さいごの毛布:近藤史恵:犬も人間も同じなんだよね

「さいごの毛布」(146/2020年)

犬、苦手なんですよね、本当は。犬単体は良いのですが、犬と人間がペアになると、困ってしまうのです。

でも、本作品を読んで、ちょっと耐性が増した気がします。主人公がそんなに犬好きではないところが、寄り添うことが出来た理由かもしれません。

老犬ホームが舞台です。老犬に限らず、家で飼うことが出来ない犬を有料で預かってくれる施設のことです。飼うことが出来ない理由は様々です。人間の身勝手、と単純に言い切れないところが近藤クオリティです、うまい。

日本でのペットの地位は低いと思ってます。未だに生体販売を許していること自体、ペットは「モノ」ですから。確か、殺しても、殺したのではなく器物破損だったような気がします。そもそも「動物愛護法」とかいう中途半端な法律しかないし。でも、徐々に改善されているかと。とくかく、生体販売は止めましょう。

犬と人間が、相互に信頼をする、適度に依存しあう。ペットは人間の所有物ではのない。でも、現代の日本では犬は人間無しでは生きられない。人間に実質的に支配されている。でも支配の意味を勘違いしてはいけない。これは犬と人間ではなく、人間と人間でも同じかと。

主人公は犬に成長させてもらっている。人間付き合いが苦手な人は犬付き合いも苦手なんだね。そのどちらかを克服すれば、両方克服出来るってこと、目から鱗でした。

老犬ホームの社長の過去の謎や、同僚の恋の行方など、人間ドラマも絶妙に絡み合って、楽しく読める作品です。

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