見出し画像

眠りの庭:千早茜:自由に読んで欲しい

「眠りの庭」(73/2021年)

この作品、好き嫌い別れるのではないでしょうか。登場人物に感情移入系読書が好きな人には、ちょっと厳しいかも。僕は、好きです、「投げっぱなし」に動揺する読書、好きですから。

挫折した画家、萩原が高校の臨時教員をしている場面から物語は始まります。「お嬢様」女子高のなかで特異な雰囲気を醸し出す萩原を軸に、何が起こるのか、ドキドキしながら読み進めると、意外な方向に物語は動き出します。でも、「意外」と思わない人もいるかもしれません。あの少女との出会いからの流れ、自然と受け止めるかも。

不思議なんです。変わった性格の登場人物が多いにもかかわらず、トータルで見ると、非常に収まりが良い。異能の集いというか、類は友を呼ぶというか、常軌を逸しているはずなのに、描かれている世界には、普通の空気が満ちている。

読者に任されている部分が大きい作品です。自らイニシアティブをとって読み進めるもよし、とらずに千早に煽動され続けるもよし。自由に読んで欲しい作品です。読書好きにはたまらないです。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集