みんな知らない勝負価格の提示の仕方
営業という仕事において、交渉はつきものだと思います。その中でも最もヒリヒリする交渉は、価格交渉(提示)の瞬間だと思っています。
今回は、価格交渉(提示)に焦点を当てて、僕なりに培ってきたテクニックを解説していこうと思います。
このnoteを読んで実践して頂くと、以下のようなことが防げるハズです。
・値引き要請を受けて、何回も見積を作り直す
・特価を提示したのに箸にも棒にもかからない
・価格提示後にお客様との連絡が途絶える
つまり、特価を提示する以上は、100%受注をしましょう!という内容となっています。
(100%はバイブスであり、現実的ではありませんが、精度は圧倒的に上がります。)
①価格交渉をサボってはいけない
僕自身も、過去に価格交渉をサボったことがあります。
ある案件で上司にこのように報告しました。
「最後の価格交渉でゴチャゴチャするのが嫌なので、この価格で提示して勝負してきます。」
上司はこのように言いました。
「そのゴチャゴチャが営業の仕事じゃないの?なに寝ぼけてんの?」
それ以来、僕はずっと起きています。
定価で放っておいても売れるなら営業は要りません。
価格交渉をするから、営業の存在価値が発揮されるのです。
恐れずに楽しんで交渉をしましょう。
②価格提示は一発勝負の後出しジャンケン
昭和なイメージの営業だと、お客様から
「もう少し安くしてよ〜」
と言われて、
「もうギリギリなのですが、社内に持ち帰ってもう一度調整します」
というやり取りを複数回行い最終価格で落ち着くという感じではないでしょうか?
僕は複数回見積を提示することはNGだと思っています。
「1回目の価格は吹っかけてたの?」
となり、逆に信用を欠く行為だと思っています。
なので、見積は一発勝負です。
ただ、一発勝負だとお客様の思っている金額とズレがあったら怖いと感じ、ソワソワしてしまいそうですよね。
なので、後出しジャンケンで勝負価格を提示するのです。
勝負価格はお客様から契約の意思表示を頂いてから提示をする。
この価格でご検討くださいという提示は絶対にNG。
そんなこと本当にできるの?とお思いかもしれませんが、できます。
具体的な方法とトークをご紹介する前に、
「この価格でご検討ください」という提示が危険な理由を書きます。
③判断基準は「価値」→「それに見合う価格」の順番
「この価格でご検討ください」という提示は、提示であって、全くもって交渉ではありません。
価格をお客様に預けて、判断を仰いでいるだけです。
また、価格だけで判断をするのが本当に正解なのでしょうか?
いちばん大切なのは、価値だと僕は思っています。
その価値に対して、見合う価格であるのが正解だと思っています。
価格だけにフォーカスしてしまうと、価値の理解が疎かになり、後々で齟齬が発生したり、最悪の場合は炎上をしたりしてしまうと思っています。
まずは正しく価値を正しく理解していただく。ここからスタートしましょう。
(過去のnoteを見直したら、価値についての解説が薄かったので、これは別途解説noteを書きます。)
価値を理解していただいた上で・・・
お客様が具体的に検討を進めたい場合は、価格を必ず質問されます。
自分から価格のご紹介をするのは避けましょう。
そして、価格を聞かれた場合は、必ず定価をお伝えしましょう。
最初からディスカウントの提示や可能性を匂わせてはいけません。
至って真顔で、堂々と定価を伝えましょう。
必ずお客様からこう言われます。
「高い」
僕の今までの経験で「安い」と言われたことは有りません。
必ず高いと言われます。
分かりきっているので、必ず堂々と伝えましょう。モジモジしてはいけません。
ここで頂きたいのが、お客様の「高い」という言葉の真意です。
多くの場合、「高い」という回答は感覚的なのです。
高いと言っても色々なパターンがあります。
・なんとなく、高い
・競合と比べて、高い
・予算と比べて、高い
・価値と比較して、高い
なので、高いと言われたら、このように回答をすると良いと思います。
「高いでしょうか。この価格で使っていただいているお客様がすでにいらっしゃいますし、適正価格だと思っております。よろしければ、社内にフィードバックさせて頂きますので、何に対して高いのか教えて頂けませんか?」
競合と比較した場合なら競合の情報が分かりますし、予算と比較した場合なら予算が分かります。
ただ、多くの場合はなんとなく高いだと思われます。
この場合は、改めて価値の部分に話を戻し、それでも高いのか改めて質問をしてみましょう。
(価値に対しての評価が低い場合は、自分の価値訴求が悪いか、お客様にソリューションフィットをしていません。
残念ながら、この時点で失注です。)
この章をまとめると、
・価格は聞かれるまで言わない。
・定価を堂々と伝える
・高いと言われたら、深堀りする
④指値→契約の意思確認→勝負価格の提示
とはいえ、お客様目線で考えると、
いくら価値が大きいからと言っても、無い袖は振れませんし、競合の価格も気になります。
なので、ディスカウントは必ず発生します。それは営業である以上避けて通れません。
ですが、簡単に勝負価格を提示してはいけません。
ここまでの前提としては、価値の合意ができているが、お客様が高いと言っている状態です。
そのような場合、このような質問をすると良いと思います。
「価値はご理解頂けたと思うのですが、御社の考えていらっしゃる価格とは乖離がある状態ですか?」
「ちなみに、その価格をご提示することができたら、ご契約をしていただけるということですか?」
もし、お客さまが価格だけで引っかかっているのであれば、ここでYESと回答いただけるはずです。
その場合は、
「ちなみに、その指値を教えて頂けませんか?」と聞いてみましょう。きっと教えていただけると思います。
ここで、その価格なら何とかしますと即答するのではなく、ぐっとこらえましょう。
そして、
「では、何とかその価格でご提示出来るように私も社内の承認に尽力いたします。」
「ただ、何も根拠がなくディスカウントをすることは難しいので、社内を説得する材料を頂けませんか?」
とお伝えしてみましょう。
これによって、お客様から様々な情報をわらしべ長者の如く、トレードしていくのです。
そして、お客様から頂くコミットを頂く方法としては、以下2つのトーク例が良いかと思います。
「分かりました。何とかその価格で社内の承認を取りに行きます。そのため、MM月DD日までに発注をするので、XX円にしてほしい旨のメールを、貴社の然るべき方から私にお送りいただけませんか?」
「分かりました。ただ、私の一存で価格を決定できませんので、値引き決済権がある上司を連れてまいります。貴社も然るべき方をご同席の上、私の上司に直接、MM月DD日までに発注をするので、XX円にディスカウントして欲しいとお伝えいただけませんか?」
ここで大切なポイントは、
自分から「この価格でお願いします」と提示すると、営業がお願いをするスタンスになってしまいます。
しかし、この方法は、お客様が「買いたいけど、高いから、ディスカウントして欲しい」というスタンスになります。
同じ価格提示であっても、全くスタンスが異なりますし、お客様からの事前のコミットメントを頂いている状態なので、高い確度で受注が出来ると考えています。
⑤更に万全を期したい方はキックオフまで握ろう
営業は売って終わりではありません。契約はお客さまとの長い付き合いのスタート地点でしかありません。
なので、必ずそのプロジェクトを成功させる必要がありますが、これはお客様の覚悟が必須です。
ですので、上記のコミットメントに加えて具体的なお客様の体制やスケジュールまで事前に抑えている状態の方が理想的だと思っています。
⑥最後に
ここまで読んで頂いてお気づきの方も多いと思いますが、この方法は自らが決裁権を持っていると使えません。
なので、僕は起業してからは一切使っていないテクニックです。
同様にこれを読んで頂いた経営者の方も使えないと思いますが、自社の営業の方には、「上司は交渉のカードとして上手に使うエッセンスだ」と、お伝えいただければと思います。
また、この方法は僕一人で編み出したものではありません。
尊敬する元上司のHさん、Kさん、Uさん、Kさんや、
偉大な先輩であるIさんTさんの秘技を参考にしつつ、僕なりに昇華したものを書いております。
世の中にスゴイ営業はたくさん居るので、いつまで経ってもゴールは見えないなぁという、2020年の営業系noteの締めくくりとさせていただきます。
Twitter: https://twitter.com/DJ_141
SaaSの営業×サブスクリプションの本質の正しい情報を書いていこうと思います! サポートいただけたら、リサーチ費用に充てたいと思います。 他にもHIPHOP好きな人と仲良くできると嬉しいです。