巡査長真行寺弘道:榎本憲男:ガンガンかましておくれ
「巡査長真行寺弘道」(158/2020年)
これは大河警察小説に発展するのだろうか?シリーズ第一弾だけでは納得できない部分が多すぎる。一見、ハチャメチャな設定ではあるが、物語としては面白い。ここまで振り切っているならば、もっと飛び跳ねて欲しい。今後、一体、何が待ち受けているんだろうか?少し前の作品なので、一気読みすることが出来るが非常に嬉しい。いざという時のために、とっておこう。
主人公は問題児だけど超優秀な警察官、真行寺。出世を拒否し、単独行動、違法捜査をガンガンかます。ま、ここまでやれば成績は良くなるだろうよ、と思うものの、エンタメ警察小説としては問題無い。ちょいちょいリアルな情報を差し込み、破天荒な展開に妙な説得力を持たせるあたり、著者榎本、流石、普通の作家とは一味違うかも。
そんな彼が対峙する国会議員の殺人事件が、なんか、日本をひっくり返すほどの案件に絡んでいることが徐々に明らかになってくる。いきなりな展開に驚くものの、本作ではまだ霧の中、本筋は見えてこない。
ここまで大風呂敷を拡げて、どう収集をつけていくのか、非常に楽しみだ。久しぶりに非現実的な警察小説にブチあたった気がする。リアル路線も楽しいが、あまりにもリアル過ぎると疲れることもある。真行寺のようなストレスフリーな気持ちで読める作品であることは間違いない。
この巨大な陰謀に立ち向かうであろう真行寺。多分、勝利は確実かと思うが、まさかの結末が待っているかもしれない。榎本、油断できない作家だ。気を付けて、この先楽しみたい。
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