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234 カンニング


はじめに

今世の中では、政界、経済界、において大規模な不正が明らかになっています。ビックモーターの保険金の不正自給問題、現職の政治家や大臣の政治資金の不透明な流れ、法務大臣の公職選挙法違反などなど、数々の不正がここ数カ月で明らかになっています。
また、ある宗教法人による長年の悪事が明らかになり、解散命令請求に至るといった事態も発生しました。そして、ダイハツの大規模な不正が発覚しました。
今日の教育コラムでは、受験という重圧に向かう精神力とその重圧に負けた瞬間に起こる事態について少しお話ししたいと思います。

プレッシャーから不正へ

ダイハツと言えば、国内では知らぬ人がいないほど有名な自動車メーカーなわけですが、現在、国内外で生産中の全てのダイハツ開発車種の出荷を停止しています。
ダイハツ工業は、今後、国土交通省をはじめ、各国の関係当局に報告・相談の上、必要な対応を進めていくことになります。
今回の不正による被害は、想像を絶する規模となっています。ダイハツの車種のほか、トヨタ自動車、マツダ、SUBARUにも影響は及ぶと見られています。不正の原因は、第1に不正対応の措置を十分に講じていなかったことがあげられます。不正が起きるものとしてチェックがされていなかったのです。
また、短期間で開発を推進する経営の仕方に原因があります。生産性ばかりを追い求める経営者によって生み出されるプレッシャーは、結果としてできもしない技術を盛り込んだように見せかけた製品を開発者たちに作らせる結果となりました。その場しのぎの方法で検査を通して販売された製品の全てが不良品だったわけです。
こうした経営者の現場を無視した経営方針の転換や生産性重視の経営スタイルの犠牲になった従業員たちは、次第に職を離れるか不正に手を染めていったのです。

不正は全てを崩壊させる

2022年の大学入学共通テストで前代未聞の不正が発覚しました。それは、受験生が試験中に設問画像を外部に流出させたという事件でした。
この事件を受けて文部科学省は、大学入試の実施要項に、カンニングなどの不正行為を行えば「警察に被害届を提出する場合がある」と明記する方針を固めました。
つまり、刑事事件に発展する可能性を示したわけです。抑止効果を期待してのことでしょうが、追い込まれた受験生の心理状況はこうした抑止効果を超えてしまうことがあるのです。
実際にこの受験生にはどのような結末が待っていたかというと、偽計業務妨害の非行事実で東京家裁に送致されたのです。本来であれば、不正行為が確認された場合、受験生は退出させられ、失格となります。
もちろんすべての成績を失い、その学生は大学入学をその年は少なくとも諦めるほかない事態となります。しかし、この事件ではその場で発見されず、外部からの通報があり、警視庁に連絡がいきました。
むしろ大きなニュースとなり事件は大きく報道されました。本人が事の重大性に気づき出頭したわけですが時すでに遅しとはまさにこのことです。

カンニングは、不正です。不正で勝ち取った名誉もお金も、その代償を払う日はきっといつか来ます。プレッシャーを理由にカンニングをした時点で、あなたにはその学校に合格する資質がないことを認識し、受験に臨むことが受験生の心得として最低限度のスタートラインだと考えてください。

 

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