忌物堂鬼談:三津田信三:ジワジワ系日常怪談

「忌物堂鬼談」(3/2021年)

怪談です。五夜にわたって語られる怖い話。

「砂歩き」「後ろ立ち」「一口告げ」「霊吸い」、そして最後の夜の「にてひなるもの」。「霊吸い」以外は、どのタイトルも怪談とは遠い感じの普通の言葉なんだけど、日常に潜む恐怖がジワジワとにじみ出ている。ま、三津田作品というだけで、MAXジワジワなんですがね。

所有するだけで祟られるという「忌物」、そんなモノを集める不思議で気持ちの悪いお寺を舞台に繰り広げられるこの作品。住職の天山天空が忌物にまつわる話を披露します。スリッパといった日常のものにも祟りはついています。そう、恐怖は日常の中にある。

その話を聞くのがこの春高校に入学を控えた由羽希。そもそも、この寺に「助け」を求めてきたのに、いつもまにか聞き役になってしまう。様々なことが何となく、理由もなく、進んでいくのが怖い。もちろん、最後にこの「怖さ」の正体が分かるのですが…

これ以上書くと、怖さが低減してしまうので止めておきます。

日本の怪談は、ジワジワとかゾゾゾとか、感情が擬音で表現できるのが良いですね。あなたもジワジワしてください。

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