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【アドカレ2024】自作ゲームを作ってSteamにリリースして爆死するまでの話

この記事は『Unityゲーム開発者ギルド Advent Calendar 2024』13日目の投稿です。

どうも、つーきです。 
つーき制作所 名義でHighking という登山ゲームをSteamに 2024年11月13日(1113=良い登山)にリリースしました!

Steamへのリリースは初です。
さて、何の後ろ盾もないこのゲームはどのように生まれ、どうして爆死したんでしょうか。 (それは自分が一番知りたい。)

「***本くらい売れたのかな〜」と予想しながら読んでもらえるとよいかと思います。

始まり

過去のツイート漁ってみて驚きましたよね。 2023年8月。 まさか1年以上前だと思ってませんでした。(ちなみに、この時のゲームの名前は「CLIFF」でした)
このツイート(ポスト)にも書いてあるとおり、実は超初期Verは約1日で作成しました。 

  • 登山ゲームが作りたい

  • 世の中の登山ゲームはホッピングだったり、壺に入ってたり、ジャンプしかできなかったりだったので、「ちゃんと手足を使う登山ゲーム」を目標にした

  • 1日で作るので、リソースを作り込むのは無理と考え2DのPrimitiveなスタイル

という雑な始まりでした。

しかし、基本システム

  • 関節をHingeJoint2Dで、ある程度正しい角度制限をつけることで2Dラグドールを作成

  • 重心より足が下にある場合は力が入っているので体重を軽くする

  • 重心より手が上にある場合は引っ張る力が効くので体重を軽くする

  • 両手を離したら落下

  • スタミナが切れても落下

が、思いの外(個人的に)うまくハマって棒人間なのにキャラクターがまるで人のように踏ん張って手を伸ばしているように見える瞬間があり、このシステムがやたらと気に入ってしまったんですよね。

この呪いがしっかりと絡みついて、ここから1年以上かけてブラッシュアップをしてゲームをリリースするに至ったわけです。
(そんなこともありこの挙動のシステム部分は今も販売Verもほとんど変わってません。)

キャラクターの3Dモデル化

とはいえ、画面が質素すぎるのもあり、どうしたもんかなーと手をこまねいていたところ、とあるゲームがでてきてしまいました。

あーーーーーーーーーーーー。
いや、全然コンセプトは違う。操作方法も違うんだけど、「手」使って登山してんなぁ・・・・。
あーーーーー。

ややバズっていたので、見たことある方も居るのではないでしょうか。

リアルふんどしハゲ
へーしゃの棒人間君

なに、この貧富の差。 勝てるわけ無い。
勝てるわけ無いけど、こっちのほうが先に作ってるし!!! 3Dモデルにするくらいすぐ出来るし!

という謎のプライドから、とりあえずキャラクタを3Dモデルにしてみました。

使用したのは程よく ローポリで、とても気に入っている こちらのAssetに含まれていたキャラクタモデル達です。

これは2Dのラグドール棒人間君の各関節と3Dモデルの各関節を Unity の ParentConstraint を使うことで連結させるだけで実現できてラクチンでした。

これは今回リリースしたHighkingでもそのままで、実は内部的には未だに棒人間君が存在していて、3Dモデルがスキンとして重なって表示されているだけ。という状態だったりします。

これまたすんなりと3Dモデル化出来たので、このまま背景・壁も3Dで差し替えていけば見栄えが良くなってバカ売れするのでは・・・!?

思えばここから迷走し始めました。

迷走・停滞期

最初に試しに使った3Dモデルがローポリだったのが尾を引いたかどうかは、今となってはわかりませんが、そのままローポリでモデルを割り当てても画面のチープさが消えないので、逆にドット風にしたり
この描画負荷なら行ける!ということで、オンラインマルチ実装したりしました。

また、ただ登るだけでは飽きてしまうので、ギミックを追加しようということで
ロープを作ったり

回転する歯車を作ったり

ジャンプ台(傘)を作ったり

チェーンソー作ったり

最終的にはレーザーまで作りました

うーん。 あんまり面白くならないな・・・?

作業はちょこちょことやりながらも、なんかこうぱっとしない進捗。
基本的には登ることしか出来ないし、両手両足を使えるがゆえにあまり不慮の落下が無く、登山ゲームとしての本質が無いのでは?と悩む日々。
(テストプレイしてくれた登山ゲー識者に「これは登山じゃない。ハイキングが良いところ」って言われたり)

そして「これ本当に面白いんか?」のフェーズにしっかり入りました。

これ本当に面白いんか?期

やみくもにギミックと背景を並べていっても一応ゲームにはなるけど、整合性がなさ過ぎる。
僕は思いました。
 「必要なのはストーリー!でっちあげで良いのでオープニングを作ろう!」
そこから始まる自問自答。
「そもそもこいつは、なんで岩を登ってるんだ? スーツで?(その時使っていた3Dモデルがスーツキャラクターだった)
スーツだし、サラリーマンか。サラリーマンといえば通勤ラッシュ・・・?駅。電車。 電車良いな。電車出そう。」

すっごい無策でオープニングを作りました。 Timelineがんばった。

不思議なもので、オープニングをでっちあげたことで、逆にストーリーが生まれてきました。

  • 過労死ラインぎりぎりで働いているサラリーマン

  • ついには倒れてしまうが、その際に「ハイキング(王)」に会う

  • 精神世界で自分を立て直す

マップ構成もストーリーに合わせて作ることにしました。

  • MAP1:岩・山・自然

    • 原点 子供時代 未来を夢見て純粋に色々が楽しめていた時代

  • MAP2:街・都会

    • 成人 働き始め、社会への適合、都会への憧れ、ちょっとした挫折

  • MAP3:工場・歯車

    • 現状 時間(仕事)に追われ自由がない状態 焦り

  • MAP4:駅・未来

    • 葛藤

配置例

これらが決まったことで、大分作りやすくなってきました。最初からやれって話ではある。

開発が加速していきました。
Steamページも作成して、あとは完成させてリリースするだけという状態まで持っていきましたが。

しかし、もう一つ大事なことがありますね。そう宣伝です。どれだけ力を入れてゲーム作っても世間様に知られていないんではしょうがない。

X でちょこちょこと進捗をポストしてますが、自分の戦闘力(フォロワー)は1700ちょっと・・・。 他の手も打ちたいところです。

そんな折、「東京ゲームダンジョン6」への共同出展しても良いという方が現れました!神かよ!
(東京ゲームダンジョン6は出展チケットが瞬殺した関係上、1ブースのデカ席を分割して1ブースで2団体展示してよいという特別救済処置が取られたのでした。ありがたや。次回以降にもこの救済処置があるのかは不明)

東京ゲームダンジョン6への出展

出展という明確な目的が生まれたので、急ピッチで準備を進めていきます。
実はこのタイミングで タイトルロゴや、UI改修、名刺デザインに会社のデザイナー畑の方にご協力を仰ぎました。もちろん有償です。
具体的な金額を書いちゃうとその方に迷惑をかけてしまいそうなので伏せさせていただきます。それくらい格安で作業していただきました。

超カワイイ名刺も作ってもらいました!

出展は初なので、色々とわからないことだらけなんですが先人の知恵を参考に準備あれこれやっていきました。

特にこのNoteが参考になりました。最高かよ。

そして出展当日

SteamDeck 1台だと心もとないので、存在しないiPad版ビルドを急遽前日に作成して用意して持っていくことに。

自分の Ipad + 家族用 ipad + SteamDeck の3台体勢に。

そんな用意までして、一人もお客さん来なかったらどうしよう・・・?
そんな事を考えていましたが、全くの杞憂でした。
開場から閉場まで、来客の対応で自分は一度も椅子に座れませんでした。

それは、このゲームが面白そうとか、目を引くとかそういうことではなく。
純粋に来場者が多すぎぃ。

結果、自分のところのような地味〜なブースにも基本的ににはお客さんが途切れることはなく。最初は試遊してくれた人数を数えていたんですが、途中で諦めました。
それくらいには人が来てくれました。ありがたい。

そして何人かからは感想も頂いたんですが、非常に好評でした。
まぁ、面と向かっておじさんに「これつまらんね」って言う人もあんまりいないんだろうけど。
噂の「これ、どこが面白いの」おじさんも現れませんでした。
一度戦ってみたかった。

そんな中一番嬉しかったのは、6歳の女の子がすごく気に入ってくれたらしく間を開けて3回プレイしに来てくれたことです。お嬢ちゃんありがとう。おじちゃんがんばるよ。

そしてリリースへ

そして話は冒頭に戻り
2024年11月13日(1113=良い登山)にリリースしました。
金額は 5.99$ 。日本円では 700円 を設定しました。 これをローンチセールで30%OFFにして、日本円で 490円。 ワンコインでお釣りが来る設定に。

合わせてプレスリリース依頼も結構な数送りました。
取り上げて頂いたのは以下の2サイトでした。本当にありがとうございます!
これで掲載0件とかだったら心がへし折れるところでした。

そしてリリースから1ヶ月経ちました

さて。ちょうど今日が 2024年12月13日 なので、丸々1ヶ月たったわけですが。





販売本数100本行ってません






え。100・・・。 1ヶ月で100は行ってくれると思ってたなぁ!
だって。だってだよ。
そもそもSteamに登録するのに100$(15,000円)かかるんすよ。
そして金額は出せないけどデザイン外注した箇所の支払い分も合るし。

1本あたり 約500円。 だけど、Steamさんに30%さっぴかれるので1本で350円。(実際には国外からの送金の手数料でさらに減る)

どう考えても赤字

そして、もちろんここには僕の作業代が入っていない。最低賃金で見積もっても100万はかかってる。
(まぁ、この部分は趣味で楽しんでやってるのでもともと考慮する気は無いのだけれど)

赤字of赤字

これは、爆死。 大爆死と呼んでも良いのではないでしょうか。

次の一手

しかしこれでは終わらん!終わらんぞ!
デジタルの良いところは同人誌を大量に作ってしまうのとは違って在庫が無いところ!(無差別攻撃)
これからアップデートも続けていきますし、次の東京ゲームダンジョン への参加も登録しました。

Steamへの登録作業もちょっとは慣れたと思うので、また別のゲームを作ってリリースしていけば芋づる式にジワ売れしてくれるかもしれんし・・・!

ようやくのぼりはじめたばかりだからな
このはてしなく遠い男坂をよ・・・

というわけで爆死してるんで、再度貼っておきますね。富豪の方ぜひ買って下さい。

そうそう。 そういえば恐ろしいほどレビューもされていないので、ぜひ辛口でも構わないのでプレイした方はレビューよろしくお願いします!
なにやらレビューが10件行かないゲームは人権がないらしいので・・・。

わいのゲーム、存在しないのかぁ。
1年以上かけて作ったのに存在しないのかぁ。

あ、やばい。泣いてしまうので。このあたりで。

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