NO.6 #1:あさのあつこ:仲間との物語、はじまる

「NO.6 #1 」(63/2022)

少年少女向け、って決めつけてはいけませんよね。つい読みやすいので、どんどん読み進めてしまったけど、難しく書けば良いってものではないのですから。

来た、王道、ディストピア小説。理想の社会だと思って12歳まで生きてきたエリート少年、主人公の紫苑が、ほんの気まぐれから「奈落の底」に落ちていくところから物語は始まります。もう少し良い思いをしてからでも良いのに~とか思ったのですが、頭から過酷な現実を見せつけるあたり、読書に慣れていない人を飽きさせないスピーディーな展開、さすがです。

そして、紫苑は更に落ちていきます。そう、人間はどこまでも落ちることが出来るのです。
しかし、そこにも光明はあります。いや、暗闇に落ちなければ気がつかなかった、エリートのままだったら見過ごしていた大事なもの。それは仲間です。助けられたことがあるから、助ける。シンプルな行動原則で繋がれる、それが仲間です。

敢えて私は「友達」という言葉を選びませんでした。なぜか、それは仲間の方が友達よりも少しドライな感じがしたからかもしれません。このディストピアをサバイブしていく物語がこれから始まります。厳しい世界を行く抜きためには、友達よりも仲間なのではないでしょうか。

もちろん、読む進めていくうちに「やっぱ友達だよな~」って気持ちになるかもしれません。それはその時、さあ読むぞ。

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