アメリカン・ゴッズ:ニール・ゲイマン:歴史の戦い

「アメリカン・ゴッズ」(95,96/2020年)

重厚な読書でした。アメリカ大陸の文化を理解していない者にとっては厳しい読書でしたが、心でズドンと受け止めることは出来たと思っています。

アメリカ(俗に言うUSA)を「アメリカ」と言うのは間違っていますよね。北米大陸とUSAは別のものと考えないといけないな、安易に「合衆国」のことを「アメリカ」と呼ぶことは止めるべきだなと思いました。そもそもアメリカにも、北米、中米、南米とあるわけです。北米にもUSAとカナダがあります。これからはちゃんと合衆国と言います。

合衆国には歴史は無い、と言いますが、合衆国に歴史はなくとも北米大陸には歴史はあります。また、合衆国には歴史は無い、と言いますが、合衆国に来た人たち、そして送り込まれた人たちには歴史があります。そして、ここ200年ちょっとの合衆国にも、それなりの歴史があります。

この作品では、歴史のことを「神」で表しています。歴史の数だけ神がいます。そして神々は戦います、神同士が対決するのではなく、その神を信じる人たちに、代理で戦わせます。時に統治者が神を使って戦わせることもありますが、それらは歴史の戦いであることに間違いはありません。

本作では「移住者と共にアメリカに移り住んだ古の神々」と「20世紀以降に生まれたテクノロジーの神々」が敵対します。一種の「妖怪大戦争」ですね。その戦いの結末も壮絶ですが、湖に面した小さな村の衝撃の事実はもっと激烈です。

自粛の波に飲まれて家から出ることが出来ないならば、ここは腰を据えて、合衆国の神々に触れてみませんか?

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