
瑠璃の雫:伊岡瞬:美緒の強さ
「瑠璃の雫」(54/2021年)
想像以上にトリッキーな作品です。何となく未解決のまま置き去りにされていく案件が多いのです。事件が複数、同時に発生して進んでいきます。それが時系列ではなく発生していくので、自分がどこにいるのか分からなくなります。でも、それは、最後のカタルシスのための準備期間です。楽しみにまっていてください。
アルコール依存症の母をもった少女、美緒が主人公です。更に弟は小さいころに一番下の弟を殺した疑惑がある。そんな彼女を支える叔母の紹介で、近くに住む元検事のお爺さんの家に出入するようになります。で、そのお爺さんは娘を5歳の時に誘拐された過去があります。
これ以外にも、暴行とか火事とか、ネガティブな事件が発生します。でもね、美緒は挫けないし、曲がらないんです。圧倒的な強さで生きていくんです。そして、自分の力で全ての事件の真実を探すのです。
敢えて苦言を呈するならば、こんなにも強い人(=主人公)、いるのでしょうか?というところだと思いますが、そこは小説なのでOKとしましょう。美緒は小学生の時からずっと強いのです。様々な小説で子供のころから圧倒的に強いキャラっていますが、美緒も相当なものです。
でも、よくよく考えると、この強さも信頼できる叔母の存在があるからこそなんですよね。たった一人で強い人なんていません。スーパーマンだってそうです。みんなで強いんです。