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同志少女よ、敵を撃て

だんだん涼しくなってきて「やっと夏終わった〜〜!」って感じがしますねー
 だが、忘れてはいけない。熱中症と死闘を繰り広げたあの日々…

以下に8月にrunした後の写真を添付します。

え?殺人現場??🤔


 冗談はここまでにしておいて、そろそろ本題に入っていきたいと思います👊

今回は逢坂冬馬の『同志少女よ、敵を撃て』を紹介していきます。だいぶ有名な作品なので既に読んだ事のある方や名前を知っている方も多いと思います!

1.紹介

ネタバレを最小限に控えた上で紹介をさせていただきます。

あらすじとしては、

独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは?(同書のあらすじ部分より引用)

第二次世界大戦のロシア、ドイツが部隊となっており、時代背景や、戦争というテーマ故にグロテスクな表現や差別的な表現がかなり見られます。個人的にはあらすじにある“真の敵"が何なのかを考えながら読んでほしいです。


2.読んだ感想

⚠️ここからはネタバレありでいきます

前回のカラマーゾフは読むのが大変で物語を理解するので精一杯って言う感じだったのですが、今回の同志少女は最近出た本ということもあって読みやすく、その分登場人物への感情移入も大きく、物語にかなり引き込まれました。

読んでみて、2つの重要な要素で話が構成されていると感じました。

1.戦争の悲惨さ
2.戦場における女性の捉えられ方

1に関しては物語の初めから終わりまで直接的な表現や過激な表現を用いて書かれており、読んでいて戦争の残酷さが伝わってきました。兵士の負った怪我や死に際など身体的な部分から戦場に身を置き続けた兵士が精神に支障をきたしていく心的な部分まで、余す事なく。
 「余す事なく」という表現を戦争を体験した事のない僕が言うのはどこか違和感があると思いますが、それでもこの言葉を使いたいと感じたほどに救いがなく戦争における美談が全て否定されていたため用いました。
 例えば僕は「戦争を経験すれば精神が強くなる」といったことは割とあるのかなーと思っていましたが、実際には、〈平和を望む〉人間の社会において許容してはならない歪んだ環境に適応することで戦場では人の死にいちいち動揺せずに済みますが、戦争に行く前に比べて変わり果てた自分を見たり、戦後は平和な世界に心が適応せず戦争のトラウマに苦しむだけであるためそう言ったは意見は実際はあまり正当性を持たないのだろうと思いました。

2に関しては、物語の序盤から所々に散りばめられており、物語後半で強く焦点が当てられたテーマだと思いました。独ソ兵が捕虜の女性に乱暴する場面は物語序盤から描かれてはいたものの、どちらかというと1の「戦争の悲惨さ」に当てはまるように感じられ、後半では主人公である女性狙撃兵セラフィマの、赤軍として戦うのか女性を守るため戦うのか、という葛藤が加わることで1に含まれる2の「戦場における女性の捉えられ方」が浮かび上がったように感じられました。

 物語で描かれる女性には主に、女性狙撃兵で編成された第三九独立親衛小隊など兵士として戦争に参加する女性と、捕虜となり交戦国の男性兵士に性的暴行を受ける女性市民の二種類が登場しましたが、戦場という舞台において、前者は「女なんて戦力にならない!」「女が戦場に来るな」と嫌悪され、戦場で実績を伸ばすと今度は味方の兵からも気味悪がられるといった存在であり、後者は略奪における食糧や戦利品と同列の扱いを受ける存在です。

 戦場において女性を人ではなくモノのように捉え、自国の女性は保護対象である一方、敵国の女性は戦利品のようなものだと考える。そういった考えを持っている男性から見ると、戦場に来る女兵士は嫌悪の対象となり、戦果を上げた女性は一般的な女性の観念から大きく外れた不気味な存在として映るため差別の対象になるのかもしれないと思いました。


戦争がテーマなだけあって物語は重く救いがない感じがしたけど読んでいて考えさせられる場面も多くあり、一読に堪えると思います!


大学が始まって忙しくなるけど本を読む時間は確保できるよう努力します!
次回はカラマーゾフ第二巻!!……の予定だったけど予定変更でフィリップ・K・ディックの『ユービック』を今読んでるんでそれ書こうと思います

カラマーゾフ読むのしんどいから敬遠してるとかじゃないよ?もちろん。。




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