タマネギ至上主義
10月に入ってもまだ半袖。
長袖たちは不貞腐れて、タンスの奥から出てこない。
僕は毎週日曜日に社会人チームでサッカーをしている。小学生からの付き合いである友人Fの車に乗せてもらって2人で通っている。
いつものようにハードな練習を終え、クタクタの状態で車を走らせている帰路。
真っ暗な住宅街の先に暖かい温もりの光を放つお店があった。
サイゼリアだ。
クタクタの体を癒すべく、吸い込まれるようにサイゼへ。
相変わらずの安さとおいしさに満たされた時、ある話題で盛り上がってた。
「なんでキュウリって野菜ランキング上位なの?」素朴な疑問だった。
何かそういうランキングを見ていたわけではなく、独断と偏見だけで話が進んでいるので注意してほしい。
キュウリって奴は栄養も全くないくせに、「野菜と言えば」というお題で上位、いやほぼ1番に出てくる。
これに野菜たちはかなり不満を抱いているんじゃないか。
全く仕事できない上司がずっと上の役職にいる事に不満を持つ若手社員のように。
おまけに、キュウリって奴は栄養素がない事を自慢までして、ギネスにすら登録されている。
そんな能力のカケラもない野菜が、野菜の代表格になっているのはおかしい!!
では、人間からも野菜たちからも人気ある最高の野菜って何だろうか。
トマトだろうか。
いや、アイツは主張が強すぎて人間の中でも野菜たちの中でも好き嫌いが分かれる本田圭佑タイプだから違う。
レタスだろうか。
揚げ物の名脇役を演じつつも、時には仕切りとしての役割を果たし、パスタの下敷きになれる縁の下の力持ちの役所広司タイプ。
野菜たちからの評価は上々だが、人間たちからすれば単体では物足りないため、これも違う。
では、何が最高の野菜か。
答えが出た。
タマネギである。
間違いなくタマネギなのだ。
タマネギは丸ごと焼かれる事で、タマネギステーキとしてメインになれる。細かく切られようが、オニオンスープとしてメインになれる。大きさを変えようが、美味しさはそのままで使い勝手が非常に良い。またナポリタンやハンバーグに入れられるように、サブとしても非常に優秀である事に加えて、仕切りとして使われることもあるように身体を張る泥臭さも持ち合わせている。また何なら隠し味!と言われるようにその優秀さは折り紙つきだ。何でもできるユーティリティ性に人間から最高評価を受けている。
一方で人間に食べる前に皮を剥かせる、包丁を入れると彼らを泣かす、という簡単に食べられないぞ!という姿勢もあり、野菜たちからの評価も最高だ。
ずっと何言ってるか分からないだろうが、このまま読んで欲しい。
タマネギの評価理由を見て感じた人もいるかもしれないが、ジャガイモも同じような評価を受けている。食べる前に皮を剥かないといけない上に、芽までついている。じゃがバターでは主役でじゃがりこというジャガイモメインのお菓子まででている。一方で時にサブキャラにもなる万能さもある。
しかし、ジャガイモが野菜ランキングで一位ではない決定的な理由が一つある。
見た目がダサすぎる。それだけだ。
「あいつは芋くさい」と言えば、それ即ちダサいということだ。
イモ即ダサい、なのだ。
以上のことから、本来人気な野菜はタマネギでないとダメなのだ。
しかし現状はキュウリの単独首位。
この現状は変えなくてはならない。
どうかみんなで力を合わせて、タマネギを一位にしよう。