、今から最初から読み進めるのは大変だと思いますが、ボッシュ・シリーズは警察小説としての頂点だと思うし、「リンカーン弁護士」君は実に愛すべき男だと思うし、これを機に、コナリー沼にはまるのも良いと思います。

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