46 ハリー・ポッター(Harry Potter)
はじめに
今週は、流行というテーマで教育コラムを書いてきました。しめくくりの今日は、日本にもファンの多いあの世界で最も有名なファンタジー小説の一つでもある「ハリー・ポッター」をテーマに取り上げたいと思います。
流行というよりも、すでに全世界的に認知されているこの作品ですが、本日2023年6月16日にエンターテイメント施設がオープンするということで、作品発表から時は過ぎていますが、今まさに大きな話題となっています。
作品づくりの裏側や小道具などが主役?
本日、オープンした施設は「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京‐メイキング・オブ・ハリー・ポッター」という名称です。場所は、東京都の練馬区に位置します。ここは、としまえんがあった場所ですから、なじみのある方も多いように思います。今回の施設に実際に足を運んだことがないので、感想などは述べることができませんが、断片的な情報から感じたことを書いていきたいと思います。
すでに、大阪のUSJにはハリー・ポッターの世界観をリアルに体験できるアトラクション「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」と呼ばれるものがあります。こちらは、私も含めすでに体験したことがある人が多いように思います。細かな演出や空間づくりにいたるまで、作品の世界観を大切に再現している点に感心させられます。また、ファンの心をくすぐる魔法のような仕掛けが魅力です。ホグワーツ城もホグズミードの村もあり、小説の中に登場する商品が並んでいる様子は圧巻のスケールです。
それに対して、今回、東京に誕生した「ハリー・ポッター スタジオツアー」は、何をテーマにしているかというと、映画スタジオの見学をテーマにしているのです。
昔、社会見学の引率でテレビ局や東映の時代劇の撮影現場を見学に行ったことがありますが、どちらかというとそういったものに近いのではないかと感じています。作品のファンからすると舞台裏やセットに足を踏み入れたり、小道具に触れる経験は、見てはいけない、見ることのできない部分に触れることができる貴重な体験になるはずです。
競合しないことの効果
普通、同じような題材を取り上げてこうした観光スポットを作ろうとしたときに、どちらが優れているのかを競い合ってしまいがちですが、どうやらこの二つの施設は、競合ではなく相乗効果を生み出しそうなのです。
今回オープンした「ハリー・ポッター スタジオツアー」はハリー・ポッターの撮影見学や映画の世界観をオリジナルの小道具や衣装などが揃った映画のセットを見学しながら楽しむタイプであることは先に述べたとおりです。
USJのハリーポッターのエリアは、体験していただけばわかる通り、テーマパークタイプなのです。つまり、両方行ってもそれぞれ楽しみ方が違うということです。
アジア初の「ハリー・ポッター スタジオツアー」をめがけて世界中のファンが観光に訪れ、新幹線で大阪へと移動し、舞台裏ではなく作品のど真ん中に立ってその世界観にひたるといった楽しみ方ができるのではないでしょうか。
作品の広がり
ハリーポッターは、イギリスの作家である、J・K・ローリングさんによって発表された7巻からなるシリーズ作品です。2016年に本編の後日談として第8巻も書かれていますので、「ハリー・ポッターと呪いの子」まで入れると全8巻ということになります。
このシリーズの記念すべき第一巻の日本語のタイトルは「ハリー・ポッターと賢者の石」でした。1997年にJ・K・ローリングスさんがロンドンの出版社からこの本を出されたとき、彼女はまだ無名の作家でした。
発表してすぐ、彼女は誰もが知る世界で最も有名な作家のひとりになりました。学校の図書館では、ハリー・ポッターシリーズについては英語版と日本語版が両方とも5冊ずつ並ぶといったようすで、いつも誰かが借りて読んでいるような状態が続きました。まさに世界的なベストセラーになったわけです。新たなタイトルが発表されるたびに世界中の本屋さんの前には行列ができ、そのことがニュースや新聞に取り上げられていたことをよく覚えています。73の言語に翻訳されたシリーズの全世界累計発行部数は5億冊を超えています。これは一言でいえば、最も多くの人に買われた本であるということを意味します。
好きなことが増える
今週は、流行というテーマでお話してきましたが、好きなことが増えるきっかけが「読書」なんてことがたまにはあってもよいのではないでしょうか。ハリー・ポッターシリーズがリアルタイムで発表されていた時代は、書店でも平積みにされていたり、図書館でも新刊として紹介されていたりと目にしたり手にしたりする機会が多かったこの作品ですが、盛り上がりを見せているこの機会に本を手にしてみてはどうでしょうか。もしかすると、魔法の世界があなたを待っているかもしれません。
「好きこそものの上手なれ」という言葉のように好きであることはとても強い力を発揮します。これは、学習の場でも大いにいえることです。好きなことが増えるような体験や学び方をしていけたら、きっと学ぶことがもっと好きになるはずです。読書はそうしたものの一つでもあります。好きな本と出会えるということはほんの少し素敵な人生へ向かう第一歩のような気がします。