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RDG4,5,6:荻原規子:主人公のこと、嫌いなっていく…けれどね

「RDG 4 世界遺産の少女」(125/2021年)「RDG 5 学園の一番長い日」(126/2021年)「RDG 6 星降る夜に願うこと」(127/2021年)

一気読みしました。読めば読むほど、主人公、泉水子のことが嫌いになっていく…けれどね、そこがこの作品の肝だと思いました。泉水子の周りを、クセはあるけど、判断力や実行力。決断力のある人で固めています。善も悪も含めて「切れる」人たちです。でも、泉水子だけが切れない、冴えないのです。

だからだんだん嫌いになっていくのですが、それは自分と泉水子を重ねているからだと思うのです。自分が嫌になっていく、この負のスパイラル、よくあることじゃないですか。

周囲の人たちは、みんな優れている、自分には出来ないことをこなしていく。なかなか追いつけない。落ち込む。そんな自分を泉水子の中に見てしまうから、いわゆる自己嫌悪。

泉水子には、実は周囲の誰一人として対抗することの出来ない力を持っています。その力を有効活用出来ない彼女にイラついたりするのですが、この感情こそがRDGの肝なのではないでしょうか。

ただ、この感想は、高校生を数十年前に終えてしまった自分だからでしょう。これをリアルタイムで読んだとしたら、また違った感情が沸き上がってくると思います。

ポジティブな感情を書くのではなく、ネガティブな面を丹念に描きながらも決してダークサイドに陥らない(途中ちょっとした危機はありましたが)。なんて繊細なんでしょう。

この後、彼女は一気に成長していくと思います。自分の力と向き合い、世間、世界と対峙していくのでしょう。

そして、普通の作品ならば、その活躍するところをメインにするでしょう。しかし、荻原規子はその道を選ばなかった。凄いと思います。不思議な感情を喚起させてくれて感謝です。

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