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されど修羅ゆく君は:打海文三:これが読書の醍醐味
「されど修羅ゆく君は」(107/2021年)
先に本作品の後日談となる「愛と悔恨のカーニバル」を読んでいたのでスーパー主人公である姫子のキャラクターがすぐに、深く、自分なりの解釈で入ってきたので、実に楽しく読めました。姫子の13歳のころの元気な姿を知ることが出来て嬉しかったです。
でも、これ、本作品で姫子にいきなり出会ったら、動揺するだろうな。他の打海ワールドを堪能したことがあるのであればまだしも、この13歳を現代社会の中で解釈するのは、かなりのハードワークだと思う。
でも、このハードワークが読書の楽しみなんですよね。この姫子を、文字の世界から自分の頭の中の世界に引きずり出して、共に物語の世界で生きていくのか。それが楽しんです。
本作品、簡単に言えば、警察官の不祥事がらみの刑事サスペンス系ミステリです。そこだけ切り取ると、色々と問題があるかと思います。警察キャリアが色恋沙汰でこんな修羅場を迎えるなんて…とか。
でも、姫子が主人公だから良いのです。これは一種の姫子のファンタジーワールドで起こった事件なのです。打海が読者に仕掛けた罠なのです。その罠に嵌るもよし、抜け出すもよし、それが読書です。
この「ラブストーリー」をどうやって楽しむか、それは読者次第ですが、出来ることならば、他の打海作品を読んで、打海ワールドを少しでも理解してから、この姫子13歳に対峙してほしいです。
やっぱ、読書は最高に楽しい。