ナキメサマ:阿泉来堂:表紙すら見ないまま読んでほしい(ネタバレ少し有り)
「ナキメサマ」(70/2021年)
前知識ゼロで読んでほしい一冊。本当はジャンルも隠してほしいけど、「角川ホラー文庫」から出てしまった時点でアウトかww。以後、ネタバレしちゃいます。とにかく「ナメキサマ」という謎の単語以外に何のヒントも無いままに入り込んでほしいです。
で、自分は運良く表紙をちゃんと見ないで作品に入れたので、この作品がサスペンスなのか、ミステリなのか、ホラーなのか理解しないまま、ある意味純粋に自分の妄想だけで読めたので、とても面白かったです。
まさか「化け物」が出てくるとは思っていなかったので、モンスターが暴れだすシーンでは不思議な気持ちになりました。このモンスターはみんなの恐怖が作り出した妄想なのでは、という気持ちが残るんですよ。でも、作品内ではリアルな、物体としてのモンスターが存在するんです。気持ちがカタチになって登場するんです。
田舎の小さな村の古い祭を中心に物語は展開します。ちょっと民俗学的っぽいアプローチもあって、現実と幻想の間を行ったり来たり。作者に惑わされる感じ、嫌いじゃないです。
でも、実はラストにミステリ的なオチもあったりして。盛りだくさんの内容をまとめる筆力、素敵です。
でも、帯に「どんでん返し」とか書くの、本当に勘弁してほしいです。それで売り上げが伸びるならば仕方ないですが、読者をバカにするの、やめてほしいんですけどね。
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