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205 ビッグモーター的思考

はじめに

今日は、子どもたちの社会への不信感が高まっていることについてお話ししたいと思います。政治と金の問題、ビックモーターの不正などなど2023年は社会の闇の部分が垣間見える年だったように思います。
こうした多くの問題が子どもたちに与えている影響は決して無視できないのです。今日の教育コラムでは、社会的な問題となった話題を取り上げながら、子どもたちの現状について少しお話してみたいと思います。

子どもたちの心理状況

ある調査によれば、子どもたちの抱える問題が深刻化している結果が出ています。子どもたちの実態調査の自由記述の一部には、大人との関わりについて次のような言葉が見られました。

・話を聴いてくれるおとながいない。
・話を信じてもらえない。
・自分のことを相談できる人はいない。
・大人に話しても変わらない。言っても意味がない。
・相談できる人はいるけど、話しにくい。
・自分の意見を最後まで聴いてもらえない。
・大人に相談しても意味がないので、子ども同士で話し合っている。

孤立化

大人への不信感を生み出しているものはたくさんあるでしょうが、そうしたものはいつの時代もあったことでしょう。近年、大人の悪事や社会悪が可視化されるようになり、子どもたちはそうした闇の部分を目にすることが増えてきました。
憧れの宝塚ですら、いじめにハラスメントの巣窟となっていることを知ってしまった子どもたちは、自分の夢を失ったような喪失感に陥るでしょう。これは、社名そのものを存続できなくなったジャニーズにも言えることです。
そして、政治の世界では汚職や利権にまみれたスキャンダルが次々に報道されていますが、いずれも耳を疑うような事実ばかりです。
国会中継では、ヤジが飛び交いまともな議論はしばらく聞いたことがありません。子どもたちは、見たいジャンルの動画ばかりをSNSで視聴するようになっていますが、それは、プロが制作した番組と一般人の配信する動画にさほどの違いがなく、内容にそもそも重要性を感じなくなったのかもしれません。
また、労働人口の低下により家族の全てが、労働についているため子どもたち自身が個人で過ごす時間が増えています。また、きょうだいがいる家庭も減っているため、孤立化は加速しているわけです。物理的と精神的の両面から孤立化が進んでいると認識しなければいけません。

大人の責任

適材適所を掲げて組閣した内閣で度重なる不祥事は、日本の人材不足を露見させています。政治家のモラルの崩壊は、社会のモラルハザードの現状を奇しくも証明したと言えるでしょう。
そして、今や金のためならすべてを裏切る会社の代名詞となったビックモーターですが、実態は人を人とも思わない経営者とその息子による多くの労働者へのいじめの世界が広がっていたことが明らかになりました。
悪質な宗教法人との政治家の癒着、有名大学の学生の不祥事と隠蔽、お金目当ての私人逮捕という名の犯罪行為などなど、子どもたちはニュースから社会の闇を見続けているのです。
子どもたちの善悪の判断基準は、法律を読んで覚えていくものではなく、大人や社会の姿を通して学ぶ部分がほとんどです。物差しの当て方や使い方を正しく学ぶように、社会における規範意識を導いていくことが今だからこそ、大変重要な局面だと考えています。
素敵なことや素晴らしい大人の営みは、社会に生きている何気ない、温かな取り組みのなかに存在していることをもっともっと教えていかなければいけないように思います。
道徳の授業で取り上げるような教材と真逆の行いをしている政治家の姿が与える影響は、教育の効果を無力化するほどの影響力があることを改めて肝に銘じて行動してほしいと願うばかりです。

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