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賢者の贈り物:石持浅海:短編なだけに妄想力が爆発するぞ

「賢者の贈り物」(18/2021年)

石持作品ですが、毛色が違います。ミステリというよりは寓話、童話ですね。10の短編が、それぞれ誰でも知ってる世界的名作の設定の下に展開されます。仕事の話だったり、恋の話だったり、家族の話だったり、日常のミステリが軽やかに綴られています。

どの作品にも出てくる謎の美女、磯風さんも気になりますが、途中から磯風ミステリを追うのは止めてしまいました。石持なのでそれなりの罠を仕掛けているとは思うのですが、この作品では、敢えてそこに注力せずに、それぞれの小さな物語を楽しみました。

「金の携帯 銀の携帯」はプチホラーでしょう。世にも奇妙な的なテイストです。「ガラスの靴」での駆け引きは微笑ましいです。「最も大きな掌」はよくある話ですね。
一番のお気に入り「可食性手紙」はキラキラした青春ミステリ。映像化、舞台化して欲しいな。紙を食べるシーンがエロチックです。表題作「賢者の贈り物」は一番ミステリっぽいかも。素敵なオチなので安心してお読みください。
「玉手箱」は問題作です。超投げっぱなしなので覚悟してください。「経文を書く」はなかなか難しい問題に挑んだ意欲作だと思います。
「泡となって消える前に」「最後のひと目盛り」はキュートな恋愛ストーリーです。これは映像化してほしいな。ピュアなのとコミカルなの、同じ女優で演じ分けるのを見たいです。ラスト「木に登る」ですが、いい奴は救われるってことですかね。真摯に生きていくことが大切だって言う寓話だと思います。

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