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07【一文無しポカラ露店生活は勝手に電波少年企画Boom Festival へ向けて】

ポカラは観光都市だ。
2014年現在。
中国人の団体観光客が増え、湖の周りに広がる街がプチバブル状態になっている。
栄えているのはレイクサイド。
湖を囲む様にダムサイドとレイクサイドがある。
ダムサイドは中国人系のお店が多く、少し廃れた雰囲気。
レイクサイドは欧米人観光客が好むお洒落なレストランや土産物屋が並び賑やかだ。

更にレイクサイドの奥の方はヒッピーエリアで裸足で歩く若い旅人や、のんびりとしたカフェなども多く、それもそれで賑わっている。
私は、どこに店を構えるか。まず、それを選ぶのが重要だった。
気に入った場所を見つけたら、同じ場所で露店を出し続けた方が良いと考えていたのだ。
また、売れる時間帯もある。
丸一日中、同じ場所に座って店を構えるのも良いが。
要領よく1日の時間を組み立て使いたい。
その頃の私には。色んな意味で何もなかったので。

私はレイクサイドをヒッピーエリアに向かって歩いてみた。
仏具やタンカの売っているお店。
暖かそうなシルクを売っているお店。
お洒落なレストラン。
正直。お金を持っている観光客が多そうだと感じる。
しばらく歩くと、同じく道売りの旅人に出会う。
インドやネパール、ヨーロッパのパーティーなども巡りながら、自作のアクセサリーなどを売って旅をしている人たちが居る。
今の流行りなのか。マクラメという編み方で、クリスタルやスピリチュアルな石を編み込み、ネックレスやブレスレット、指輪やピアスを作り、売っているのだ。
こういった露店はよく見た。


私はヒッピーエリアの手前で引き返し、再び、露店場所の下見。
ヒッピーエリアよりも。お金の持ってそうな観光客が集まるレストラン付近の方が商売に有利だと思ったのだ。

私はヒッピーエリアからダムサイド方面、宿へ戻る道を吟味。
大きな木が道路と通行路の間にあり、その下にお店を広げることにした。
その木の下にはチベタンのおばちゃんもお店を出していた。
「ナマステー、タシデレ!」
と挨拶し、隣りにお店を出しても良いかと尋ね、オッケー。
そこは。
昔々、あるところに…。
'ONECE UPON A TIME RESTURANT'

というレストランの前であった。
昼過ぎから夕暮れ時までの数時間、とりあえず座ってみた。
絵と自作の天狗のぬいぐるみやポーチを並べ。
観光客は多い。
朝よりも夕方から夕ご飯時が一番多いと感じた。
が。
日が暮れては私の商品、絵は見えないのだ。
初日は順調。
宿代と翌日の朝ご飯代くらいは稼げた。

私は隣りのチベットのおばさんに挨拶をして宿へ戻った。
もう電気がないと暗くて歩きにくい。
そう。街頭の無いところも沢山ある。

2ヶ月間ほどネパール、ポカラの路上で販売をしていると。
自然と色々と見えてくる。

とりあえず。
中国人旅行者は団体でわらわらと見るだけ見て買わない。
ネパール人は話したいだけのことが多い。
買う人間は最初から買うと決めているのか決断が早い。

ネパールの路上には犬も沢山いてテリトリーがある。
大きな木の下に路上店を出していた私のテリトリーにも犬が居た。
綺麗な黒い犬と汚れた黒い犬。
汚れた黒い犬は大概、寝ている。
綺麗な黒い犬は愛想が良く、尻尾を振って私の隣りに寄り添う。
そして。
綺麗な黒い犬は。
私のお店が中国人団体客に囲まれた時に、中国人団体客の中に割って入り、散らしたり。
なんだか気の効く彼氏の様な感じだ。

ちなみに10歳くらいの聡明な路上の男の子。
この子は路上の子であるが、私より英語が堪能で空気が読める。
お客さんが居ない時は私とゆっくり話したり、絵の感想を述べたり。

お客さんに見せかけたナンパ目的が現れた時は。
「自分は路上で暮らしてるんだ、なんやかんや、、、、」
と路上の男の子は、そのナンパ男に永遠と話。

その隙に私はお店を畳んで帰路に着く。
という無言のチームプレーもあった。
ネパールの路上では賢い犬と聡明な路上の子がボーイフレンドだ。


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