アリバイ崩し承ります:大山誠一郎:削りに削った素晴らしさ
年間、文庫本で、小説ばかり、約150冊を読み続けているGGが、今年は読んだ本の読書感想文を書いていこうかと
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「アリバイ崩し承ります」(021/2020年)
表紙とかタイトルとかが、ちょっとライトっぽいかな~って勘違いしてて、大山誠一郎の名前に気が付いていませんでした。失礼しました。
なんて「味気の無い」作品なんでしょう、、、と書くと否定していると思われるでしょうが、そうではありません。味気がないのに立派に成立してるのが驚きなんです。これは社会に対する挑戦なのかもしれません。ミステリというものは、解けない謎が解けること「のみ」が大事なんだというメッセージを感じます。全てを削った先に残る芯の部分だけを抽出したミステリなんです。それを物足りないと感じ、本作品を評価しない人も多々いると思いますし、否定はしません。やっぱ殺人には動機が必要とか、捜査には様々な人物との出会いが重要とか思う人には、本作品は向いていません。
でも、ここにある「芯」は面白いですよ。僕のお気に入りは推理小説作家の物語。このネタはズルいかもしれないけど、削りに削った本作だからこそ成立しているところが素晴しい。
これドラマ化ですが、これこそドラマ化向けの原作なのかもしれません。登場人物自体の設定が、小説とドラマでは全く違いますが、この物語の本質は謎解きなので、その謎解きが鮮やかに決まりさえすれば、後は何を付け加えても、変更しちゃっても良いと思います。