ジョン・ディクスン・カーの最終定理:柄刀一:大サービス本格ミステリ
「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」(140/2020年)
美しいミステリです。
カー、殆ど読んでいないな。「火刑法廷」くらいかもしれません。クラシックなミステリはアガサ・クリスティ(セミ・クラシック?)を全作品読んだ時点で、自分の中では飽和しまった感じなのですが、これを機にチャレンジしようかなと。
さて、そんなカーにまつわる過去の事件の謎解きと、それに挑む人たちが経験する今の事件の謎解きが同時進行で進みます。どちらもガチな謎。どう考えても実施不可能に見える犯罪の真相を暴きます。本格ですね。
聖なる銃での殺人事件、身体が燃えているのに手だけ燃えていない焼死体事件が過去の事件です。どちらもトリックがバレれば非常にシンプルなところが良いです。
水中銃での殺人事件が今の事件。こちらは少々無理があるかもしれませんが、本格なので問題ないと思います。ロジックは完璧だし、ちょっとした伏線をしっかりと張っているところが美しいです。加えて、動機にまつわる更なる真相までついてくる大サービス!
王道の本格ミステリのアレンジ版といったところでしょうか。ミステリファンに取っては、様々な楽しみ方が出来る作品です。ゆっくり、大事に、かみしめながら読んでみてください。